あやかし

公開日: 不思議な体験 | 怖い話

d0058941_20375296

工事中の仏閣を見た。仏像があるべき場所をクレーンのようなものでパーツがくるくる回っている。

俺は竹やぶに続く仏閣を参拝しようと山に入っていった。浅く霧がかかっていてなんとも神聖な雰囲気。

入ってすぐに分かれ道発見。真っ直ぐには石碑のような物体を発見。

「キョン」「キクケ」などと人の名前が入ったそれが縦に一列に並んでいた。

相棒がよく調べようとしたんだけど俺は気味が悪いと無理矢理止めて左の道へ進んだ。

更に進んでいくと僧の行列に遭遇、と思いきや奴らはみんな木や植物でできていた。

俺のすぐ前にいた“奴”が
「あんたらも参拝かい?」と聞いて来たので
「はい、そうですが…」と言って思わず肌を見せてしまった。

その瞬間にそいつはニヤ~として
「おーい、助けてくれ。人間がいるぞー」と走り出しやがった。

俺の相棒が「まずい、そいつを殺せ」と言ったので後を追いかけた。松や木が歩いていたが無視して走った。

追いついた所で俺はそいつを殴った。相手は倒れる。しかしすぐ起き上がって笑いかけてきた。
もう1人の切り株みたいな奴が気づきやがったが背負い投げで崖から突き落としてやった。

俺と相棒はひたすら逃げて逃げて逃げまくった。幸運なことに先頭のほうにいる連中には気づかれていなかったようだ。

そいつらを掻き分けて仏閣に着いて見ると工事中。

今度はもっと変な化け物が
「こいつは俺が掘った穴だ」みたいなこと抜かしてやがる。

俺と相棒は無視して工事中の仏閣の中に入り込んだ。

相変わらず連中は
「おい、奴らが中に入り込みやがった」と喚いていた。

俺はまだ未完成のガラガラに賽銭を入れて助けてくれるようにお願いした。

相棒曰く、あいつらの穢れた心ではこの中に入れないだろうと。
外に出てみると化け物は1人もいなかった。

俺「なんだ?消えちまったな」
相棒「奴らはあやかしだったのかもなぁ」

関連記事

キャンプ場

少女のお礼

この話は僕がまだ中学生だった頃、友人の家に泊まりに行った時に聞いた話。 友人と僕が怪談をしていると、友人の親父さんが入って来て、 「お前たち幽霊の存在を信じてるのかい? 俺…

林(フリー写真)

お姉ちゃんと鬼ごっこ

神隠しみたいなものに遭ったことがある。小学一年生の夏休みのことだ。 実家はいわゆる過疎地にあり、地域には同い年の子が数人しか居なかった。 その日は遊べる友達が居なかったので…

山では不思議なことが起きる

この話を聞いたのはもう30年も前の話。 私自身が体験した話ではなく、当時の私の友人から聞いた話。 その友人は基本リアリストの合理主義者で、普段はTVの心霊番組や心霊本などは…

車のテールランプ(フリー写真)

父親の謎の行動

俺と弟は心霊スポットが好きで、夜中に曰く付きの廃墟などに侵入していた悪ガキだった。 残念ながら二人とも霊感はないから、殆ど廃墟探険なのだけど、何もない田舎ではそれだけでも楽しかっ…

夢

記憶を追って来る女

語り部というのは得難い才能だと思う。彼らが話し始めると、それまで見てきた世界が別のものになる。 例えば、俺などが同じように話しても、語り部のように人々を怖がらせたり楽しませたりは…

何で戻ってくるんだ

3年程前の話。私は今でも、バイク好きで乗ってるんですけど、3年前は俗に言われる走り屋って奴だったんです。 その時行ってた峠の近くに湖があって、そこに大きな橋がかかってるんです。 …

さよなら

中学生の頃、一人の女子が数人の女子から虐められていた。 いつも一人で本を読んでいるような子で、髪も前髪を伸ばしっ放しで幽霊女なんて言われていた。 でもさ、その子滅茶苦茶可愛…

運命(フリー写真)

運命

その日は仕事で遅くなり、終電に乗って家へ帰ることになった。 駅に着き、改札を出て家へ向かって歩き始めると、駅前広場の片隅に何人か集まっていた。 よく見てみると、集まってい…

図書室(フリー写真)

本に挟まったメモ

高校3年生の時の話。 図書館で本を借りたら、本の中に 『こんにちわ』 と書かれたメモが入っていた。 次の週にまた別の本を借りたら、 『こんにちわ。このまえ…

山

山に住む神様

学生時代、週末に一人でキャンプを楽しむことがありました。 金曜日から日曜日にかけて、山や野原で寝泊まりするだけの単純なキャンプです。友達のいない私は、寂しさを自然の中に紛れ込ま…