プラント・コロニー(長編)

公開日: 異世界に行った話 | 長編

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いつものようにバイトをして、休憩室で飯を食ってたんだわ。

飯を食い終わってスマホを弄ってたら、頭がくらっとしてきた。

貧血かなーと思ってたんだけど、妙に意識だけはっきりしてるのね。

んで、身体が全く動かなくなって明晰夢みたいなのを見始めたわけよ。

ちなみに身体の感覚はあるのに動かない状態。

俺はいつのまにか草原的なところに立っていた。

空は夕暮れのように赤く染まっていて、滅茶苦茶でかい月みたいなのが空に見える。

草原の向こうには森みたいなのが見えてる。

ついに頭がおかしくなったかと思いながらも、無意識に足が森の方へと動いた。

結構歩いたら森の手前まで来て、そこに全裸の人が立ってるのを見つけた。

そいつは男だったけど、俺を一瞬だけ見て目を逸らした。

俺はやはり無意識に声をかけていた。

「すいません、ここはどこですか」って。

森に入ると全裸の男と再会。全裸の女もいた。

女の方がよく分からない植物の茎みたいなもので絵を描いてる。

男の方が俺に近づいてきたけど、俺を眺めるだけで何もしないで、女の方に戻って行った。

それってヴォイニッチ手稿と関係あるのでは?

有名なのに分かんなかったわ。

画像見たけど文字は似てた気がする。

んでもって、なんでヴォイニッチ手稿は植物と人間が似てることについて書いてんの?

俺はかなりパニックになってた。

そのくせ身体は勝手に動くから気持ち悪かった。

突っ立っていたら、女の方が俺に石を見せてきた。

何か文字的なものと、絵が描かれていたけど解らなかった。

けどなぜか俺は頷いた。

男はそのでかい木を指差して何か言った。

俺は理解もできてない癖にその木へと近づいて行った。

勝手に手が動いて木の幹に触れた。

んでなぜか「ありがとう」って言った。

全裸の男女と俺の話している言語が違うのに、何がどうなっているのか。

その男女の見た目はどんなん?

日本人?

