雪に閉ざされた湯宿の十三号
昭和の冬、地図にも載らない雪深い湯治宿で、巡回映写技師の私が過ごしたひと冬の怖い話。夜ごと近づく鈴の音、ひとりずつ欠けていく客、触れてはならない宿帳と十三号湯。…
昭和の冬、地図にも載らない雪深い湯治宿で、巡回映写技師の私が過ごしたひと冬の怖い話。夜ごと近づく鈴の音、ひとりずつ欠けていく客、触れてはならない宿帳と十三号湯。…
怖い話。深夜に取材音源を文字起こしする四十代のライターが、二人だけのはずの対談に低く混じる三人目の声に気づく。相づちはやがて録音の中の会話ではなく、いま聞いてい…
物流倉庫の夜勤で、棚の最上段に立つ作業員の影を見るようになった。誰もいないはずの位置に静かに立つその影は、夜が更けるたびに少しずつこちらへ近づいてくる。防犯カメ…
能登の小さな漁港で出会った時空のおっさんと、後日漁協で見つけた古い写真にまつわる不思議な話。真夏の早朝に起きた、説明のつかない実話体験談。…
夏祭りの帰り道、田んぼの畦道で見知らぬ若い女性に「脇道に入ってはいけません」と声をかけられた小学五年生の私。翌朝、その脇道で別の少年が事故に。あの女性は誰だった…
夜勤明けに毎朝寄っていたコンビニで、私と全く同じ服装の人が、いつも十分前に同じ缶を二本買って消えていた。異世界に住むもう一人の私と、同じ街で生きていた当時の不思…
岐阜・飛騨の山あいに残る旧高山本線の廃トンネル跡で起きた不思議な話。元保線員から聞いた、走らない最終便と紙の上にだけ残った時刻表。鉄道ライターが体験した一夜の実…
千葉県湾岸の工業地帯を夜に歩いていた女性が遭遇した、時空のおっさんと十二分の不思議な話。音が消え、信号が固定され、知らない道を歩いていた体験談。…
高知県の峠で長距離ドライバーが体験した不思議な出来事。使われていない公衆電話が鳴り出し、声が告げた「三十分後」が現実になった実話体験談。タイムスリップのような時…
佐賀県北部の農村の旧街道沿いに並ぶ石地蔵。帰省するたびに数えてきたその数が、いつの間にか増えていた。誰も置いていないのに。実話をもとにした怖い話。…
山梨県の廃集落跡を一人でハイキング中に発見した古い鳥居と低い石扉。開口部の奥から人声のような音に引き寄せられそうになった怖い話。帰宅後に撮影した写真に子供のよう…
祖父の一周忌で岡山の山間集落に帰省した。長老から「三日間、夜通し囲炉裏の火を絶やすな」と頼まれた。それがどんな怖い話だったのか、今も私はうまく説明できない。実話…
毎月の夜間点検で川向こうの同じ場所に人が立っていた。怖い話として語り継ぐべき実話体験談。祠の写真と葬儀の遺影が重なった夜の記憶。…
中国地方の山あいの無人駅。終列車を待つ間、駅舎裏の小さな保線通用口を覗いてしまった。這って入った先には、昭和十九年十一月の旧字駅舎が広がっていた。異世界に迷い込…
解体予定の古い吊り橋を取材した日のこと。同行のカメラマンが車に戻ってから様子がおかしくなり、彼は私に足元を見てくれと言った。…
北関東の丘陵地帯で測量中に濃霧に巻かれ、目を開けると藁葺きの村にいた。村はずれの小屋には、十年前に同じように来た男が住んでいた。彼が別れ際に渡した天保七年の測量…
二十五歳で末期のがんを告げられたいとこが、白い大蛇の医者に治療される夢を見るようになった。腫瘍は縮み、手術は成功し、担当医は記録にない処置の痕に首をかしげた。結…
一人暮らしの部屋で眠れない夜が続いていた。部屋を一周した姉が「なるほどね」とだけ言って帰り、数日後に枕元の人形が届いた。その日から私はよく眠れるようになる。けれ…
島根の地方紙で投書欄を担当していたころ、山あいの集落から一字一句まったく同じ本文の手紙が、毎回二通ずつ届きました。筆跡はわずかに違い、片方の消印は二十年も前に廃…
北海道・室蘭の古い病院で左手首を手術した夜、赤いパジャマの女の子が痛む腕を撫でてくれました。けれど、その病院の小児科は三年前になくなっています。四階の突き当たり…