タグ: 体験談

電話台の数字は増えていく

沼津の港にある屋根だけの公衆電話から、かけてはいけない番号に電話をしました。名前は名乗っていません。それなのに翌年、横の電話台の数字に、私の年齢が書き足されてい…

朝顔のプランターの数

家の裏手の松林の奥に、朝顔のプランターが並んだ平屋がありました。行くたびに、数がひとつずつ増えていきます。六つになった日、私は生ぬるいコップを手渡されました。二…

円錐状の光沢金属

金属加工業を営む私の左手薬指から、円錐状の光沢金属が出てきました。硬度はHRC65、非磁性、鏡面仕上げ。レントゲンには何も写らず、知り合いに送ると梱包は完璧なの…

体育館の脇で会った子犬

小学五年生の初冬、スクールバスの停留所で動かなくなった子犬を見つけました。校庭の土はどこも固く、掘れたのは体育館の脇だけでした。その日の夕方、同じ模様の子犬が畑…

霊感のある生徒

高校の先生が初めて担任を持った年、窓の外ばかり見ている霊感のある生徒がいました。向かいのマンションに立つ焼け焦げた女性、文化祭の古い仏壇、修学旅行の壕で起きた三…

ポラロイドに写った目

幽霊はいない、とAは言いました。光を反射する物体がなければ何も見えないからです。その理屈を確かめに、廃業した山あいの診療所へ入り、ポラロイドで三枚だけ撮りました…

無人駅の戸の下の隙間

魚沼の柄沢という谷にあった無人駅の便所は、戸の下が五寸だけ空けてありました。除雪の帰りに立ち寄った晩、その隙間から横に並んだ二つの目にじっと見られた男が、三十年…

501号室の老人(神父の子5)

教会の息子だった頃、ホームヘルパーの田中さんに頼まれて訪ねた古い県営マンション。501号室の老人が、突然、五十代の男の声で話し出しました。エレベーターの異変、駐…

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