ヒッチハイク(長編)
今から7年ほど前の話になる。 俺は大学を卒業したものの、就職も決まっていない有様だった。昔から追い詰められないと動かないタイプで、「まぁ何とかなるだろう」とお気…
続きを読む:ヒッチハイク(長編)今から7年ほど前の話になる。 俺は大学を卒業したものの、就職も決まっていない有様だった。昔から追い詰められないと動かないタイプで、「まぁ何とかなるだろう」とお気…
続きを読む:ヒッチハイク(長編)昭和五十三年、内陸の町の磁気テープ工場。名札を外して消磁室に入れという古い規則の意味を、私は隣の寮に住む先輩が皆の記憶から消えた秋に知りました。フィラデルフィア…
続きを読む:フィラデルフィア消磁実験雪深い町の古い図書館に勤める私のもとへ、痩せこけた見知らぬ男が毎朝「僕のお母さんですか」と問いかけてきます。不気味な日々の果て、大火事の夜に彼がとった行動と、六…
続きを読む:名も知らぬ息子子どもの頃、私のそばにはいつも、姿の見えない「いたずら好きな何か」がいました。肩を叩き、時計を狂わせ、ときに私を危険から守った、その正体とは——。やがて知ること…
続きを読む:イタズラ好きな何か深夜の商業ビルで警備員をしていた私は、午前三時、屋上を映す監視カメラに白い人影を見つけました。天使だと思おうとしたそれは、夜ごと一階ずつ階段を降り、私のいる警備…
続きを読む:三時のカメラ民俗学のゼミの手伝いで、地図にない山あいの集落にひと夏を過ごした。写してはならぬ顔という言い伝えを、私は鉛筆一本で試した。鏡をすべて外した家、白く塗りつぶされた…
続きを読む:写してはならぬ顔すべてを失い、北の森の山小屋でひと冬を越すことにした私。二度目の大雪の後、体の芯が凍え、隣で眠る相棒がなぜか旨そうに見え始めます。飢えに憑かれ人でなくなっていく…
続きを読む:ウェンディゴ憑き丘の上の療養病棟。金曜の夕方になると、玄関の前に灰色のセダンが停まりました。娘が迎えに来るのだとKさんは言います。けれど面会名簿の欄はいつも空白で、防犯カメラの…
続きを読む:金曜だけ来る灰色のセダンサン・ジェルマン伯爵は18世紀パリに現れた正体不明の人物です。五十年前と同じ顔を覚えていた伯爵夫人、三百年仕えたと答える使用人、傷の消えたダイヤモンド、そして死…
続きを読む:サン・ジェルマン伯爵俺の経験から言わせてもらう。何かに取り憑かれたりしたら、マジで洒落にならないことになると最初に言っておく。 もう一つ。一度や二度、お祓いをすれば何とかなるってこ…
続きを読む:リアル(長編)祖父から継いだ宿場町の旅籠には、帳場の椅子が一脚あり、俺が生まれる前から白い布がかぶせてあった。布を取るな、動かすな、座らせるな。祖父の最期の言葉の意味を、俺は…
続きを読む:帳場の椅子に掛けた白い布まだ誰もがカセットテープを使っていた頃、亡くなった叔父の遺品だという一本を借りた。深夜、録音が終わった無音に、波の音と、抑揚のない男の声が混じる。海に浮かぶもの…
続きを読む:しりとりをしてみようか終戦間際に消息を絶った一機を、祖父は五十三年間、旧滑走路の端で待ち続けました。霧の夜に響いた発動機の音と若いままの声、残された航空時計の針が指す時刻。整備員だっ…
続きを読む:53年後に帰還した爆撃機記録的な大雨で半鐘が鳴った晩のことです。藍色の着物を着た裸足の猫を抱えた子が、百段の石段を誰よりも速く駆け上がっていきました。町じゅうの者がその姿を見ているのに…
続きを読む:猫を抱えた子が追い抜いた夜ミステリーを応援する
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