しりとりをしてみようか
まだ誰もがカセットテープを使っていた頃、亡くなった叔父の遺品だという一本を借りた。深夜、録音が終わった無音に、波の音と、抑揚のない男の声が混じる。海に浮かぶもの…
続きを読む:しりとりをしてみようかまだ誰もがカセットテープを使っていた頃、亡くなった叔父の遺品だという一本を借りた。深夜、録音が終わった無音に、波の音と、抑揚のない男の声が混じる。海に浮かぶもの…
続きを読む:しりとりをしてみようか終戦間際に消息を絶った一機を、祖父は五十三年間、旧滑走路の端で待ち続けました。霧の夜に響いた発動機の音と若いままの声、残された航空時計の針が指す時刻。整備員だっ…
続きを読む:53年後に帰還した爆撃機記録的な大雨で半鐘が鳴った晩のことです。藍色の着物を着た裸足の猫を抱えた子が、百段の石段を誰よりも速く駆け上がっていきました。町じゅうの者がその姿を見ているのに…
続きを読む:猫を抱えた子が追い抜いた夜塾帰りの歩道橋で、突然すべての車も鳥も枯れ葉さえも静止し、時間が止まりました。目の前に現れた継ぎ目のない灰色の男女は、私を見て「あ」とつぶやき——。小学五年の秋…
続きを読む:タイムトラベラー高熱の地下鉄で記憶が途切れ、気づくと一年後の見知らぬ街に立っていました。染めた髪、知らない服、一文字だけの連絡先、そして見知らぬ鍵。失われた一年をめぐる、この不…
続きを読む:失われた時間雨宿りの軒先で出会った、傘も持たない上品な紳士。別れぎわ、彼はわたしに不可解な予言と、片方だけのイヤリング、そして奇妙な紙きれを託しました。Quale は物質に…
続きを読む:Qualeは物質に干渉する俺、建築関係の仕事やってんだけれども、先日、岩手県のとある古いお寺を解体することになったんだわ。今は利用者もないお寺ね。 それでお寺ぶっ壊してると、同僚が俺を呼…
続きを読む:リョウメンスクナ毎晩午前四時、郵便受けに焦げた十円玉が入れられる。おみくじ、髪の毛と、供えものは日ごとに不気味さを増していきました。覗き穴に現れた女の顔と、残された一言を描いた…
続きを読む:焼かれた十円玉娘の難産に憔悴しきっていた伯母のもとへ、十年も連絡の途絶えていた幼馴染から、突然の電話がかかってきました。今、神様をやってるのよ、と。すがろうとした夜に、伯母は…
続きを読む:救ってあげる、という声夜中に屋上から双眼鏡で街を眺めるのが、私のひそかな趣味でした。ある晩、坂の途中の自動販売機の脇に立っていた、痩せて骨の浮いた白い影。目が合うと、それは満面の笑み…
続きを読む:坂を駆け上がるものミステリーを応援する
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