タグ: 不思議な話

Qualeは物質に干渉する

雨宿りの軒先で出会った、傘も持たない上品な紳士。別れぎわ、彼はわたしに不可解な予言と、片方だけのイヤリング、そして奇妙な紙きれを託しました。Quale は物質に…

みおちゃんの未来

小学三年生の夏の夕方、いちばん仲のよかった親友のみおちゃんが言いました。今日の私はほんとうは四十歳なの、と。意味も分からず別れて四十年、自分が四十歳になった朝に…

不思議な森

不思議な話。底なし沼を埋めた土地に建つ団地、その裏手の古い防風林には、踏み込むと時間が狂い、人の姿が消える暗がりが点在していました。肝試しで消えた少年が見たもの…

ほよよの本

中学時代、変わった口癖を持つ友達がいました。ある夏の日、私の部屋に、見知らぬ故人の古い自伝が、ひとりでに現れます。そこに記されていた故人の口癖は、なぜか、その友…

ゆやみという駅

仕事帰りに電車で寝過ごし、降りた駅は「ゆやみ」という見知らぬ無人駅でした。鳥居、濁った目の老婆、山に灯る提灯、そして手を引く男の子。帰宅後にいくら調べても、その…

呑まれた更地

古い窯業の町で育った私には、三十年経っても忘れられない出来事があります。埋め立てたばかりのため池の更地で遊んでいたあの日、目の前で友達が柔らかな土に呑み込まれ、…

ゆかりちゃん

秋に転校してきた、色の白い少女ゆかり。亡き母の形見のお守りを、いつも大切に胸につけていました。乱暴な同級生が、無理にそれを開いてしまったとき、手紙に記されていた…

三回転

目をつぶって三回まわると、知らない場所に立っている――三歳の遊園地、五歳の海辺で実際に起きた瞬間移動の体験談です。祖母が顔色を変えて止めた理由、回ったまま戻らな…

エレベーター

深夜の雑居ビルでエレベーターの扉が開くと、そこは一階のロビーではなく、夜の野原だった。匂いも、音も、確かにあった。降りなかった私に警備員が漏らした一言が、今も忘…

憩いの館

いなくなった犬や猫が、なぜか必ず見つかる古い空き家があった。塀に抜け道はなく、戸締まりも完全なまま。それでも動物たちは、閉ざされた庭で雨戸を見上げて座っている。…

まりも

祖父から相続した古い家で、夜ごと枕元に黒く丸い二つの光が浮かぶようになりました。家じゅうを探した私が物置の奥で見つけたのは、色あせた紙に「まりも」と書かれた、黒…

睡魔

出張で泊まった山あいの古い旅館。夜中、押し入れの闇から青白い手がわらわらと伸びてきたのに、疲れと眠気でどうしても相手にできず、私は無視して眠ってしまいました。必…

雨を降らせる爺ちゃん

三河・岡崎の花火師だった爺ちゃんは、打ち上げの朝、必ず空へ「今日は借りるで」と頭を下げる人だった。旅立ったあと、墓の手続きや法事の日にだけ判で押したように降り続…