・・・からの電話

teiban4-00200

A、B、Cの三人が、卒業旅行で海辺にあるAの別荘に遊びに行った。

別荘から帰る前日、夜遅く三人で話をしていると、突然1本の電話が。Aが言うには、昼間、浜で地元の女の子と知り合い、この別荘の電話番号を教えたとのこと。Aは二人にからかわれながらも受話器を取った。

『あなた…キュルキュルキュル…でしょ?』

その女性とは違うらしいと思ったAは「どなたですか?」と尋ねたが、受話器からは『あなた…キュルキュルキュル…でしょ?』と繰り返されているだけ。気味が悪くなったAは電話を切った。誰だったのかと尋ねる二人に、Aは電話のことを話した。

「女の声で、ずっと『あなた…キュルキュルキュル…でしょ?』って言ってるんだよ。まるでテープの早送りみたいにキュルキュルって…」

3人とも何か気味の悪いものを感じたが、結局はいたずら電話だということに落ち着いた。

帰る当日、Aは別荘に残るといい、BとCは自宅へと戻った。

その夜、CのもとへBから1本の電話が。それは、Aが海で溺れて死んだという知らせだった。

 

それから1年がたち、CはしだいにAのことを忘れていった。

そんなある日、ほとんど連絡のなかったBから、電話がかかってきた。懐かしい友人からの電話に喜ぶCだったが、Bはどうも気分がすぐれない様子だった。

『なあC、海に行った時のこと覚えてるか?あの時、Aに変な電話がかかってきただろ』
「ああ、そういえばあったな」
『あの電話、俺の所にもかかってきたんだ…』
「何だって!?」
『俺、死ぬのかな…Aはあの電話の後死んだだろ…?』
「そんなの偶然だよ。そうだ、久しぶりに会わないか?」
『そうだな…会おう』

待ち合わせの日、先に着いたCはBを待っていたがなかなか現れない。心配したCはBに電話をしてみるが、誰も出ない。結局その日、Bは待ち合わせ場所に現れなかった。数日後、Bが待ち合わせ場所に来る途中、交通事故にあって死んだことを聞いた。

それ以来、電話に出ることが恐ろしくなったCは、電話がかかっても留守電を通すなどし、直接電話に出ることをしないようにした。

数ヶ月がたっても特に何も起こらず、Cも電話のことを忘れかけていた。

 

ある日、Cは最近できた彼女と電話で話していた。Cは彼女との長電話を楽しみ、翌日遊びにいく約束をし、電話を切った。しかし、受話器を置いて、すぐに再び電話がなった。Cは彼女が何か言い忘れたのだろうと思い、受話器を取った。

『あなた…キュルキュルキュル…でしょ?』

Cは焦った。あの電話だ…!

「おい、誰なんだ!?いたずらはやめろ!」
『あなた…キュルキュルキュル…でしょ?あなた…キュルキュルキュル…でしょ?あなた…キュルキュルキュル…でしょ?あなた…キュルキュルキュル…でしょ?あなた…キュルキュルキュル…でしょ?あなた…』

Cは怯えながらも、電話を切ったら自分も死ぬと思い、ずっと受話器を握り締めていた。

何時間が経っただろうか、気がつけば空も白み始めている。

さすがにCも限界だった。

しかしその頃から、電話の『キュルキュルキュル』というテープの早送りのような部分が、徐々にゆっくりとなっていった。
『あなた…キュルキュルキュル…でしょ?あなた… キュル キュル キュル …でしょ?あなた…』
『キュルキュルキュル』の部分は、少しずつ人の声へと近づいていく。

そして、とうとうはっきりと声が聞こえるようになった。

『あなた…死にたいんでしょ?』

「俺は死にたくない!死にたくない!!」

Cがそう叫んだ瞬間、電話は切れた。Cは元気に暮らしているらしい。

関連記事

神秘的な山道

おまつり

俺の生まれ育った村は、田舎の中でも超田舎。もう随分前に市町村統合でただの一地区に成り下がってしまった。これは、まだその故郷が○○村だった時の話。俺が小学6年生の夏のことだった。…

村

祟り神

中学生の頃に祖父から聞いた話。俺の地元の山には神主も居ない古びた神社があるんだが、そこに祀られている神様は所謂「祟り神」というやつで、昔から色々な言い伝えがあった。大半…

磨りガラス(フリー素材)

ガラス戸の向こう

この事件が起きるまで、俺は心霊現象肯定派だった。でも今は肯定も否定もしない。今から十二年前、俺は仕事の都合で部屋を引っ越すことになった。その部屋は会社が用意したもので、…

田舎(フリー素材)

ワラズマ

子供の頃に変なものを見た。遠縁で実際は血が繋がっていないんだけど親同士の仲が良いので、俺は夏休みになると毎年○家に何泊かしていた。俺はその頃4歳くらいだった。 ※ …

公園の違和感

夜遅くの帰り道、公園の横を通った。遠くから歩きながら公園の方を見ると、なんか違和感がある。近づいていくと、違和感の正体が分かった。電信柱の長さが違う。一方の電信柱の上に、髪が長…

てるてる坊主(フリー素材)

いもうと

俺の家には昔、いもうとが居た。いもうとと言っても人間ではなく、赤ん坊くらいの大きさの照る照る坊主みたいな奴だった。下の方のスカートみたいな部分を丸く結んだ感じ。まあつま…

神社の生活

これは5年程前から始まる話です。当時、私は浮浪者でした。東京の中央公園で縄張り争いに敗れて、危うく殺されかけ追放された後、各地を転々とし、最後に近畿地方のとある山中の神社の廃墟…

リゾート(昼)

リゾートバイト(前編)

これは夏休みも間近に迫った大学3年生の頃の話。大学の友人の樹と覚、そして修(俺)の3人で、海に旅行しようと計画を立てたんだ。計画段階で、樹が「どうせなら海でバイトしない…

結婚指輪(フリー写真)

ムサカリ

俺は今は大きなデザイン事務所に勤めているのだけど、専門学校を出て暫くは、学校から勧められた冠婚葬祭会社で写真加工のバイトをしていた。葬式の場合は遺影用としてスナップから顔をスキ…

女性の肖像画

今朝、鏡を見ていたらふと思い出した事があったので、ここに書きます。十年くらい前、母と当時中学生くらいだった私の二人でアルバムを見ていた事がありました。暫くは私のアルバム…