弟の言葉

公開日: ほんのり怖い話

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弟が一時期変なこというので怖かった。

子供の頃、うちの実家はクーラーが親の寝室にしかなく、普段は自分の部屋で寝ている私も弟も真夏は親の部屋に布団をしいて寝ていた(結構広い部屋で12畳くらいあり、少し変形の部屋で一角に窪みがあってハンガーラックとか置いてあった)。

そこで寝ていた時、弟が小6、私が中3の時分の夏だけ弟が変なことを言い出した。

「昨日、寝てたねーちゃんがいきなり上半身だけムクッと起き上がって部屋のすみを指差すから見たら軍人みたいな格好のおじさんが立ってた」とか、
「夜中に目が覚めたら床から半分だけ身体が出た人がこっち見てた。縦にぴーっと割れた感じで、向かい合わせに添い寝してるみたいな近さで」とか、
「ねーちゃん昨日なんか喋ってたよ。変な呪文みたいなの」とか、
「あのかかってる服の下に座ってる人がいた」とか、
そういうことを別段怖がらせようとするでもなく淡々と数日おきに話す。

弟が虚言で注目集めたいキャラならともかく、大人しくて友達も多いタイプじゃないし、そういうこと言ったりする性格じゃないから本気で怖かった。
特に記憶ないのに私が何かやってたというのが怖かった。

結局、涼しくなって自分の部屋に戻った頃には言わなくなったし、その年だけだったんだけどだからこそ記憶に残ってるというか。
怖くて本人に「あれなんだったの?」って聞けなかったけど、今でも覚えてるのかな?

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