名のない首輪が戻ってきた
去年の10月、飼ってもいない犬の首輪が、鍵をかけた部屋の玄関に置かれていた。前の晩まで、それは車で1時間半離れた祖母の家の納戸にあったはずだ。名前を彫る板には何…
続きを読む:名のない首輪が戻ってきた去年の10月、飼ってもいない犬の首輪が、鍵をかけた部屋の玄関に置かれていた。前の晩まで、それは車で1時間半離れた祖母の家の納戸にあったはずだ。名前を彫る板には何…
続きを読む:名のない首輪が戻ってきた去年の12月、雪の深い小板という町に一人で行きました。宿のおかみは外湯が七つあると言いました。けれど三日目の晩、案内図にない灯りが坂の下に見えたのです。八つ目の…
続きを読む:八つ目の外湯へ降りた夜記録的な渇水で、ダム湖の底から沈んだはずの旧道が現れた。護岸の点検に入った私は、泥から突き出た古い杭を数え、その本数を記録の余白に書き込んだ。地元で湖底の帳面と…
続きを読む:誰も数えない湖底の帳面去年の11月、県の北端にある神無の谷へ古書の出張買取に入った。奥座敷へ通される前に、この部屋では人の名を呼ばないでくださいと言われた。祠の土台にあった桐の名箱は…
続きを読む:無記と呼ばれた桐の名箱村に残る掟、名を持つもの、山の側の理屈。逃げ場のない土地でだけ起こる田舎の怖い話を、The Mystery の記事から十五本選びました。四つの入口に分けて、核心…
続きを読む:田舎の怖い話 15選深夜2時57分から3時までの三分間は、番組表の上では何も入っていません。コミュニティFMの当直に入った私は、その三分の確認用録音にだけ低い声が入っていることに気…
続きを読む:番組表にない確認用録音去年の4月から今年の6月まで、私は同じ依頼主の単身引越を三度運んだ。そのたびに、伝票に載っていない無地の段ボールが一つ、鍵を開ける前から新しい部屋の玄関に置かれ…
続きを読む:先積みの箱は伝票にない洲影の郵便局の裏には、配らない葉書を入れる留め置き棚がある。入るのは消印の日付が翌日になっている葉書だけで、切手は貼られていない。宛名はいつも浜通りの十一軒。先…
続きを読む:留め置き棚に残る消印去年の4月から、5歳まで暮らした旧道沿いの町が担当になった。夕方5時の音楽が折り返すと、右手の指の間だけが濡れる。玄関の右端はいつも湿っていて、そこだけ乾かない…
続きを読む:玄関の右端だけ乾かないロープアクセスの現場で、ロープは二本と決まっている。それなのに上で私を見ている相方だけが、代わる代わる三本目のロープを見たと言って現場を離れていった。私には一度…
続きを読む:誰も掛けていない三本目のロープ向渡へ渡る短い橋が架け替えになり、看板屋の私は親柱の写しを引き受けた。石の欠けまで写せたのに、根元のもやい輪だけが新しい柱に付かなかった。工房に預かった輪には、…
続きを読む:橋のもやい輪は写せない乗り過ごした夜の駅、人の気配だけが抜けた町並み、帰ってからの違和感。当サイトの異世界に行った話から十七本を選び、核心には触れずに読みどころだけを短く添えました。…
続きを読む:異世界に行った話 17選地下二十二メートルの立坑の底で、巻尺の目盛りが送られるような乾いた音が日ごとに数を増していった。掘り当てた古い石組みは止め井戸と呼ばれ、水を張って何かを留めてお…
続きを読む:止め井戸を空にした夜六月の第三金曜だけ、給食のトレーに献立表にない緑の団子がのります。この土地ではあそび団子と呼ばれ、奥の小部屋で二人だけが作り、職員には一つも配られません。翌日、…
続きを読む:あそび団子を味見した日築43年の団地に着任した41歳の管理員が、空き住戸の名札を作り替えたとき、古い紙の裏に赤い鉛筆で書かれた数字を見つけた。名札の裏の数字は住民ごとに違い、数字の大…
続きを読む:名札の裏の数字は誰が書くか湾岸の物流倉庫の四階、E通路の突き当たりに、床を四角く抜いて据えられた丸い石がある。動かせなかったのだと先輩は言い、その前では決して口をきかなかった。ある晩、私…
続きを読む:先輩は倉庫で口をきかない国道沿いのリユース店の奥に、白い値札のついた41点が並んでいた。金も銀も時計も、値のつかない品などない店で、その棚だけが例外だった。先代が守り続けた決まりを、私…
続きを読む:その棚だけ値札が白かった県境の湯の町の小さなラジオ局で、同僚が録ってきた音に、彼が言った覚えのない一言が入っていた。町の人は誰も驚かず、財布から薄い紙を出して見せる。ヨマセ様に代わりに…
続きを読む:代わりに読んでくれませんか山で道を失った話、いないはずの相手と交わした会話、時間や場所そのものがずれた話、そして一度離れたものが戻ってきた話。説明がつかないまま終わった不思議な体験の実話…
続きを読む:本当にあった不思議な体験の実話 16選深夜のコインランドリーを回る仕事で、あの店の奥の乾燥機にだけ、月に一度、手書きの札が貼られた。札のある台は開けない、日付が変わる前に出ない、忘れ物カゴには手を入…
続きを読む:順番を待っている奥の乾燥機ミステリーを応援する
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