絵日記

公開日: 心霊ちょっと良い話

病室(フリー素材)

この前、夜遅くの深夜にハッっと起きてしまいました。

なんでいきなり起きちゃったんだろう…と思っていると、部屋の隅に何かの気配を感じました。

眼を凝らして見てみると、それは体育座りした男の子の霊でした。

いや、霊と言うか生きているけど死んでいる感じですね。

この子が生きているなら、鍵が掛けてある家の部屋に入って来られる訳がありません。

以前からラップ音らしきものが聞こえたりしていましたが、現物を見るのはこれが初めてです。

怯みつつも一応、

「何やってんだコラ!他人の家に勝手に入るなやぁ!!」

と叫んでみました。

ですが消えてくれません。

『このまま取り殺されるのか?』などと思いつつ、じっと布団の上から動かずにそいつを睨んでいました。

するとボソボソと何かを話し始めました。

よく聞こえないので、僕が

「何だよ? お前に呪い殺されるような事したか?」

と、取り敢えず意味の解らない言葉を言い放ちました。

すると子供が、

「違うよ。『起こしちゃってごめんなさい』って言ったんだよ、お兄ちゃん」

お兄ちゃんと言われました。ですがこの子のことは全く知りません。

そこで、寝たいし怖いので取り敢えずこう言いました。

「寝させてくれ、居るだけで悪寒がするんだ。その『悪寒』で起きちゃうからさ、出てってくれ」

そう言っても、一向に消えてくれそうな気配はありません。

時計を見ると何ともう午前3時…。

という事で、明日は休みという事もあり、朝まで見張ることにしました。

午前3時10分。

じっと見つめているうちに色々興味が湧いて来たので、質問してみることにしました。

「何でここにいるの?」

「僕ね、この近くに住んでたんだ」

「ふーん…で、何で俺の部屋なの?」

「ここの近くのはずだったけど…詳しくは覚えてない。

僕が死んだ時は意識が朦朧としてたし…遠くの病院だったんだ」

「なるほどね…。で、何で俺の部屋なの?」

「(無視)この近くのお家で、○○って知らない?」

「知らないよ…ご近所付き合いもあんまり盛んじゃないし」

「そう…僕ね、クラスで一番足が速かったんだ」

身の上話を始めた。

色々と聞き流していると、

「僕ね、死んじゃうまえに『絵日記』を書いて置いといたんだ。

病院の中で書いたから、お家にあるかどうかは分からないけど。

隠しといたから、多分まだ誰もこのことは知らない。

見つけて、おかあさんかおとうさんに届けてほしい。

僕の事が見えて、それで話してくれた人っていなかったから、お兄ちゃんだけ特別に隠し場所を教えてあげるよ。

あと、お家が何処にあるのか教えて。また来るから」

「来んな」

「駄目だよ…最後に僕のおとうさんとかおかあさんのお顔を見ておきたいもん」

「自分で探してくれよ…」

「絶対だよ」

と言った瞬間、消えてしまった。

取り敢えず頼まれたことは、

・絵日記を探して欲しい

・家が何処なのか思い出せないので、見つけてその場所を報告して欲しい

・絵日記を親父さんとお袋さんに届けて欲しい

の三つだった。

まず、一番簡単そうなので家を探した。ご近所中を回って。

意外とすぐ近くにあった。馬鹿ガキめ。

両親に会って、そのことを話したが当然信じる訳も無い。

そこで、あの子の亡くなった日にちと場所だけを教えてもらって去った。

病院に着き、絵日記について説明。

担当であった看護婦の人が出て来るも、

「知らない」

と首を振るばかり。

困り果てたので、今は空き部屋だという病室を取り敢えず探させてもらうことに。

言われた通りに隠し場所を探ると『2ねん3くみ○○○』と言う絵日記帳を見つけた。

看護婦の人たちも首を傾げていた。

内容を見てみると、最初は

『このびょうきはすぐに治るらしい、早くたいいんして○○君と○○(ゲーム)をしたい』

この通り希望に満ちていた。

だが後半は絵も無くなり、

『太ももがいたい。がまんすれば治るのかな?』

と、希望も薄れて行っていた。

死亡一週間前。

『痛い』

自分が泣いてしまっていたのが分かった。

あの元気な子が(幽霊だけど)ここまで…。

死亡原因は太ももの癌だったらしい。いわゆる小児癌。

看護婦さんも絵日記を見て大泣きしていた。

取り敢えずこれを両親に届けよう。そう思い再びあの子の家へ。

またその両親も泣きながらお礼を言ってくれた。

秘密の『絵日記』は見つけたので、あとは苦痛から逃れたあの子に自分の家を教えてやるだけだ。

一週間後、自分の家に来た。

「僕の家がどこだか判った?」

「ああ、そこの床屋さんの所を曲がって…(意外と長いので省略)」

「ありがとう!!」

そう言うとあの子は満面な笑みを浮かべ、自分の前から消えた。

これであの子も本当の苦痛から逃れられる…。

そういう意味も込め、居なくなっているのは分かっていたけど、最後に

「元気でな」

と言いました。

この話はこれで終わりです。

ラップ音も不思議と消え、今は普通に過ごしています。

思うにあのラップ音は、あの子が自分の家を探し回るために、自分のアパートの近くを動き回っていたために起こっていたのだろうと、今はそう思っています。

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