夜行バスの終点
帰省の夜行バスで目を覚ましたら、見知らぬバスターミナルにいた。誰もいない深夜の乗り場に、作業服の男が一人だけいた。「ここは少し早く着いてる」と男は言った。…
帰省の夜行バスで目を覚ましたら、見知らぬバスターミナルにいた。誰もいない深夜の乗り場に、作業服の男が一人だけいた。「ここは少し早く着いてる」と男は言った。…
深夜に外の音が気になって非常階段に出たら、下に降りても降りても出口が見つからなかった。そこに現れた作業服の男が「ここは少し余分に続いてる」と言った。…
終電前の地下通路を歩いていたら、いつの間にか同じ場所をぐるぐると歩き続けていた。そこに現れた作業服の男が言った。「ここは少し、ずれてるんだよ」…
一人暮らしのアパートで、勝手に洗濯物が干され、食器が洗われ、知らない食材が増えていく。誰かが私の部屋に入り込んでいる――それが誰だったのか、私はまだ答えを出せず…
図書館のバイト中、毎朝同じ棚から同じ本が落ちていた。最後に借りた利用者の記録をたどると、退会処理済みの文字があった。…
毎週水曜日、スーパーの冷凍コーナーで同じ棚を眺めているおばあさんがいた。声をかけた翌週、その商品は「存在しない」と言われて——じわじわと怖くなるほんのり怖い話。…
出張先で迷い込んだ地図に存在しない横丁。古い商店が並ぶ路地で、音のない人々に混じってラーメンを食べた。翌朝、その場所は二十年前に更地になっていたと聞かされる。…
深夜の山道を走るトラック運転手が、霧の中で見つけた古いドライブイン。店を出ると一時間以上の時間が消えていた。翌月同じ場所を訪れると、そこには建物の跡さえなかった…
七年ぶりの帰省。七歳の娘が庭の百日紅の根元で「白いシャツのおじいちゃん」と話したという。亡き祖父が残した言葉は、ずっと探していた形見への道しるべだった。…
祖母に頼まれて訪れた古い住宅街。初めて来たはずなのに、路地の先にあるものが全部わかる。私の中にある、知らない誰かの記憶の正体とは。…
出張で初めて訪れた地方のビジネスホテル。部屋の全てに既視感を覚える中、ベッドサイドの隙間から見つけたメモには、自分の筆跡で警告が書かれていた。…
帰省した実家の縁側に、亡き祖母が遺した風鈴があった。無風の深夜、その風鈴が静かに鳴り始めたとき、懐かしいにおいがした。…
出張で泊まった古いビジネスホテルの303号室。深夜に繰り返し点くテレビ、乱れたアメニティ、そしてチェックアウト前に見つけた見覚えのない一文字。誰が書いたのか、今…
実家に帰省した夜、幼い頃よく遊んだ神社に立ち寄った。そこで一人の老婆に声をかけられた。彼女は、十年以上前に亡くなった俺の祖父のことを知っていた。…
深夜一時を過ぎると必ず聞こえてくる廊下の足音。古いマンションに引っ越した男性が体験した、夜ごとの来訪者の正体とは。…
四歳の娘が繰り返し描く見知らぬ日本家屋。「前のおうち」と語る娘に導かれ辿り着いた場所で、家族が目にしたものとは。…
出張帰りに終電を逃した俺の前に、時刻表にない列車が滑り込んできた。車内には誰もおらず、窓の外には見たことのない駅名が次々と流れていく——不思議な異世界体験談。…
岡山・笠岡の干拓地にあった小学校で、昼休みの校庭が十秒だけ完全に静止しました。その日サイレンは二度鳴り、仲のよかった三人組はいつのまにか二人になっていたのです。…
カンザス南東部にある名前のない支流には、日が暮れたら糸を巻かずに切って帰るという古い決まりが残っていました。向こう岸に立っていた灰色の生き物が頭を左右にゆっくり…
会津の谷を走る夜の列車で目を覚ますと、駅名標のない板だけのホームに停まっていました。翌朝、定期券には、この線のどこにも存在しない形の鋏の痕がもう一つだけ増えてい…