タグ: 都市伝説

三時台の住所

深夜のタクシー無線に、営業所が出したはずのない配車指示が入るようになった。訪ねた住所はいつも更地だった。『三時台の住所』と呼ばれる怪異を、個人タクシー運転手が淡…

誰も覚えていない通り

帰省した朝、幼い頃通った商店街が消えていた。地図にも記録にもない。でも古い写真の中には確かにあの商店街がある。地元の老婆が言った。「覚えていると、他のものが消え…

十三段目

築45年の木造アパートの階段は十二段。それを私は毎晩数えて上る。ある夜、十三段目を踏んだ。そこにあるはずのない踊り場と、開いたままのドア。…

電話台の数字は増えていく

沼津の港にある屋根だけの公衆電話から、かけてはいけない番号に電話をしました。名前は名乗っていません。それなのに翌年、横の電話台の数字に、私の年齢が書き足されてい…

深夜の掲示板に来た人

二〇〇二年の冬、金沢の下宿から繋いだ深夜の掲示板に、二〇四五年から来たと名乗る人がいました。その人が書くのは、駅前の時計が三分遅れるといった小さなことばかりです…

山で会う子に道を訊く理由

岐阜と福井の県境にあった杉洞という集落には、境に触れてはならないという決まりが残っていました。大正十五年の山廻り日誌の、その年の頁だけが鉛筆で書かれていた理由と…

キミアキは家を言わない

敦賀の中学の二年一組には、四月から机が一つ多く並んでいました。苗字のない同級生キミアキは、班にも体育祭のアンカーにもいたのに、記録用紙の欄だけが空いています。卒…

駅の下にもうひとつの駅

町でいちばん深い地下駅には、昔から避難場所になるという噂があった。乾いた風、下を向いた非常口、一拍長いエレベーター、地下五階の求人。延伸工事で配線を引いた父は、…

ベビーカー

昭和五十四年の秋、人形の町の川沿いで、乳母車を数珠つなぎに引く男とすれ違いました。布の下にあったのは、雛壇には決して飾られない顔。拾ったものに名をつけてはいけな…

世界の縮図

平成五年、山梨の小さな町。深夜の空白の枠に、名前のない番組が映った。画面の中の公園は、なぜか私の町とそっくりで、消灯の順番まで同じだった。最終週、動かないはずの…

白いクーペと埋まった道

四万八千円の白いクーペは、売れるたびに十日ほどで店へ戻ってきました。走行距離は戻るたび減り、助手席のベルトだけが人ひとりぶん伸びている。前の持ち主は全員、土砂に…

フィラデルフィア消磁実験

昭和五十三年、内陸の町の磁気テープ工場。名札を外して消磁室に入れという古い規則の意味を、私は隣の寮に住む先輩が皆の記憶から消えた秋に知りました。フィラデルフィア…