タグ: 心霊

住所のない開業挨拶状

廃業を控えた活版印刷の老舗をひと月取材した、ライターの私が体験した不思議な話。誰も触れていないのに、夜ごと組まれていく挨拶状の活字。湯呑みはいつも一つ余分。そし…

L-108の本

図書館のバイト中、毎朝同じ棚から同じ本が落ちていた。最後に借りた利用者の記録をたどると、退会処理済みの文字があった。…

ビスコ

高校時代、五人組だった私たちは、いつも「もう一人いる」気がしていました。修学旅行の夜、各自が持ち寄ったお菓子を広げると、なぜかビスコが六つ。五人しかいない部屋で…

存在しない廃墟

子どもの頃、友人二人と探検した町はずれの製糸工場の廃墟。その闇の奥から響いた若い女のため息に、私たちは一斉に逃げ出しました。三十年後、家族は口を揃えて言うのです…

家族

製本所の主任、五十嵐さんは誰も写っていない写真を見せてくる。弁当は毎日二段で、出張の土産は必ず三つ。創業五十年の慰労会の帰り、真っ暗な家の奥から軽い足音が走って…

飼い猫

雪深い山あいの古い家で、七歳の私を夜ごと訪れた二つの影。布団の中の顔、窓辺の少女、闇の廊下を歩く裸足の足音、そして夢に伸びてくる冷たい手。守ってくれたのは、一匹…

三時のカメラ

深夜の商業ビルで警備員をしていた私は、午前三時、屋上を映す監視カメラに白い人影を見つけました。天使だと思おうとしたそれは、夜ごと一階ずつ階段を降り、私のいる警備…

縁の下

母を亡くした幼い子を夜だけ預かっていた私は、ある晩から、誰もいない暗い部屋で笑うその子の声を、聞くようになりました。母はどこから来るのかと問われた幼子が指さした…

焼かれた十円玉

毎晩午前四時、郵便受けに焦げた十円玉が入れられる。おみくじ、髪の毛と、供えものは日ごとに不気味さを増していきました。覗き穴に現れた女の顔と、残された一言を描いた…

公園の違和感

深夜の帰り道、見慣れた公園の電柱が一本だけ、妙に長く見えました。近づいて気づいたその正体と、向かいの家をいまも覗き続けるものの言い伝えを描いた怖い話です。昼に確…

遺言ビデオ

冬山に単独で挑む同僚が、万一に備えて遺言ビデオを撮ってほしいと頼んできました。半年後、本当に彼は山で亡くなります。初七日に再生したその映像が一変する、背筋の凍る…

霊感テスト

山あいの古い民家での合宿の夜、先輩が口にした「霊感テスト」。目を閉じ、実家の窓を順に開け閉めするだけの、他愛もない遊びでした。けれど、その遊びには、やるたびに見…

…からの電話

卒業旅行で訪れた、湖畔の古い別荘。深夜に鳴った黒電話から聞こえたのは、テープを早送りしたように歪んだ、女の声でした。その電話を受けた者から、一人、また一人と。受…

睡魔

出張で泊まった山あいの古い旅館。夜中、押し入れの闇から青白い手がわらわらと伸びてきたのに、疲れと眠気でどうしても相手にできず、私は無視して眠ってしまいました。必…

もっさ

学生の頃に住んだ古いアパートで、私は頻繁に金縛りにあいました。ある晩、首筋に触れたのは長い黒髪ではなく、もっさりと両脇に降ってくる感触。頭に浮かんだのは、巨大な…