どっちも西洋人っぽいけど黒髪だった。

男は俺の様子を見て納得したみたいで、女のいるところまで戻った。

道中でデカい葉っぱをちぎって俺にくれた。

女と合流すると、男が女に報告らしきことをした。

話し終わると女はにっこり笑って俺を見た。

俺の意識は完全に沈黙してる。

男が俺にさっきちぎった葉っぱを渡して、その後薄い石を渡してきた。

俺はそれを受け取って、石に平仮名で自分の名前を書いて渡した。

男はそれを受け取った後、変な顔をしていたけど、そのまま森の入り口近くの木に刺した。

その木には、文字っぽいのが書かれた石が他にも2つ刺さってた。

その後、3人で飯を食べた。

と言っても植物の茎とか葉っぱだけど。

植物の実はなぜか食べないみたいで、地面に埋めてた。

結構な時間が経っている割には、夜にならないのが気になってた。

そうしてるうちに男と女が横になって寝た。

俺は寝ないで森の奥へ行った。

日立の木のさらに奥に行くと結構動物がいて、俺を見ても逃げなかった。

鹿とか猪。蛇もいたし、トンボもいた。

動物たちと触れ合った俺は、日立の木の方へ戻った。

行く時は気が付かなかったけど、日立の木の裏にはツルで出来たゆりかごがあった。

多分男と女がそこで寝るために作ったんだろうなと思った。

んで、日立の木の幹にもたれかかって、かなりの時間ぼーっとしてた。

意識の中の俺が退屈するくらい。

しばらくしたら男がやってきた。

んで俺に向かって何か言った。

そしたら俺は不意に立ち上がって、森の入り口まで走って行った。

道中蛇が飛びだしてきて、ポケモンかよって脳内で突っ込んだわ。

森の入り口まで戻ったら景色が変わってんだよ。

さっきまで草原だったのに戻った時には近代都市になってんだよ。

男は近代都市を指差して俺に何か言った。

めっちゃ怒ってて「あれはお前がやったのか」みたいな感じだった。

俺は頷きもしないでその都市に近づいて行った。

男は後ろから俺を見てた。

振り返ったら怒号を浴びせられた。

追放された気分だったよ。

俺はとぼとぼ近代都市に向かって歩いて行った。

そしたら急に後ろから声をかけられた。

振り返ると女がいて、俺にさっき木に刺した名前入りの石と、何かの種を渡してきた。

俺はそれをポケットに入れて、女にお辞儀をして都市に向かった。

近代都市は日本じゃなかった。

西洋人から黒人まで色々な人がいて、道路は歩道と車道が完全に隔離されてた。

街の入り口まで来るとガードマンみたいなのがいて、メガホンみたいなのでスキャンされた。

そしたらビービーと警告音が鳴るもんで驚き。

書いてて思ったけど、ありのまま起こった事を書いていると訳が分からないな。

本当に俺の頭がおかしくなったんじゃないか。

ガードマンの一人が俺のポケットを漁る。

出てきたのは、さっき貰った石と種。

ガードマンはそれを見るととても驚いた様子で俺を見た。

そして急にホイッスルを鳴らして増援を呼んだ。

確保された。

上の人みたいなのが俺を連行。

かくして俺は囚われの身になった。

地下施設みたいなところに監禁。

全裸にされて、やたらと真っ白な部屋に閉じ込められる。

しばらくしたら白スーツの男が来た。

そしてこう言った。

「君に話しがある。来たまえ」

日本語だったので、ここからの話はかなり鮮明に覚えているよ。

机と椅子しかない、これまた真っ白な部屋に連行される。

椅子に座ると、白スーツの男が話しかけてきた。

「私は日本人担当の葛西だ。君の所持していた物と容姿から、日本人であると認識していたがどうかね?」

俺はそうですと言いながら頷いた。

ここからは会話文だけ。

白「ありがとう。唐突だが君の出身地を教えてくれないだろうか」

俺「日本の東北です」

白「そうか、随分若いがどうやってここへ?」

俺「徒歩です」

白「ふむ…(何か書いている)」

ちなみに俺は無意識のうちに喋ってる。

日本人担当ってことは、日本人以外にもこんな体験してる人が多数存在するってことか。

白「今はどこに住んでいる?」

俺「東北の実家です」

白「…」

ここで白スーツの男が黙ってしまう。

俺もつられて黙る。

3分くらいしてからまた喋った

白「植物の種が証拠かな?」

俺「はい」

白「放浪者という訳か、奇跡だな」

俺「??」

白「君に言っておかねばならないことが一つある」

俺「はい」

白「日本は終わった。県もない、国家もない、PCPもない」

俺「でも、確かに俺は日本に居ました。バイトしてました」

白「だから奇跡だと言ったのだ」

白「植物の種は今はもう存在しない。すべて開発だ」

俺「?」

白「私には君がとぼけているようにしか思えない」

俺「そう言われても…」

白「君のいた西暦は?」

