評判の良い降霊師

公開日: 心霊ちょっと良い話

ろうそく(フリー写真)

実家は俺の父親が継いでいるが、実は本来の長男が居た。

俺の伯父に当たる訳だが、戦前に幼くして亡くなったのだ。

今で言うインフルエンザに罹ったと聞いたように記憶しているが、ともあれ、貧しい我が家では医者にも診せられなかった。

祖母にとっては、それが心残りでならなかったらしい。

戦後、昭和30年代らしいが、評判の良い降霊師がいたので自宅に呼び、伯父を呼び出してもらった。

祖母としては一言詫びたかったそうだ。

伯父が降りた途端、降霊師は土下座せんばかりになり、

「親よりも早く死んだ自分はとんでもない親不孝者です」

と言い、ひたすら泣き続けた。

祖母は詫びるどころか言葉を失い絶句してしまったが、一緒に居た近所のおばあさんが降霊師に声を掛けた。

「お前さんが亡くなって、食い扶持が減ったから、他の兄弟は病気にもならずに大きくなれたんだよ」

降霊師は顔を上げ、祖母に本当にそうなのかと尋ねた。

祖母は、子供を一人養子にでも出さないと食っていけないと本気で考えていたと打ち明け、申し訳ないと泣き出した。

当時、祖母は二人の子持ち。その頃としては寧ろ子供が少ない状況だったが、貧しさはそれ以上だった。

降霊師は、

「兄弟が養子に出ないで済んだのなら、自分の命など惜しくありません」

と告げ、祖母と抱き合っておいおい泣いていたそうだ。

祖母は、伯父に対する後ろ暗さがこれで消えたと言っていた。

降霊師などというとインチキ臭いものだが、この話を聞いて以来、インチキだから悪いとか、そんな気はすっかり無くなってしまった。

無論、この降霊師がインチキだったなどと言うつもりはない。

関連記事

消防車の玩具(フリー写真)

おもちゃの消防車

この話を知っている方も多いかと思いますが、投稿します。これは毎日新聞の記者さんが実際に聞き、掲載したお話です。ある日の雨の降る夜、会社から家路を急いでいたAさんが、田…

吹雪(フリー写真)

大型トラックの男性

親父から聞いた話です。昔、親父が雪深い山の現場でバイトしていた時の事。妻子を置いて季節労働に来ている男性が居て、皆から頼られるリーダーとして現場を仕切っていました。 …

繋いだ手(フリー素材)

おばあちゃんが結んだ御縁

半年前に誕生日を迎えたんだけど、その夜に不思議な夢を見た。昔のおじいちゃんの家で正座をしていて、辺りを見渡していたら、ふとおばあちゃんが入って来た。おばあちゃん、四歳の…

癒しの手

不思議なおっさん

自分が小学生の頃、近所で割と有名なおっさんがいた。いつもぶつぶつ何か呟きながら町を徘徊していた人だった。両親も含めて、奇妙な人だから近寄らない方が良いと誰もが言っていた…

愛猫の最後の挨拶

うちの両親が体験した話。もう20年も前の夏のことです。私達兄弟が夏休みを利用して祖父母の家に泊まりに行っていた夜、当時とても可愛がっていた猫がいつまで経っても帰ってこな…

千羽鶴(フリー写真)

お見舞い

俺は中学と高校の時、寮に入っていた。その時の出来事。その寮では夜に自習時間というのがあり、自習は自習棟という、宿泊棟とは別の建物で行われていた。ある日、Tという後輩が自…

病室(フリー素材)

優しい声

これは俺が中学生の時の体験です。恐怖感はあまり無く、今でも思い出すと不思議な気持ちになります。 ※ 中学二年の二学期に急性盲腸炎で緊急入院しました。定期テストの前だったので…

田舎の風景(フリー写真)

氷を買いに来る若者

これはうちのじいちゃん(既に逝去)に聞いた話。じいちゃんは、鉄工所を経営する腕利きの職人だった。じいちゃんが若い頃(戦後間もなくだと思う)、仕事の得意先に製氷所があった…

登山(フリー写真)

二つの人影

友人に山岳部のやつが居る。そいつが何処だか忘れたが、結構有名な日本の山に部員と登った時の話。ちょうど山の中腹まで登った頃に濃霧が立ち込めて来て、他のメンバーとバラバラになってし…

坂道(フリー写真)

坂道と父

5年ほど前に父を亡くしました。体を壊して働けなくなり、自棄になってアルコールやギャンブルに走って借金を作り、最後は「飲んだら死ぬよ」と医者に言われながらも、飲み…