湖に沈んだ村行きの終バス
昭和の終バスを任された若い運転手が体験した、不思議な話。無人のはずの峠の停留所で乗せたのは、藍色の着物の女だった。湖の底に沈んだ村へ帰りたいと言う客を乗せ、走っ…
田舎には、都会では起きないことが起きる。山道で出会った何か、旧家の怪、峠で聞いた声——田舎の怖い話は、土地に根ざした独特の恐怖を持っています。地方に伝わる怪談・田舎の不思議な体験談を集めました。
昭和の終バスを任された若い運転手が体験した、不思議な話。無人のはずの峠の停留所で乗せたのは、藍色の着物の女だった。湖の底に沈んだ村へ帰りたいと言う客を乗せ、走っ…
昭和三十三年、谷あいの旧庄屋に泊まった配置薬の行商人は、毎晩だけ運ばれる一人分の膳の謎を追って、灯のともらない中二階へ上がってしまう。封じられた戸の向こうの引っ…
昭和のダム計画で、水に沈む村を一軒ずつ調べていた私たちは、外れの溜池にある、触れてはならない古い石蓋を起こしてしまう。やがて主任は知らぬ名を点呼のように呼び始め…
昭和の冬、地図にも載らない雪深い湯治宿で、巡回映写技師の私が過ごしたひと冬の怖い話。夜ごと近づく鈴の音、ひとりずつ欠けていく客、触れてはならない宿帳と十三号湯。…
怖い話。北国の表具師が亡き師匠の蔵で見つけた黒漆の函には、決して数えてはならない結び目があった。山の向こうへ渡り戻らぬ集落の人々の面影を結いこんだ数え函。数える…
怖い話の長編体験談。昭和四十三年の初夏、信州の養蚕の村へ嫁いだ私は、桑畑の土塀の上に白い菅笠の長身の女を見た。からりと乾いた音をさせる白丈さまに魅入られ、一族の…
信州・木曽の山あいの分校で代用教員を務めていた三十代の春、体育倉庫の脇に置かれた藤の編み籠を覗き込んだ私は、眠る白目のない赤子と目が合った。校門にあらわれた老婦…
昭和五十八年の夏、紀伊半島の小さな漁村で民俗学のフィールドワークに入っていた院生たちが、入ってはならぬと言われた海蝕洞に踏み入った一夜の怖い話。崩された五本の棒…
能登の小さな漁港で出会った時空のおっさんと、後日漁協で見つけた古い写真にまつわる不思議な話。真夏の早朝に起きた、説明のつかない実話体験談。…
夏祭りの帰り道、田んぼの畦道で見知らぬ若い女性に「脇道に入ってはいけません」と声をかけられた小学五年生の私。翌朝、その脇道で別の少年が事故に。あの女性は誰だった…
祖父の一周忌で岡山の山間集落に帰省した。長老から「三日間、夜通し囲炉裏の火を絶やすな」と頼まれた。それがどんな怖い話だったのか、今も私はうまく説明できない。実話…
中国地方の山あいの無人駅。終列車を待つ間、駅舎裏の小さな保線通用口を覗いてしまった。這って入った先には、昭和十九年十一月の旧字駅舎が広がっていた。異世界に迷い込…
父から引き継いだ棚田の水路管理。「向こう岸に何かいても見るな」と言われていたが、ある夜の見回りで向こう岸に人の形をしたものを見た。翌朝、管理していた分水板が一枚…
数年前の春、北陸の小さな漁港で、霧の夜に音もなく港へ戻ってきた一隻の漁船を見た。船体に書かれていたのは、半世紀前に沈んだ船の名前だった――冷静に語られる、海辺の…
長距離トラック運転手が深夜の峠でエンジントラブルに見舞われた夜、山の斜面に灯りを見つけた。暦は昭和三十八年を示し、老婆は「夜明け前に出ないと外には戻れない」と言…
秋田の山奥にある築百年の古民家を解体していた大工が、太い大黒柱の中に封じ込められた異様なものを見つける。地元の老人が語った禁忌の意味とは。…
山あいの集落を担当する郵便配達員が体験した話。行き止まりの農道の奥に、毎月荷物を無言で受け取る老婆がいた。ある日、玄関前に見知らぬ男の人影が消え、帰り道に思いも…
雑誌の取材で山奥の限界集落を訪れたフリーランスの写真家が、一人暮らしの老人の家に泊まる。夕食に四人分の膳が並び、夜中には誰かと話す声が聞こえる。写真に写ったもの…
深夜の配送で立ち寄った山奥の集落。そこにいた老人は何度も同じ話を繰り返した。…
瀬戸内の小島で文化財調査中に立ち入った廃校。黒板に残されていた文字が、その島の禁忌を語り始める。田舎の怖い話。…