牛鳴き横丁は地下で鳴る
深夜の漏水調査で聴音棒を当てると、牛鳴き横丁の地下から、牛の声が二度、長く短く返ってきた。管のない場所から届くその声に、返事をしてはいけないと金物店の老人は言っ…
深夜の漏水調査で聴音棒を当てると、牛鳴き横丁の地下から、牛の声が二度、長く短く返ってきた。管のない場所から届くその声に、返事をしてはいけないと金物店の老人は言っ…
去年の11月、県の北端にある神無の谷へ古書の出張買取に入った。奥座敷へ通される前に、この部屋では人の名を呼ばないでくださいと言われた。祠の土台にあった桐の名箱は…
深夜2時57分から3時までの三分間は、番組表の上では何も入っていません。コミュニティFMの当直に入った私は、その三分の確認用録音にだけ低い声が入っていることに気…
去年の4月から今年の6月まで、私は同じ依頼主の単身引越を三度運んだ。そのたびに、伝票に載っていない無地の段ボールが一つ、鍵を開ける前から新しい部屋の玄関に置かれ…
市役所で公共の時計を合わせて回っていた頃、広場の時計塔だけが二分進む時計だった。何度直しても翌月には必ず同じだけ先を指している。明治の頃まで町中に時を配っていた…
長距離トラックの運転手だった私が、先輩から授かった助手席のベルトを締める習慣。三十年欠かさず守ってきたその儀式が、還暦を過ぎたある夜から少しずつ崩れていく。締め…
能登の小さな漁港で出会った時空のおっさんと、後日漁協で見つけた古い写真にまつわる不思議な話。真夏の早朝に起きた、説明のつかない実話体験談。…
岐阜・飛騨の山あいに残る旧高山本線の廃トンネル跡で起きた不思議な話。元保線員から聞いた、走らない最終便と紙の上にだけ残った時刻表。鉄道ライターが体験した一夜の実…
千葉県湾岸の工業地帯を夜に歩いていた女性が遭遇した、時空のおっさんと十二分の不思議な話。音が消え、信号が固定され、知らない道を歩いていた体験談。…
深夜のタクシー無線に、営業所が出したはずのない配車指示が入るようになった。訪ねた住所はいつも更地だった。『三時台の住所』と呼ばれる怪異を、個人タクシー運転手が淡…
帰省した朝、幼い頃通った商店街が消えていた。地図にも記録にもない。でも古い写真の中には確かにあの商店街がある。地元の老婆が言った。「覚えていると、他のものが消え…
築45年の木造アパートの階段は十二段。それを私は毎晩数えて上る。ある夜、十三段目を踏んだ。そこにあるはずのない踊り場と、開いたままのドア。…
出張帰りに終電を逃した深夜の無人駅。待合室で出会った中年男性は、ありえないことを知っていた——時空のおっさんシリーズ最新話。…
六本木から龍土町へ向かう雨の夜、タクシーの運転手さんから聞いた話です。番組スタッフの五人が、ビル5階のバー『舞姫』で感じた異変と、入り口に貼られた四体の和紙人形…
沼津の港にある屋根だけの公衆電話から、かけてはいけない番号に電話をしました。名前は名乗っていません。それなのに翌年、横の電話台の数字に、私の年齢が書き足されてい…
二〇〇二年の冬、金沢の下宿から繋いだ深夜の掲示板に、二〇四五年から来たと名乗る人がいました。その人が書くのは、駅前の時計が三分遅れるといった小さなことばかりです…
岐阜と福井の県境にあった杉洞という集落には、境に触れてはならないという決まりが残っていました。大正十五年の山廻り日誌の、その年の頁だけが鉛筆で書かれていた理由と…
兵庫県加古川に伝わる戦後の話を、高校一年の冬に同級生から聞いた。夜中にぼんやりした光が近づいても、決して目を閉じてはいけない。その約束事の理由も、鹿島さんと三度…
敦賀の中学の二年一組には、四月から机が一つ多く並んでいました。苗字のない同級生キミアキは、班にも体育祭のアンカーにもいたのに、記録用紙の欄だけが空いています。卒…
取り壊し寸前の屋敷を実測した日、鋼の巻尺は必ず突き当たりの二尺手前で止まりました。翌朝に写された間取り図の廊下は、それから十四日ごとに二尺ずつ伸びていきます。平…
ミステリーを応援する
読んでいただけるだけで、十分に励みになります。
当サイトは個人で運営しており、いただいたご支援はサーバー代やドメインの維持費に大切に使わせていただきます。
¥240 の一度きりのお支払いで応援いただけます。
お礼として、以後ずっと広告を非表示にいたします(継続課金はありません)。
ブラウザを変えた・Cookieを削除した場合は、登録のメールアドレスを入力してください。