田舎の怖い話 15選
村に残る掟、名を持つもの、山の側の理屈。逃げ場のない土地でだけ起こる田舎の怖い話を、The Mystery の記事から十五本選びました。四つの入口に分けて、核心…
村に残る掟、名を持つもの、山の側の理屈。逃げ場のない土地でだけ起こる田舎の怖い話を、The Mystery の記事から十五本選びました。四つの入口に分けて、核心…
昭和四十八年の夏、巡回映画の助手だった私は水没が決まった紀伊の山村へ入った。上映の夜、村人は全員が白い布に背を向けて座っていた。窓は新聞紙で塞がれ、子どもは名を…
四国の山あいの紙漉きの谷に嫁いだ私が見た、影の水とウツシサマにまつわる怖い話。日が抜けた後に漉いた紙には顔が浮く。障子を貼り替えた晩から、左利きの義妹の箸は右の…
宿を出るとき三和土で履物を一度脱ぎ揃え直してから履く——若狭の入り江に残るその作法を忘れた朝から始まった不思議な話です。平成十年の夏、隣家の絹さんを六十年ぶりの…
昭和三十四年、九州の炭鉱町で札場の番をしていた私が六十年黙っていた怖い話。坑内へ降りた者の数を木札で数える板壁に、番号のない釘が一本だけあった。数が合わない夜、…
平成八年の秋、越後の谷にある十一戸の在で、私はどの家の薬箱の底にも同じ白い包みを見つけた。開けた者は八十年ひとりもいないという。分析のため一つ持ち帰ると、包みは…
平成十二年の冬、奥会津の在に預けられた十四歳の私は、雪が積もらない湯屋の跡へ連れて行かれた。傷を引き取る湯にまつわる怖い話。叔父が足を負い従兄弟と二人で残った晩…
昭和四十六年の秋、出羽の山あいの在に電話線を引いた外線工手が体験した怖い話。谷の者は受話器を取ってから必ず三つ数えて答え、たがいを名で呼ばなかった。全戸開通の日…
昭和二十六年の上州の山あいにあった製糸場で検番をしていた女性が語る怖い話。その日の糸は工場で切ってはならず、夕方に蛹塚まで運んで切り口を土に返す作法があった。機…
平成五年の台風のあと、損害調査員の女性が丹後の在で体験した不思議な話です。十九戸のはずの集落で、三人が三つの違う屋号で同じ一軒を指し、段丘の下の草には二十枚の軒…
昭和四十二年、越中の常願寺川で堤を下げる工事があり、私は曳き家の職人として蓑輪という在の十一戸を建ったまま動かした。更地には畳の目が乾いたまま残り、曳いた先の家…
昭和四十四年の日向の山あいで飯場の賄いをしていた私は、夜神楽の晩に番付のない三十四枚目の面が舞われるのを見た。田舎の怖い話として残る椎ノ迫の留の正体と、握り飯が…
昭和五十八年の秋、美濃の山あいで板場三年目だった私が兄弟子と山の在へ膳を運んだ怖い話です。谷を挟んだ二つの在は互いを鏡と呼び、片方が水の下に沈んだあとも向かい膳…
昭和二十八年の秋、種屋のわたしは四国の在で砂糖しめ小屋を一晩借り、立冬の夜に一人で釜を焚いた。この在では火を借りるとき必ず名を言う。その教えを忘れた晩から、甘い…
平成四年の雪深い城下町。郵便配達の私は軒の途切れた「あき」で雪の中に立つ女に懐炉をひとつ手渡した。雁木の下で知らぬ人に物を渡してはならない。町の古い決まりを破っ…
昭和七年の六月、上州の蚕の町で白い麻に名を一つ縫った和裁士の怖い話。雨も降らぬ夜に屋根裏で桑を食む音がして、朝ごとに針目が二寸進み、七十七段の石段が帰りは六十九…
山の送電線を巡視していた頃の、忘れられない怖い話。無風なのに低く鳴る索道のワイヤー、下草に残る一列の跡、そして梢に腕だけで懸かるもの。姿を消した先輩が谷に残した…
平成五年、大学図書館の地下二階の資料保存室で、私は県北の旧家から寄贈された古い蔵書を繕っていた。虫が食って欠けた文字は、規定どおり推定で墨で補う。やがて誰にも貸…
昭和四十六年、北国の低地の村に赴任した若い駐在巡査が語る田舎の怖い話。圃場整備で沼の古い樋が壊された夜から、戸口に濡れた藁苞が置かれ、撒いたはずの水が桶へ同じだ…
昭和三十三年の秋、巡回映写技師の私は干拓が完工したばかりの有明の集落で野外映写会を開いた。癖で客の頭を数えると、村の人数より三つ多い。潮入れをやめた土地で、幕の…