俺「2014年です」

白「ならなぜ知らない?」

俺「植物をですか?」

白「日本が終わったことをだ」

俺「意味が解りません」

白「なら説明しよう」

白スーツが言ったことをまとめると、

・日本は植物国家だった

・植物国家は自然と共に生きる国で、工業的開発は行われない

・日本は世界一の植物国家で、沢山の植物を輸出している

・植物を輸出する代わりにエネルギー資源を得ている

・植物はマジ万能で、植物解析だけで宇宙まで行けた

・2000年ごろにPCPというプロジェクトが始動して、植物でコロニーを作ろうとした

・2002年に、10年後くらいに隕石が地球に落ちるとNASAが発表

・隕石をぶっ壊すために、アメリカがミサイルを作る

・2014年現在隕石来ない

・2010年にミサイルの実験が失敗。地球全土に被害。日本終了

・植物が全部死んだ。動物の被害甚大

・生きていく力を失った日本は色々な国に吸収された

・アメリカがやっちまったので、被害の少ない都市を開発

・都市国家化が進行している

・今はかなり遅いペースで人工植物を作っている最中

ということらしい。

Plant Colony ProjectでPCPだな多分。

白「2014年現在がこの状況だ」

俺「」

白「君は夢でも見ていたのか?それとも平行世界から来たと馬鹿らしいことを言うのか?」

俺「いえ、そうは言いませんが…(オカルトは好きだけど)」

白「まあいい、とにかくこの植物の種について質問したい」

白「この植物の種はどこで入手した?」

俺「全裸の女にもらいました」

白「」

この世界は鉱物の力で繁栄してると言えるからな。植物の力で繁栄してる文明があってもいいのかもしれない。

もしかしたらヴォイニッチ手稿の世界の成れの果てっていう可能性もある?

白スーツがここで別の人間を呼ぶ。

俺はそいつに連れられてMRIみたいなので検査される。

血液も採血される。

しばらくガードマンと二人きりで、とても気まずかった。

2時間くらいしてから白スーツが来て、さっきの真っ白ルームへと逆戻りした。

白「とても奇妙なことが判った」

俺「?」

白「君の脳の信号のことだが、思考と動作が別々に働いている」

俺「つまりどういう…」

白「脳みそが2つあると考えていい。2人の人間が1人の人間になっているようだ」

思考の中にいる俺はそうだと実感できたが、また無意識のうちに口が開く。

俺「そんなのあり得るんですか?」

白「あり得るも何も、データで出てしまっている」

俺「…」

白「…君は本当に何者なんだ」

俺が聞きたい。

しかし白スーツってのはゲラゲラに似てるなあ。

俺「普通の大学生です」

白「wwwwww」

白「そうか、面白いな」

俺「それより、俺はこれからどうなるんですか」

白「しばらく拘束された後、ガーデンで暮らすことになると思う」

俺「ガーデン?」

白「身元が分からない者を最低限度生活させる区画だ」

俺「しばらく拘束ってどれくらいですか?」

白「1日か2日か、はたまた1ヶ月か1年か…分からないな」

俺「」

これいつ頃の話なん?

信じられるか…? 今日の昼間の話なんだぜ。

ここから怒涛の生活。

2週間くらい寝る暇もなく検査の毎日。

植物が胃の中に残っているからそれを吐き出したり、MRIだったり採血だったり。

軽い知能テストもしたし、猿がやるような芸もさせられた。

いつもの世界で勉強していることは、この世界じゃかなり低レベルらしかった。

あと宇宙についてどれくらい知ってるか聞かれた。

この世界じゃ地球と同じような知的生命体がいる星がすぐそこにある。

やっと検査の日々が終わってガーデンへ。

俺はどうやら要注意監視対象に認定されたらしく、バーコードを貼られた。

知的生命体の話を聞いたら、コミュニケーションをとる練習中らしい。

俺はここで何日かぶりの睡眠を得た。

元の世界に戻れると思ったよ。

違うんだなこれが。

つまり今日の昼にバイト行って、こうなって帰ってきたってことでOK?

この世界帰ってきたら夜の8時過ぎだった。

知的生命体がどんな姿をしてるのかが気になる。

知的生命体はザトウムシっぽい形で大きさが10メートルくらいあるらしいぞww

内心本当に怖かった。

元の世界に戻れないと思ってたからね。

ガーデンには色々な国籍の人がいて、日本人もいた。

遠藤って奴と仲良くなって色々聞いた。

全裸の男と会った草原で見た空。

あの空はこの世界でも見られた。

やっぱりドデカイ星が見えてて夕暮れのように赤い。

唯一違うのが、でかい蓮の花が宇宙にあんのね。

遠藤に聞いたら、日本が作った植物コロニーらしい。

今は機能してないらしいけど。

月だと思ってたのは星だったってこと?

