スマートフォンを持つ手(フリー素材)

亡くなった人からの電話というのは本当にあるのかな。

自分の中学生になる息子が、夏休みに自転車で四国一周をすると言い出した。

それで携帯を持たせて毎日連絡するように伝え、行かせてやったのだけれど…。

旅立ってから数日後に、息子が大好きだった妻の母(つまり息子のおばあちゃん)が亡くなってしまってね。

息子がショックを受けるからと、旅が終わるまで黙っておくことにした。

そして息子は無事に四国一周を果たし、8月25日に帰って来た。

帰って来るなり、

「毎日おばあちゃんから電話が掛かってきて、それで頑張れた」

と言う。

それは間違い無く妻の母だったのらしいのだけれど、着信履歴には何も残っていなかった。

「昨日、突然携帯にリセットが掛かって、データが全部消えた」

と言っていた。

息子は嘘を吐くような人間ではないし、何しろ死を伝えていなかったし。

妻の母が亡くなってから9日間余り、それでは一体誰が電話を掛けてきたんだという話になった。

それでも、みんな心が温かくなったのを憶えている。