本当にあった不思議な体験の実話 16選
山で道を失った話、いないはずの相手と交わした会話、時間や場所そのものがずれた話、そして一度離れたものが戻ってきた話。説明がつかないまま終わった不思議な体験の実話…
説明のつかない体験をしたことはありますか。偶然とは思えない出来事、夢と現実の境界線、時間が止まったような瞬間——実話をもとにした不思議な体験談を集めました。読み終わった後も、じわじわと余韻が続きます。
山で道を失った話、いないはずの相手と交わした会話、時間や場所そのものがずれた話、そして一度離れたものが戻ってきた話。説明がつかないまま終わった不思議な体験の実話…
深夜のコインランドリーを回る仕事で、あの店の奥の乾燥機にだけ、月に一度、手書きの札が貼られた。札のある台は開けない、日付が変わる前に出ない、忘れ物カゴには手を入…
売りに出る前の空き家で寸法を測っていると、廊下の長さと各部屋の内寸が、どうしても畳一枚半ぶん合わなかった。畳の上を白く細いものが這い、私の問いかけに頷くように曲…
昭和四十八年の夏、巡回映画の助手だった私は水没が決まった紀伊の山村へ入った。上映の夜、村人は全員が白い布に背を向けて座っていた。窓は新聞紙で塞がれ、子どもは名を…
宿を出るとき三和土で履物を一度脱ぎ揃え直してから履く——若狭の入り江に残るその作法を忘れた朝から始まった不思議な話です。平成十年の夏、隣家の絹さんを六十年ぶりの…
市役所で公共の時計を合わせて回っていた頃、広場の時計塔だけが二分進む時計だった。何度直しても翌月には必ず同じだけ先を指している。明治の頃まで町中に時を配っていた…
昭和五十八年、市役所の宿直室で夜間の代表電話を受けていた私に、毎月十三日の同じ時刻だけ、同じ声が橋のたもとの街灯の不具合を告げました。番地を辿ると、そこは区画整…
昭和三十四年、九州の炭鉱町で札場の番をしていた私が六十年黙っていた怖い話。坑内へ降りた者の数を木札で数える板壁に、番号のない釘が一本だけあった。数が合わない夜、…
買い取った蔵書から抜いたはずの古書の紙片が、翌朝また同じ頁に挟まっている。鉛筆の数字は、私が抜いた回数と同じだけ減っていった。四分遅れの柱時計と、いないはずの人…
神田の古書店に、同じ一冊が三度持ち込まれた。臙脂の布装、貼られた貸出票、十七の罫のうち十三の行だけが白い。借りた覚えのない本の、その行に自分の字があった日から、…
昭和四十六年の秋、出羽の山あいの在に電話線を引いた外線工手が体験した怖い話。谷の者は受話器を取ってから必ず三つ数えて答え、たがいを名で呼ばなかった。全戸開通の日…
能登半島の先端近くにある無人の入江で海底調査を行った潜水士が、深度計も時計も狂う海域で人の手による石段を発見する。石段を十段上った先に広がっていたのは、潮の止ま…
船頭から聞いた海の怖い話。紀伊半島の南、瀬渡し船でしか上がれない独立磯で、上がりを知らせる汽笛は二度鳴る。一度目で立つなと言われた午後、暦にない干潮が始まり、対…
存在しないはずの京都の路地が、雨の日に一度だけ口を開ける。蔵書目録を編む仕事をしていた私が、平成三年の西陣で見つけた一冊の細見図。その見返しには、どの地図にも載…
平成五年の台風のあと、損害調査員の女性が丹後の在で体験した不思議な話です。十九戸のはずの集落で、三人が三つの違う屋号で同じ一軒を指し、段丘の下の草には二十枚の軒…
六年前の秋、記録的な渇水でダム湖の水位が二十メートル下がり、沈んだ村の旧道と渡し場の三十七段の石段が湖底から現れました。渇いた年を彫り継ぐ石の標柱、欄干に固結び…
昭和五十八年の秋、美濃の山あいで板場三年目だった私が兄弟子と山の在へ膳を運んだ怖い話です。谷を挟んだ二つの在は互いを鏡と呼び、片方が水の下に沈んだあとも向かい膳…
昭和六十三年の秋、瀬戸内の無人島の石切場跡で記録調査に加わった写真係の怖い話です。城へ渡らぬまま残された石には宛名の刻紋が彫られたまま、平場には水の溜まらない筋…
昭和五十一年、城下町の電話局で度数計の数字を読み写す仕事に就いた。誰も加入していない空き番号の計器だけが、毎月七ずつ増えていく。更衣室のロッカーは一つ減り、記念…
昭和四十三年の夏の終わり、蜂を追って分水嶺を越えた養蜂家が迷い込んだのは、菜の花と藤と蕎麦が同時に咲く谷だった。異世界に行った話として書き残しておく。灰色の蜜は…