縁側に残っていたもの
父が亡くなって初めての帰省。縁側に座ると、なぜか線香の煙のような匂いがした。母に話すと「今朝からここに誰かいる気がするんだよ」と言った。…
父が亡くなって初めての帰省。縁側に座ると、なぜか線香の煙のような匂いがした。母に話すと「今朝からここに誰かいる気がするんだよ」と言った。…
毎朝の散歩コースに突然現れた小さな祠。中に置かれた紙には、三年前に亡くなった祖母の筆跡に似た「まいにち、みてるよ」という文字が。翌日、祠は跡形もなく消えていた。…
帰省の夜行バスで目を覚ましたら、見知らぬバスターミナルにいた。誰もいない深夜の乗り場に、作業服の男が一人だけいた。「ここは少し早く着いてる」と男は言った。…
深夜に外の音が気になって非常階段に出たら、下に降りても降りても出口が見つからなかった。そこに現れた作業服の男が「ここは少し余分に続いてる」と言った。…
終電前の地下通路を歩いていたら、いつの間にか同じ場所をぐるぐると歩き続けていた。そこに現れた作業服の男が言った。「ここは少し、ずれてるんだよ」…
一人暮らしのアパートで、勝手に洗濯物が干され、食器が洗われ、知らない食材が増えていく。誰かが私の部屋に入り込んでいる――それが誰だったのか、私はまだ答えを出せず…
市立図書館の夜間バイトで、毎朝床に落ちている古い文庫に気づいた。L-108の本が開いたまま示す一文と、貸出履歴に残る名前を辿るうち、閉館後の窓際の席で起きた小さ…
毎週水曜日、スーパーの冷凍コーナーで同じ棚を眺めているおばあさんがいた。声をかけた翌週、その商品は「存在しない」と言われて——じわじわと怖くなるほんのり怖い話。…
出張先で迷い込んだ地図に存在しない横丁。古い商店が並ぶ路地で、音のない人々に混じってラーメンを食べた。翌朝、その場所は二十年前に更地になっていたと聞かされる。…
七年ぶりの帰省。七歳の娘が庭の百日紅の根元で「白いシャツのおじいちゃん」と話したという。亡き祖父が残した言葉は、ずっと探していた形見への道しるべだった。…
祖母に頼まれて訪れた古い住宅街。初めて来たはずなのに、路地の先にあるものが全部わかる。私の中にある、知らない誰かの記憶の正体とは。…
出張で初めて訪れた地方のビジネスホテル。部屋の全てに既視感を覚える中、ベッドサイドの隙間から見つけたメモには、自分の筆跡で警告が書かれていた。…
帰省した実家の縁側に、亡き祖母が遺した風鈴があった。無風の深夜、その風鈴が静かに鳴り始めたとき、懐かしいにおいがした。…
出張で泊まった古いビジネスホテルの303号室。深夜に繰り返し点くテレビ、乱れたアメニティ、そしてチェックアウト前に見つけた見覚えのない一文字。誰が書いたのか、今…
実家に帰省した夜、幼い頃よく遊んだ神社に立ち寄った。そこで一人の老婆に声をかけられた。彼女は、十年以上前に亡くなった俺の祖父のことを知っていた。…
四歳の娘が繰り返し描く見知らぬ日本家屋。「前のおうち」と語る娘に導かれ辿り着いた場所で、家族が目にしたものとは。…
大学三年の夏、三人で灯した蝋燭と、鳥居の前の黒い水溜り。友人は順に事故に遭い、消して持ち帰った俺の蝋燭だけが、毎晩、消したはずの火を灯すようになった。神社の老婆…
岡山・笠岡の干拓地にあった小学校で、昼休みの校庭が十秒だけ完全に静止しました。その日サイレンは二度鳴り、仲のよかった三人組はいつのまにか二人になっていたのです。…
年末に帰省した夕方、刈り取りの済んだ田んぼに、胴の後ろ半分のない馬が立っていた。その夜、犬の鳴き声に混じってドン、デン、ドンと太鼓が鳴り、紫の光に照らされた馬が…
岐阜・飛騨の林道終点にある河原のキャンプ場では、どの区画も焚き火台を二つ出し、片方はいつも空のままでした。邪魔だったので一つ片づけた晩、火の向こう側に座ったもの…
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