カスパー・ハウザー
昭和四十年、山あいの製材の町の終点のバス停に、素性の知れない色白の若者が現れました。暗がりで目が利き、どの階段でも必ず十三段目で止まる人でした。カスパー・ハウザ…
続きを読む:カスパー・ハウザー昭和四十年、山あいの製材の町の終点のバス停に、素性の知れない色白の若者が現れました。暗がりで目が利き、どの階段でも必ず十三段目で止まる人でした。カスパー・ハウザ…
続きを読む:カスパー・ハウザー認知症の父が、施設から何度も送ってきた意味不明のメール。「いわ」「いら」とだけ繰り返す文面を、私は苛立ちだと思い込み、返信もしませんでした。父の最後のメールが届…
続きを読む:2タッチ入力峠の一軒だけの洋食店。名物は三日火を入れるコンソメ。ある晩、湯気の消えた店で、見知らぬウェイターが告げた——「シェフは、煮詰まっております」。四日後の新聞記事で…
続きを読む:シェフは煮詰まっている解体を待つ無人の棟に、毎晩ひとつだけ灯りが点いていました。しかもその灯りは、取り壊しの進み具合に合わせて、一週間ごとに正確に一階ずつ下へ降りてくるのです。更地に…
続きを読む:無人マンション映像研究会の部室に、ラベルのないテープが一本だけ残されていました。瀬戸内の無人島で撮られた合宿の記録です。行きも帰りも六人、数はきちんと合っています。それなのに…
続きを読む:無人島ビデオゲーム好きだった祖母を亡くした春、孫だけで集まってテトリスを遊びました。選んだ覚えのないレベルから始まり、一度もクリアできたことのない私の指が止まらなくなります…
続きを読む:思い出のテトリス子どもの頃、友人二人と探検した町はずれの製糸工場の廃墟。その闇の奥から響いた若い女のため息に、私たちは一斉に逃げ出しました。三十年後、家族は口を揃えて言うのです…
続きを読む:存在しない廃墟四つの秋と十七の秋、私は妹を別々の場所で同時に見ました。丹波の谷にある祖父の家の、母屋と土蔵。数の増える踏み石、電気の来ていない蔵に点いた灯り、日付だけが五十年…
続きを読む:ドッペルゲンガー休職して帰郷する夜、乗り換えるはずのない山中の無人駅に降ろされた。唸り声しか出さない古い制服の駅員。祭囃子の鳴る誰もいない集落。義足の老人が手帳に書いてくれた地…
続きを読む:謎の駅と老人の地図ミステリーを応援する
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