神様の訪問

居間のブラウン管テレビ(フリー写真)

小さい時は親が共働きで、一人で留守番をする事がよくあった。

特に小学校の夏休みなど、日中は大体一人で家に居た。

小学4年生の夏休みの事だ。

トイレに行って居間へ戻ったら、知らないお爺さんが座って勝手に麦茶を飲んでいた。

「誰?」

と聞いても答えない。

ちょっと怖いから自分の部屋で漫画を読み、暫くしてから戻ったら、もう居なかった。

それから何日かに一回というペースで来た。

トイレに行ったりテレビに夢中でいたら、いつの間にか部屋に居る。そして勝手にお茶を飲んでいる。

慣れてくると全然怖くはなく、何となく居るのが当たり前になった。

ある日、また来て勝手にお茶を飲んだ後、いきなり

「お前、何か願い事あるか」

と言われた。

「お母さんに家に居て欲しい」

と答えたら、

「そうか」

と言って消えた。

その日の夜、帰宅した父は

「父さん偉くなったぞ!」

と私たち家族に報告した。

当時はよく解らなかったが、父はこの日、異例の昇進が決まって給料も跳ね上がった。

その後、秋になって母の妊娠が発覚し、父の収入も増えたからと、母は退職して専業主婦になった。

ぬらりひょんという妖怪を知ったのはかなり後になってからだったが、あれはもしかしてぬらりひょんだったのだろうか。

でも、ぬらりひょんは願い事を叶える妖怪じゃないみたいだしなあ……とも思う。

何者にせよ、良い奴だったんだと思うけど。

関連記事

隣の女子大生

貧相なアパートに暮らす彼の唯一の楽しみは、隣に住む美女と語らうひとときだった。ただ、一つだけ腑に落ちない点が…。当時、彼の住むアパートは、築30年の6畳一間で、おんぼろ…

夜桜(フリー写真)

桜の精

うちのおかんの話。当時おかんは6人兄弟(男3人、女3人)の長男の嫁として嫁いで来た。長男の弟妹はまだみんな学生で、謂わば小姑的存在。かなりの貧乏で、姑とお舅との…

透視

超能力者の苦悩

友人はあるネトゲのギルドに属していたんだが、なかなか人気があり、そこそこの地位を得ていたらしい。そんな友人はネトゲ内での友人達も多かったのだが、ひと際異彩を放つプレイヤーがいた…

家族の奇行の真相

自分の身に起こった今でも信じられない実話です。まだ僕が中学3年だった頃、父親と母親と弟の4人家族でした。紅白歌合戦を見終わって、良い初夢でも見るかな…ってな具合で寝たの…

牛(フリー写真)

ミチ

私の母の実家は一度、家が全焼してしまう大火事に遭いました。当時住んでいたのは、寝たきりのおばあちゃんと、母の姉妹6人だけ。皆が寝付いて暫く経った頃、お風呂を沸かすために…

変わった妹

高校生の頃、いつも喧嘩してた妹がいた。喧嘩といって他愛もない口喧嘩で、ある程度言い合ったらどちらかが自然と引く。ニュースであるような殺傷事件には到底至らないような、軽い喧嘩だっ…

自転車置き場(フリー写真)

幽霊を持って帰る

私の叔母が、大型ショッピングモールで清掃のパートをしていた時の話。オープン当時から一年ほど経ってはいたものの、建物も設備もまだまだ綺麗で、田舎の割に繁盛していた。しかし…

女性の肖像画

今朝、鏡を見ていたらふと思い出した事があったので、ここに書きます。十年くらい前、母と当時中学生くらいだった私の二人でアルバムを見ていた事がありました。暫くは私のアルバム…

満タンのお菓子

私の家は親がギャンブル好きのため、根っからの貧乏でした。学校の給食費なども毎回遅れてしまい、恥ずかしい思いをしていました。そんな家庭だったので、親がギャンブルに打ち込ん…

プルタブ(フリー素材)

不思議なプルタブ

小学5年生の夏、集団旅行に行った帰りの事。貸し切りの電車の中、友人と缶ジュースを飲みながら雑談していた。私はスポーツ飲料を飲み干し、その缶を窓辺に置いて網棚の上から荷物…