じいちゃんの話(長編)
これは俺が10年以上前に体験した話。 当時、俺は田舎にある実家に住んでいた。 実家は古くから立つ日本家屋ではあったが、辺り一面に田んぼがあるほどのド田舎という以…
じわじわ来る、あの感覚。大きな叫び声や派手な演出ではなく、日常の中にそっと潜む怖さ——ほんのり怖い話は、読んだ後もしばらく頭に残る静かな恐怖を描いています。「佐々間のおばちゃん」をはじめ、日常に紛れ込む静かな怖さを約400話収録しています。
これは俺が10年以上前に体験した話。 当時、俺は田舎にある実家に住んでいた。 実家は古くから立つ日本家屋ではあったが、辺り一面に田んぼがあるほどのド田舎という以…
ここでの俺は神楽と名乗ることにする。 断っておくが、本名ではない。 今はサラリーマンをしているが、少し前までは神楽斎という名で霊能者をしていたからだ。 雑誌にも…
ある大学生が買い物の帰り、小腹が空いたのでたまたま目についたラーメン屋に入った。 特に期待はしていなかったのだが、これが意外と美味くて彼はご機嫌だった。 帰り際…
ある小学5年生の男の子が、持病が悪化したため、1ヶ月間入院する事になった。 病室は4人部屋で、その男の子の他に、おばあちゃんとおじいちゃん、もう一人は同い年くら…
貧相なアパートに暮らす彼の唯一の楽しみは、隣に住む美女と語らうひとときだった。 ただ、一つだけ腑に落ちない点が…。 当時、彼の住むアパートは、築30年の6畳一間…
奈良の五條では、猫がいなくなった家は薪をひと山だけ崩さずに置いておくのだそうです。二十年前の夏に母の枕元へ座った猫と、集落の人たちが一月のあいだ黙って守っていた…
これは母から聞いた話なんですが。 結婚前勤めていた会計事務所で、母は窓に面した机で仕事していました。 目の前を毎朝御近所のおじいさんが通り、お互い挨拶を交わして…
勉強もできず、人とのコミュニケーションも下手。 こんな僕は、誰にも必要とされていないんだろう。 家では父のサンドバッグ。暴力はエスカレートして行く。 とても悲し…
俺が幼少時に体験した話を一つ。 多分、俺が10歳くらいの時だと思う。 家族5人で飯を食っているときに電話がかかってきた。 最初母さんが出たんだけど、すぐに父さん…
うちの病院のカテーテル室(重症の心臓病患者の処置をする場所)には、もっさんと呼ばれるものが出る。 もっさんは青い水玉模様のパジャマを着ており、姿はぼさぼさ頭の中…
小学校の修学旅行でのことだった。 我々は一路目的地を目指してバスに乗り込んだ。 席も隣同士だった。少しテンションの高すぎる彼に閉口しながらも、バスの旅は快調に進…
大隅の谷の社に、いつ行っても待っている坊主頭の子がいました。別れぎわは必ず「またね」で、たった一度だけ「さいなら」と言われた。十三年後に見た神社庁の名簿には、常…
谷で拾った字は声に出して読むな——祖母の言い付けを、俺は面倒くさがって妹に押し付けました。その晩から妹は声を失い、三十七日目に姿を消します。徳島の山あいの集落で…
川べりの古いアパートの向かいで、少女は毎晩ベランダから星を見上げていた。話しかけると、風が吹くたびに、こくりと頷く。けれど向かいの棟は、五年前から誰も住まない空…
霧ヶ沼の人は、ものを渡すとき決して「あげる」と言いません。期限を言わない贈り物は沼のものになるからです。図書室で仲良くなったあの子が遺した三行のノートを、私は期…
毎年六月の平日の午後にだけ、部屋の固定電話が鳴っていました。受話器から聞こえるのは「ママ?」という一言だけです。四年目に私が返してしまったたった一つの質問が、い…
高校時代、五人組だった私たちは、いつも「もう一人いる」気がしていました。修学旅行の夜、各自が持ち寄ったお菓子を広げると、なぜかビスコが六つ。五人しかいない部屋で…
その夏だけ、弟が淡々と変なことを言い出しました。上半身だけ起き上がる姉、床から半分出ている人、服の下に座る軍人。房総の古い借家にあった、一畳だけ床の高さが違う窪…
製本所の主任、五十嵐さんは誰も写っていない写真を見せてくる。弁当は毎日二段で、出張の土産は必ず三つ。創業五十年の慰労会の帰り、真っ暗な家の奥から軽い足音が走って…
風邪で家に一人きりの昼下がり、警察を名乗る男が玄関の外に立っていました。戸を開けようとした瞬間、誰もいないはずの背後から聞こえた、しわがれた声。城下町の古い平屋…
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