見上げてはいけない梢
山の送電線を巡視していた頃の、忘れられない怖い話。無風なのに低く鳴る索道のワイヤー、下草に残る一列の跡、そして梢に腕だけで懸かるもの。姿を消した先輩が谷に残した…
山の送電線を巡視していた頃の、忘れられない怖い話。無風なのに低く鳴る索道のワイヤー、下草に残る一列の跡、そして梢に腕だけで懸かるもの。姿を消した先輩が谷に残した…
これは録音の仕事で出会った怖い話。昭和六十三年の夏、廃鉱の飯場跡で、深夜番組のために一晩ぶんの無音を録ることになった。地下へ降りる階段は十三段。だが朝、上がって…
昭和の終わり、測量助手の私は山を案内する老人に従い、忘れられた墓を拾い歩いていた。だが帰りの風の無い窪地で、宙にぶら下がる人型のものと、土の下から湧く得体の知れ…
昭和の銅山で運搬夫をしていた老人が、生涯ただ一度だけ立ち会った夜の出来事を書き残した怖い話・体験談です。鉱脈が痩せた年、親方衆だけが新月の晩に旧陸軍の坑道へ向か…
昭和の冬、地図にも載らない雪深い湯治宿で、巡回映写技師の私が過ごしたひと冬の怖い話。夜ごと近づく鈴の音、ひとりずつ欠けていく客、触れてはならない宿帳と十三号湯。…
北海道の山で遭難し、意識を失いかけた夜、誰かの手が体をさすっていた。後日、救助隊から聞いた話と、雪板に残されたものの意味が、今も忘れられない。不思議な体験談。…
中国地方の山あいの無人駅。終列車を待つ間、駅舎裏の小さな保線通用口を覗いてしまった。這って入った先には、昭和十九年十一月の旧字駅舎が広がっていた。異世界に迷い込…
祖母が生前、決して近づくなと言い続けた裏山の祠。遺品整理で初めて足を踏み入れた先にあったもの…
県境の低い山にあるという工事中の寺を、後輩と二人で探しに行きました。霧の参道で墨染めの行列に出会い、袖から腕が覗いた瞬間、そのうちの一体が参道の先へ声を張り上げ…
休職して帰郷する夜、乗り換えるはずのない山中の無人駅に降ろされた。唸り声しか出さない古い制服の駅員。祭囃子の鳴る誰もいない集落。義足の老人が手帳に書いてくれた地…
息子と二人で出かけたキャンプの帰り道、近道に選んだ林道で車が止まった夜の話です。闇から跳ねて近づく白いもの、繰り返される低い声、そして助手席の窓に張りついた顔。…
怖い話。山でいちばんこわいのは、人だったもの。祖母が語り継いだ「アガリビト」の言い伝えと、人の手の入らぬ深い山で道に迷い、人であることをやめかけた私が見てしまっ…
怖い話。十年前に世話になった山あいの民宿を訪ねて車を走らせると、道標は「巨頭オ」という奇妙な文字に変わり、村は廃墟と化していました。巨大な頭を揺らす異形の群れに…
子どもの頃、炭焼きだった祖父と山へきのこを採りに入った夏。帰り道は正しいのに同じ景色を繰り返し、谷川の音も消え、いつまでも家に着かない。慌てぬ祖父が一本の煙草に…
学生時代、山奥の湯治宿で働いた夏に、毎年通う老人から不思議な話を聞きました。奥山の窪地で眠ると、皮を引き毟ったような痕が残り、わずらっていた病が消えるというので…