Qualeは物質に干渉する
雨宿りの軒先で出会った、傘も持たない上品な紳士。別れぎわ、彼はわたしに不可解な予言と、片方だけのイヤリング、そして奇妙な紙きれを託しました。Quale は物質に…
雨宿りの軒先で出会った、傘も持たない上品な紳士。別れぎわ、彼はわたしに不可解な予言と、片方だけのイヤリング、そして奇妙な紙きれを託しました。Quale は物質に…
小学三年生の夏の夕方、いちばん仲のよかった親友のみおちゃんが言いました。今日の私はほんとうは四十歳なの、と。意味も分からず別れて四十年、自分が四十歳になった朝に…
最終電車で眠り込み、目を覚ますと、終点は、真っ白なドームの駅でした。読めない駅名、灰色の人々、橙色の空。家にも、電話が、つながりません。私が、その異空間から持ち…
築四十五年の学生アパートで金縛りに遭い、窓一面を埋め尽くす無数の顔と目が合った夜。幽霊の知識がない私がとっさにした「あるお願い」で、顔たちは揃って呆れ顔になり消…
占い師に「長くは生きられない」と告げられました。左手を握る、日本のものではない何か。動かないはずの左手でチェロを弾く夢と、肩にそっと置かれる手。予言の年月を越え…
不思議な話。底なし沼を埋めた土地に建つ団地、その裏手の古い防風林には、踏み込むと時間が狂い、人の姿が消える暗がりが点在していました。肝試しで消えた少年が見たもの…
高校の中庭で、世界がぴたりと止まった、あの十秒間。視覚以外の五感がすべて消えたその時を境に、親友との関係も、座席も、自分の記憶までもが、少しずつずれ始めました。…
中学時代、変わった口癖を持つ友達がいました。ある夏の日、私の部屋に、見知らぬ故人の古い自伝が、ひとりでに現れます。そこに記されていた故人の口癖は、なぜか、その友…
仕事帰りに電車で寝過ごし、降りた駅は「ゆやみ」という見知らぬ無人駅でした。鳥居、濁った目の老婆、山に灯る提灯、そして手を引く男の子。帰宅後にいくら調べても、その…
古い窯業の町で育った私には、三十年経っても忘れられない出来事があります。埋め立てたばかりのため池の更地で遊んでいたあの日、目の前で友達が柔らかな土に呑み込まれ、…
日本海の漁師町へ帰省した夏、兄と僕は引き潮の干潟の彼方に、くねくねと動く白いものを見つけました。双眼鏡で覗いた兄はその夜から変わり果て、祖父は青ざめて駆けてきま…
秋に転校してきた、色の白い少女ゆかり。亡き母の形見のお守りを、いつも大切に胸につけていました。乱暴な同級生が、無理にそれを開いてしまったとき、手紙に記されていた…
目をつぶって三回まわると、知らない場所に立っている――三歳の遊園地、五歳の海辺で実際に起きた瞬間移動の体験談です。祖母が顔色を変えて止めた理由、回ったまま戻らな…
昭和の終わり、神奈川県の駅ビルで起きた不思議な話です。階段もエスカレーターも使わず、決まった角を曲がるだけで三階から四階へ――再現できる「近道」、七分ずれる柱時…
深夜の雑居ビルでエレベーターの扉が開くと、そこは一階のロビーではなく、夜の野原だった。匂いも、音も、確かにあった。降りなかった私に警備員が漏らした一言が、今も忘…
いなくなった犬や猫が、なぜか必ず見つかる古い空き家があった。塀に抜け道はなく、戸締まりも完全なまま。それでも動物たちは、閉ざされた庭で雨戸を見上げて座っている。…
祖父から相続した古い家で、夜ごと枕元に黒く丸い二つの光が浮かぶようになりました。家じゅうを探した私が物置の奥で見つけたのは、色あせた紙に「まりも」と書かれた、黒…
出張で泊まった山あいの古い旅館。夜中、押し入れの闇から青白い手がわらわらと伸びてきたのに、疲れと眠気でどうしても相手にできず、私は無視して眠ってしまいました。必…
山形・鶴岡の古い下宿に住んでいた学生の頃、私は週に二、三度は金縛りにあっていました。ある晩、首の両脇にもっさと降ってきたのは、長い黒髪ではなくアフロのかつらでし…
三河・岡崎の花火師だった爺ちゃんは、打ち上げの朝、必ず空へ「今日は借りるで」と頭を下げる人だった。旅立ったあと、墓の手続きや法事の日にだけ判で押したように降り続…