あの世とこの世

公開日: 心霊ちょっと良い話

夫婦の手(フリー写真)

若くして亡くなった夫は、美術的な才能のある人でした。

でも息子は小学生の頃から図画の授業は全然ダメ。

その点は父親に似なかったんですね。顔も似ていません。

性格はよく似たところがあります。

息子が中学生になって初めて美術の授業で描いた自画像、この絵が夫にそっくりなので驚きました。

息子本人には全然似ていないのですが、筆遣いや構図などが所謂『上手な絵』でした。

息子自身は家に飾ってあるその絵を見て、

「この絵ウマイよねー」

と他人事のように言っています。

それ以降、息子は上手な絵を描いたことはありません。

お父さんいつも見ていてくれているんだなー、と私は感じています。

もう一つの話

夫は脳卒中で、倒れて一週間で呆気なく逝ってしまった。

倒れるまで元気でバリバリ仕事もしていた。

だけど今思うと、死ぬ一ヶ月くらい前からいつもと様子が違っていたなと思う。

いくつかの心に沁み入るような優しい言葉を、その時期私に対して投げかけてくれた。

でもその時はまさか死ぬなんて思わないから、内心『いつもと違う~。ヘンなの~』と訝しく思ったりしていた。

それと、以前から休日によくホームセンターなどに二人で出掛けることが多かったのね。

それで目的地に着くと、二人別行動でそれぞれ自分の好きなコーナーへ行く。

大体私の方が先に用事を済ませて夫を探しに行くのだけど、私は夫を探すのが得意で、いつもすぐに探し当てた。

夫のよく居るコーナーも熟知していたし、身体の大きな人だったから、頭の先っぽが陳列棚の上から見えたりして、それだけで私はすぐ『あっお父さんのアタマ!』って分かったの。

夫婦なら普通のことだけど。

でも、その亡くなる一ヶ月前くらいの間、ホームセンターや他の場所、二人で出掛けた先で夫と別行動を取ると、夫は行方不明になってしまってどうしても見つからない。

仕方ないのでメールで『一階のパーラーに居るね』などと送信して待つ。

暫くして夫は来るのだけど、行っていた場所を尋ねると何度も探した場所なのね。そういうことが三度あった。

「お父さん最近、時々透明人間になるみたいだねー」

と冗談で言ったのを覚えている。

あの頃、既に夫はあの世とこの世と行き来していたような気がしてならない。

前述の絵の話にしてもこの話にしても、思い込みや偶然と言ってしまえばそれまでだけど。

私にとっては、身体とは別に魂はいつまでも存続していることの証拠みたいに思えてならないんだよね…。

関連記事

体温計(フリー写真)

太いお姉ちゃん

去年の話なのだが、5歳の娘が急に高熱を出し、慌てて近くの病院へ連れて行った。そして風邪と診断され、処方された薬を3日間飲ませていたが、症状は一向に良くならず。『ひょっと…

ある蕎麦屋の話

JRがまだ国鉄と呼ばれていた頃の話。地元の駅に蕎麦屋が一軒あった。いわゆる駅そば。チェーン店ではなく、駅の外のあるお蕎麦屋さんが契約していた店舗で、『旨い、安い、でも種…

癒しの手

不思議なおっさん

自分が小学生の頃、近所で割と有名なおっさんがいた。いつもぶつぶつ何か呟きながら町を徘徊していた人だった。両親も含めて、奇妙な人だから近寄らない方が良いと誰もが言っていた…

市松人形(フリー写真)

華ちゃん

高校生の時に婆ちゃんが亡くなり、形見で市松人形を頂いた。かなり古いが可愛い顔で、良い品だと見て取れるような市松さん。『華ちゃん』と名付け、髪飾りを作って付けてあげたり…

小綺麗な老紳士

駅構内の喫煙スペースで私はタバコを吸っていました。喫煙スペースと言っても田舎の駅なので、ホームの端っこにぽつんと灰皿が設置してあるだけの簡易的なものでした。すると小綺麗…

戦闘機(フリー写真)

護衛機

爺ちゃんから聞いた話。俺の爺ちゃんは戦争中、爆撃機で司令官を運ぶパイロットだった。もちろん護衛に戦闘機を引き連れてだけど。戦争で戦友が次々死んで行く中で、爺ち…

登山(フリー写真)

二つの人影

友人に山岳部のやつが居る。そいつが何処だか忘れたが、結構有名な日本の山に部員と登った時の話。ちょうど山の中腹まで登った頃に濃霧が立ち込めて来て、他のメンバーとバラバラになってし…

犬(フリー素材)

犬の気持ち

俺が生まれる前に親父が体験した話。親父がまだ若かった頃、家では犬を飼っていた。散歩は親父の仕事で、毎日決まった時間に決まったルートを通っていたそうだ。犬は決まっ…

ビー玉(フリー写真)

A子ちゃんの夢

ちょっと辻褄の合わない不思議な経験で、自分でも偶然なのか思い込みなのか、本当にそうだったのか自信がないのですが。子供の頃、大人になっても憶えているような印象的な夢を見た事があり…

零戦(フリー写真)

身代わり

今年大往生した母方の祖父ちゃんは、零戦乗りだった。戦中予科上がりだけど特乙や特丙よりも前に出たので、それなりに操縦士の中でもエリート意識はあったらしく、飛行時間をよく自慢して…