タグ: 実話

七枚目の見積書

甲府盆地の外れで借りた元養蚕農家の納屋から、昭和六年の手書きの見積書が七枚出てきました。家の傷む順番も、下三桁の金額も、六十年前の紙と静かに重なっていきます。順…

見えない壁

二十年前の秋、城下町の寂しい県道で、俺は見えない壁にぶつかった。透明で、磨いた石のように固い壁。引き返した直後、一台の軽トラックが、何もない道で潰れた。土地が静…

帳場の椅子

祖父から継いだ古い旅籠の帳場の隅に、白い布をかぶせた一脚の椅子があった。決して座ってはいけない――幕末の悪徳主が遺したその椅子に座った者は、一年と経たずに命を落…

縁の下

母を亡くした幼い子を夜だけ預かっていた私は、ある晩から、誰もいない暗い部屋で笑うその子の声を、聞くようになりました。母はどこから来るのかと問われた幼子が指さした…

焼かれた十円玉

毎晩午前四時、郵便受けに焦げた十円玉が入れられる。おみくじ、髪の毛と、供えものは日ごとに不気味さを増していきました。覗き穴に現れた女の顔と、残された一言を描いた…

公園の違和感

深夜の帰り道、見慣れた公園の電柱が一本だけ、妙に長く見えました。近づいて気づいたその正体と、向かいの家をいまも覗き続けるものの言い伝えを描いた怖い話です。昼に確…

犯罪者に縁のある私

幽霊より、生きている人間のほうが怖い。九歳で出会った優しい常連客から、夜道の襲撃、そして抑揚のない声で同じ言葉を繰り返した車の男まで。犯罪者とばかり縁のある私の…

神社の奥の光

夕暮れの古い鳥居の奥に灯る光をめぐる、不思議な話の実話怪談です。手招きするように灯った淡い光。近づくほど濃くなる靄と、背筋を這う冷たい感覚の正体を、祖母は声をひ…

呼び寄せられた仲間

雪の夜に写真部の六人が引き寄せられるように集う、不思議な話の実話怪談です。卒業以来まったく会わなかった仲間が、一人また一人と現れ、明け方に一本の訃報が届きます。…