あれは別の星らしい。月は別にあった。

知的生命体がいる星は1光年ないくらいの距離だってよ。

驚くことに俺はガーデンで5ヶ月以上生活した。

その頃には意識と別に動く身体にも慣れてきた。

状況もかなり掴めてきて、この世界で生きてる人間は10億程度らしい。

アメリカ人がかなり少ないらしくて、日本人も貴重だった。

ガーデンではニート生活だった。

3日おきくらいに検査されて、その度になんか通貨をもらった。

通貨と言っても日本のじゃなくて、その都市だけで使えるコインみたいな。

んで、もらった金でガーデンの外にあるスーパーで買い物してた。

一番驚いたのが生魚が置いてない。

ほとんど全部缶詰で人工的に作られたものだった。

魚だけじゃなくて肉とか野菜すらそれだった。

味はするけど何か物足りない感じだった

5ヶ月後、俺に転機が訪れる。

白スーツの男が俺の部屋に訪ねてきて、俺と同じ体験をした人間と対談するという。

んで俺も参加することになった。

相手は白人。通訳の人を通して話をした。

名前は発音が良すぎてよく解らなかったけど、アレットだったと思う。

次からその対談の様子。

白「こちらの方は別の都市に住んでいるが、君のために来てくれた」

ア「こんにちは、アレットです」

俺「はじめまして」

白「アレット君は、君と同じように突然現れたのだ」

ア「そうですね、僕がいたところでは船とか飛行機とかありませんでした」

俺「どうやってここに来たんですか?」

ア「海で泳いでいたら、溺れてしまって岩に頭をぶつけた瞬間ここに」

白「臨死体験が鍵かもしれないな」

俺のあれは臨死体験なのか。

ア「驚きました。私は数年暮らしていましたが、同じ体験をしている人はいませんでした」

俺「検査とかされなかったんですか?」

ア「されました。しかし、極秘にされてしまいました」

白「ちなみにこの対談も極秘だ。我々の都市とアレット君の都市の上層部以外には知られていない」

俺「(ばらしたらヤバイ)」

俺「…植物の種とか持ってませんでした?」

ア「持ってませんでしたね。服しか着てなかったです」

ア「あなたは持っていたんですか?」

俺「はい、持ってました」

ア「では植物の種とかが関係ある訳でもなさそうですね」

街路樹とかもないの? それとも人口街路樹?

街路樹はあるけど造木だよ。プラスチックっぽい材質。

返信サンクス。

しつこいかもしんないけど、もう少し質問。

異世界の地球がある星系はこっちの世界と同じ水金地火木土天海だった?

知的生命体がいる星は地球のある星系とは別の星系?

その知的生命体と初めてコンタクトした時はどんなだったか知ってる?

ベルダンディが緑の星って言われてて、それが入ってるけど大体合ってる。

知的生命体がいる星はマジで近い距離。

コンタクトは宇宙望遠鏡が捉えた写真。

その後、その生命体から一定の信号が発せられていて、こっちも解析して送ったらいい感じになったらしい。

俺「意識に関係なく身体が動くとかは!?」

ア「??なんですかそれ??」

白「それは君だけだ」

俺「そうですか……」

白「何か接点があるかと思ったが、特に無いようだな」

俺「俺がこっちに来たのはバイトの休憩中ですからね」

ア「お仕事ですか?お疲れ様です」

俺「いえいえ…」

その後しばらく普通にお話して終了。

結局何の成果も得られないまま終わった。

ただ教えられたのが、隕石が落ちてくるのは2年後くらいに延びたらしい。

俺はこの時点で、元の世界に帰ることを諦めていた。

その2日後くらいに俺に戸籍的なのが与えられた。

都市に所属する人間であることを証明するパスポートのようなものだ。

俺はこれを手に入れたことにより、ガーデンから出て、普通の都市部で生活できるようになった。

ガーデンの外は結構未知の世界だった。

ガーデンに居る人間は利用できない施設も利用できるから嬉しかった。

花屋なのに造花しか売ってない店とか色々ね。

君のいた異世界は地球上だった?

月はこの世界と同じ物だった? 月よりも近い距離に別の惑星があったの?

