Metro-Train-Subway-(1)

ニューヨークの地下鉄を私はよく利用する。

毎朝通勤の度に地下鉄構内で何やらぶつぶつ言ってる一人のホームレスの男がいた。

男の近くの壁に寄り掛かり、内容を盗み聞きした。

目の前をおばさんが通る。すると男は
「豚」
と呟いた。

私は思った。なんだただの悪口か、動物に例えているだけか…。

次に普通のビジネスマンが通る。すると男は
「人」
ああ、まさに普遍的人間って感じの人だな…。

別の日、暇潰しにまた盗み聞きしてみる。

男の目の前をやつれた男が通る。すると男は
「牛」
と呟いた。

牛? どちらかと言うと痩せた鳥だが…?

次に典型的な肥満の男が通る、すると男は
「野菜」
と呟いた。

野菜? 豚の間違いだろ?

私は家に帰り考えた。 もしや、次に生まれ変わる生き物を言い当てているのか?

その後、何度もホームレスを観察しているうちに疑問も確信に変わった。

ある日思い切ってホームレスに疑問をぶつけ、能力を身につける方法を教えてくれと懇願した。

ホームレスは淀んだ目で私を見つめた後、私の頭に手をかざした。

次の日からホームレスはいなくなった。仙人だったのだろうか? はたまた神か?

私は能力を身につけた。

それは期待するものとは違っていた。

ただ単に、その人が直前に食べたものを言い当てられるだけだった。

私はあまりのくだらなさに笑ってしまった。