墓場の幽霊

公開日: 心霊体験 | 怖い話

マッチの灯り(フリー写真)

うちの近所にお墓がある。そこに一人で住んでいるおばあさんが体験した話。

ある夜、そのおばあさんは布団に入って眠っていたが、人の気配を感じて起きたらしい。

だがそんなことは日常茶飯事なので、放って置いてそのまま眠った。

すると、次の日も眠っている時に何者かの気配を感じ目が覚める。

その日も『無視して眠ってしまおう』と思ったらしいが、何故かなかなか寝付けない。

何者かが部屋を歩き回る気配がする。おばあさんは目を閉じてやり過ごしていた。

何分経った頃だろうか。その何者かが出て行く気配がした。

こう安眠を邪魔されてはこちらも不愉快だ。

おばあさんは外へ出て行った『それ』を窓から見た。

『それ』は和服姿の若い女性だった。

その女性は墓と墓の間の通路のような所で立ち止まると、フッとそこへ吸い込まれるように消えて行った。

おばあさんは『それ』が消えて行った場所へ行き、持っていたマッチ棒を刺して目印にした。

次の日、そのマッチ棒を突き刺した場所をスコップで掘ってみた。

すると中から古びた骨壷が出てきたのだ。

『誰某何々 享年○○』

そのおばあさんは住職をしているうちの父に連絡し、事情を話してその墓場まですぐに来て欲しいと伝えた。

父は墓場へ行き、いつもより何倍も丁寧にお経を上げた。

その日からおばあさんの家には何も現れなかった。

数日後、おばあさんは父にこんなことを言った。

「お陰で私の所にはあの人はやって来ない。だからあんたの所に、今日あたりお礼に行くかもしれないよ」

関連記事

自転車置き場(フリー写真)

幽霊を持って帰る

私の叔母が、大型ショッピングモールで清掃のパートをしていた時の話。 オープン当時から一年ほど経ってはいたものの、建物も設備もまだまだ綺麗で、田舎の割に繁盛していた。 しかし…

白虎隊

ある高校がF県に修学旅行に行ったそうです。 A君は友達数人で作った班で自由行動を楽しんでいました。 しかし、A君は慣れない土地のためか、班が一緒のB君とその班からはぐれてし…

グラス

青いワンピース

結婚して4年目のある日の出来事です。当時、私の会社にはとても可愛らしい事務員の女性が新しく入社していました。浮気するつもりはさらさらなかったものの、その女性のことが気になっていました…

時計(フリー素材)

裏返し

最初にお願いと注意を。 この文章を読む前に、身近な所に時計があるかどうか確認して欲しい。十分、二十分が命取りになりかねないので。 では……。 ※ 先月、高校時代の友人が…

コンセント

最初に気付いたのは散らかった部屋を、僕の彼女が片付けてくれた時だった。 僕は物を片付けるのが苦手で、一人暮らしをしている狭いアパートはごみ袋やら、色々な小物で埋め尽くされていて、…

かごめかごめ

この話は、実際に友人が遭遇した話で、彼もその場所はついに教えてくれませんでした。 実際に人が2人死に、彼も警察にしつこく尋問されたそうです。 これは私が大学時代にその友人か…

灯台(フリー写真)

囁く声と黒い影

昔、酒に酔った父から聞いた話だ。 私の実家は曳船業…簡単に言うと船乗りをしている。 海では不思議なことや怖いことが数多く起きるらしく、その中の一つに『囁く声と黒い影』という…

ホテル

アンケートの忠告

私が某会員制リゾートホテルに勤めていた時、ある老夫婦に書いて頂いたアンケート用紙の内容です。 表面は通常のよくある普通のアンケートの回答でした。ホテルの従業員の対応や施設の使用感…

海(フリー写真)

赤旗が出る日

地元は海の前の漁師町(太平洋側)の話。 ここ数年は少なくなったが、幼少の頃から海女さんの真似事をしてアワビやサザエを採ったり、釣りをするのが子供の遊びだった。 朝に堤防まで…

廃ホテル(フリー写真)

廃墟旅館の噂

うちの地元に、ある旅館があった。 その旅館は、いわゆる高度経済成長の時代、レジャーブームに乗って出来たものだった。 そして80年代後半に入ると、レジャーの多様化、海外旅行ブ…