二年三組の絵日記を探して
夜中に目を覚ますと、一人暮らしの部屋の押入れの前に、体育座りの男の子がいた。お兄ちゃん、と私を呼んだその子に頼まれて、私は病院に隠された二年三組の絵日記を探すこ…
夜中に目を覚ますと、一人暮らしの部屋の押入れの前に、体育座りの男の子がいた。お兄ちゃん、と私を呼んだその子に頼まれて、私は病院に隠された二年三組の絵日記を探すこ…
北海道・室蘭の古い病院で左手首を手術した夜、赤いパジャマの女の子が痛む腕を撫でてくれました。けれど、その病院の小児科は三年前になくなっています。四階の突き当たり…
小学五年生の初冬、スクールバスの停留所で動かなくなった子犬を見つけました。校庭の土はどこも固く、掘れたのは体育館の脇だけでした。その日の夕方、同じ模様の子犬が畑…
小学四年の夏、共働きの家で留守番をしていると、知らないお爺さんが居間に座って、勝手に麦茶を飲んでいました。帰ったあとに残るのは、卓袱台の水の輪がひとつだけです。…
小学二年の俺が町外れの小さな公園で出会ったのは、木の棒でライオンを描く二つ上の友也君と、彼を透けた体で見守るおじいさんだった。親父のベルトで二人をくくって公園の…
出雲の斐伊川沿いの町には、人を送り出すときの古い作法が残っています。伯母の家の三和土に置かれた白いスニーカーは、一年が近づいても片付けられませんでした。半年後の…
盲腸で入院した中学二年の夜、カーテン越しに聞こえた優しい声は、鉄道の保線をしていたという隣のお爺さんのものだった。退院の日にお婆さんが渡した手紙が、手術前夜の六…
大隅の谷の社に、いつ行っても待っている坊主頭の子がいました。別れぎわは必ず「またね」で、たった一度だけ「さいなら」と言われた。十三年後に見た神社庁の名簿には、常…
三河・岡崎の花火師だった爺ちゃんは、打ち上げの朝、必ず空へ「今日は借りるで」と頭を下げる人だった。旅立ったあと、墓の手続きや法事の日にだけ判で押したように降り続…
小樽の運河沿い、石造り倉庫の貸間に住み着いた黒い人影の話です。本を倒し扉を開けるイタズラ好きだと思っていたのに、四十度の熱で動けなくなった雪の夜、あいつは机から…
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