口濯ぎさんに愚痴を預けた夏
夏の定期点検で、団地の調整池は前の週より澄みすぎていた。悪口を聞いてくださるという口濯ぎさんの古い木札と墨の文字を見つけた翌日から、水面が団地の人々の愚痴を小声…
○○様、○○さんと呼ばれる存在にまつわる怖い話を集めました。呼んではいけない名前、近づいてはいけない場所、決して振り返ってはいけない瞬間——日本の怪談ならではの恐怖をお届けします。
夏の定期点検で、団地の調整池は前の週より澄みすぎていた。悪口を聞いてくださるという口濯ぎさんの古い木札と墨の文字を見つけた翌日から、水面が団地の人々の愚痴を小声…
嫁いだ干拓地の家には、海に向いた雨戸を一枚だけ閉めない決まりがあった。義母は膳を数えるとき、私の顔を見ない。塩の皿は朝ごとに湿り、腕時計には覚えのない四千歩が残…
崖線の芋穴を改装した焙煎所を取材した冬、店主は毎朝、床を横切る乾いた粉の筋を掃いていた。隣の老女は言う。ほそりさまは袖から入る。店主が冬至の晩に奥の穴を撮った三…
港町の問屋町にある小さな保育園で働く僕は、去年の冬、橋詰のしるべ石の前で茶色い半纏の子から丸い金属の札を受け取った。汚れていたので、ごみ袋に落とした。翌朝、それ…
県境の湯の町の小さなラジオ局で、同僚が録ってきた音に、彼が言った覚えのない一言が入っていた。町の人は誰も驚かず、財布から薄い紙を出して見せる。ヨマセ様に代わりに…
四国の山あいの紙漉きの谷に嫁いだ私が見た、影の水とウツシサマにまつわる怖い話。日が抜けた後に漉いた紙には顔が浮く。障子を貼り替えた晩から、左利きの義妹の箸は右の…
怖い話の長編体験談。昭和四十三年の初夏、信州の養蚕の村へ嫁いだ私は、桑畑の土塀の上に白い菅笠の長身の女を見た。からりと乾いた音をさせる白丈さまに魅入られ、一族の…
ついこの間までお盆の行事だと思い込んでいた実家の風習を書いてみる。 実家と言うか、正確には母方祖母の実家の風習だけど。 母方祖母の田舎は山奥で、大昔は水不足で苦…
これは俺が小学5年生だった時の話だ。 当時、俺の通っていた学校では『心霊写真』を撮影するのが流行っていた。 俺のクラスの何人かも使い捨てカメラを持ち、放課後の校…
自分は子どもの頃から大学に入るまでずっと浜で育ったのだけど、海辺ならではの不思議な話が色々あった。 自分の家はその界隈で一件だけ漁師ではなく、親父は市役所の勤め…
私の父方の祖父は今年で齢九十近くになるが、今でも現役の漁師だ。 年に一度、盆に九州の祖父の家に遊びに行った時は、祖父と一緒に沖に出て釣りをするのが今でも恒例にな…
うちの母方の婆ちゃんが住んでいた村での話。 婆ちゃん家の村には山があるのだけど、その山の中に凄く綺麗な緑色の池がある。 限り無く青に近い緑色と言うか、透明気味な…
医者だった祖父が、とある山中の無医村に赴任した時の話。 当時6歳だった俺は、祖父と祖母の家に預けられる形で、一緒にその村で暮らすことになった。 喘息持ちの俺の転…
昔、祖父が山の近くで自営業を営んでいた。 祖母と母と俺は偶に山の方に入り、ワラビを採っていた。 これを焼いたり茹でたりして、マヨネーズを付けて食べると美味い。 …
ぼうなき様って知ってる? 想像以上にマイナーな行事だったので、地元から出て話題にした時は誰も知らなかった。 有名なS神社で行われる七五三の続きのような行事で、十…
幼稚園の行事で、雪山の宿泊施設へ泊まりに行きました。 小さなホテルに泊まるグループと、ロッジに泊まるグループに分かれていて、私はロッジに泊まるグループになりまし…
これは友人の実家へ泊まりに行った時、友人(Aとします)のお爺さんから聞いた話です。 友人の実家は山奥の集落にあり、小さい頃から夏休みになると一緒に泊まりに行って…
俺の住む集落には、『武君(たけぎみ)様』という神様が祀られている。 何でも、この集落を野武士などから守り命を落とした青年が神と成り、今もこの集落を守っているらし…
俺の家は物凄い田舎で、学校へ行くにも往復12キロの道程を自転車で通わなければならない。 バスも出ているけど、そんなに裕福な家でもないので、定期を買うお金が勿体無…
私の家は代々旅館を営んでおり、大きな旅館のため私が幼少の頃も両親共に忙しく、会話をした記憶も殆どありませんでした。 店の者が毎日学園まで迎えに来るので、学友と遊…
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