北町ポートの無人の乗車記録
朝五時の北町ポートで、自転車の前輪だけがまだゆっくり回っていた。管理画面には、無人の乗車記録が毎晩一件ずつ並び、霜の上には手のひらの形が二つずつ付いていた。相棒…
説明のつかない体験をしたことはありますか。偶然とは思えない出来事、夢と現実の境界線、時間が止まったような瞬間——実話をもとにした不思議な体験談を集めました。読み終わった後も、じわじわと余韻が続きます。
朝五時の北町ポートで、自転車の前輪だけがまだゆっくり回っていた。管理画面には、無人の乗車記録が毎晩一件ずつ並び、霜の上には手のひらの形が二つずつ付いていた。相棒…
異界の駅の話を十三本厳選。乗り過ごした先の無人駅、路線図にない地下鉄、時刻表にない二両の列車、雪夜に着いた木札の駅まで、三つの章で案内します。核心は伏せたまま、…
管理会社の私が開いた画面には、金曜の夜だけ空室の解錠ログが並んでいた。解錠は二十三時十四分、施錠は二十三時四十一分。誰も入れないはずの角部屋で、隣人は私に似た後…
夜間警備のアルバイトを始めて9日目の深夜、俺の端末の巡回ログに、存在しないはずの15番目の記録が現れた。時刻は毎晩少しずつ早まり、担当者の欄だけが空白のまま。郊…
東京の西のはずれで理容室を継いだ私は、父の言いつけで月末の月曜だけ店を早く閉める。棚の桐箱の髪は、仕舞った量より毎月増えていた。夜通し響く櫛の音と、鏡の前で動か…
ほんのり怖い話を十二本厳選。古いホテルの廊下、地下の小さな扉、谷に置かれた傘など、叫ばずに読める静かな不思議を三つの章で案内します。核心は伏せたまま、読む順番の…
市役所の臨時職員として、港町の漁協で古い台帳を取り込んでいた。寄り物帳の赤い栞は毎朝ひとつ先へ進み、最後の鉛筆の行には、まだ失くしていない私の持ち物が書かれてい…
深夜の物流団地で、ナビは同じ案内を五回繰り返した。分岐に立つ人影が振る赤い誘導棒は、いつも暗い側道を右へ指している。前任の先輩が残した付箋の三行目の意味を、私は…
夕暮れの突堤に、毎週木曜の17時半だけ現れる名前のない老人がいた。灯油配達の私に、彼は決まって同じことを尋ねる。古い顧客カードを開いた夜、私は自分の家にも空白の…
引っ越し作業員の俺たちは、出発前に必ず点呼の数を確かめる。取り壊し前の団地で最後の一世帯を運んだ日から、荷台の奥で誰かが一拍遅れて数えはじめた。同じマンションか…
タイムスリップの話を既存の体験談から12本選びました。二分進む時計、三十分巻き戻った峠道、押入れの奥に続く商店街など、小さな時間のずれから始まる不思議な話を、核…
深夜2時14分、メニューにない鼠の天ぷらの注文が入った。電源を切ったフライヤーからは、油の弾ける音がしていた。作ってもいない品に、星のレビューだけが先に付いた。…
山の怖い話を12本選びました。祠と山の神様、夜の山に入った人たち、峠と小屋という三つの入口に分け、核心は伏せて読みどころを案内します。道があるのに戻れない、山な…
引っ越して三日目から、私は玄関で「ただいま」と言うようになった。夕方7時12分、台所との境の引き戸に曇りガラスの人影が橙色に灯る。それは前の住人の帰宅なのか、そ…
夜間清掃の私に、黄色いベストの女性が湿った白い紙を手渡した。帰り道札と書かれたその紙には、私の知らない子どもの好きなものが並んでいた。受け取った夜から、搬入口の…
駅前の古い写真館で七五三の前撮りの着付けをしていた去年の11月。三階の桐の箱に眠る一枚だけの祝い着の肩上げが、11月に入ると一針ずつほどけていく。六歳の子どもた…
亡くなった祖父が夢の水族館へ連れて行く夜。証明写真に並んだ見覚えのない二人。崖でナイフを押さえた手。怖さより温かさが残る心霊ちょっと良い話を14本選び、夢・かた…
去年の六月、雨が上がった晩に入った注文の住所は、地図にない六丁目だった。更地の先に細い道が伸びていて、下りきったところに坂の下の灯りが並んでいた。受け取った人は…
村に残る掟、名を持つもの、山の側の理屈。逃げ場のない土地でだけ起こる田舎の怖い話を、The Mystery の記事から十五本選びました。四つの入口に分けて、核心…
去年の4月から今年の6月まで、私は同じ依頼主の単身引越を三度運んだ。そのたびに、伝票に載っていない無地の段ボールが一つ、鍵を開ける前から新しい部屋の玄関に置かれ…
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