地球って名前だよ。月もちゃんと月。

知的生命体がいる星は月より遠い。ベルダンティとかそんな名前。

パスポート貰うと同時に、俺に家が与えられる。

都市監視下のマンションチックなところだ。

1LDKくらいの部屋で、家具も全部置いてあった。

雇用制度とかどうなってるか聞いたけど、働くなって言われた。

この世界で植物の種を持っていたことがかなりヤバイらしく、それについてしつこく聞かれた。

全裸の男たちとの出会いからすべて話した。

精神科医のカウンセリングももちろん受けた。

体力テストなども定期的に受けた。

この頃になると、元の世界に戻ることより、今晩のテレビの内容の方が気になってくる。

テレビは3チャンネルしかなかったけど、毎晩バラエティ見てた。

エキゾチックイレブンっていう芸人が特にお気に入りでした。

本とかも読んだ。電子書籍じゃないと日本語の本が読めなかったのが残念。

全裸の男女ってアダムとイヴ的な何かじゃね?

よって、種の正体はリンゴの種とかだったりしてなww

エキゾチックイレブン気になるな。

どんな芸してた?

イレブンって名前なのに3人しかいなくて、毎回残りの8人を探すネタをやる。

ジャングルの奥地で虎を4人目のメンバーに加えようとしたネタが一番好き。

毎日検査か本を読む日々だった。

本を読んでて判ったのが、植物がすごいってことだ。

なんでも一番最初の無限エネルギーが植物エネルギーっていうエネルギー。

光合成の時に発生するエネルギーを人工的に再現したらマジで無限エネルギーになったらしい。

その技術を最先端で日本が手に入れて、植物開発を進めて行ったらしい。

かなり丈夫な葉っぱもあって、その葉で船とか作っちゃう国だった。

でも、アメリカの実験失敗で全部無駄になったって。

蓮の花のコロニーも今だと原爆ドームと同じ扱いをされているよ。

気付いたらこの世界に来て8か月ほど経ってる。

1年経つじゃんと思いつつも、毎日本とテレビ。

検査もこのころには減って来て、ほとんど普通の生活してる感じだった。

何か趣味をと思ってインターネットで調べたけど、プラモデルとか無くなってた。

音楽は残ってる。日本の文化はかなり消えた。

ほとんど楽しみがない世界だなと思っていたよ。

9ヶ月経つくらいの頃に、ついに働いてもいいと言われた。

俺は近所のスーパーでバイトをすることに。

ここで働いているエマっていう女の子がめっちゃ可愛かった。

俺は基本レジ。

スキャンするだけのお仕事だった。

エマさんは英語が喋れたので、俺も何とかコミュニケーションは取れた。

身振り手振りだったけど、それでも結構仲良くなれた。

でも、仲良くなっているのは意識の中の自分じゃないって思うと、ちょっと悲しかった。

因みに今は帰還してきてるんだよな?

さっき帰ってきた。

そういえば鏡は見たの?

見たなら自分の姿はどうだった?

見たよ。完全に俺だったけど操作してるのが自分じゃない。

バイトしてから俺はかなり明るくなった。

毎日買い物に来るおばちゃんと仲良くなったし、生活にもメリハリがついた。

たまに白スーツの人と対談するけど「最近どう?」って話ばかり。

この頃にはお酒が解禁されて、居酒屋みたいなので飲んだりした。

エマさんとも飲みに行ったけど、全然酔ってなかった。

大学生活で勉強やバイトをしてるよりも、有意義な生活だと思えてきた。

思い出したら若干戻りたい自分がいる。

そして無事1年。

ちなみにクリスマスなどなかった。大晦日もなかった。

俺は白スーツの人に連れられて他の都市に行った。

アレットさんがいる都市に行くと言ったので、飛行機で一日使って行った。

アルファって呼ばれてる都市らしく、そこのお偉いさんと話をした。

アレットさんと再会した。

んで、その内容が俺が持ってた植物の種の話。

リンゴの木じゃなくて、さくらんぼ系の種でした。

んで、このさくらんぼの種を植える計画が進行しているとの事。

その話のためだけに呼ばれたのかって思ったけど、結構重大だったのかな。

そして、この辺から俺に異変が起きる。

時々自意識が回復して、自分で考えて動けるようになる。

行動できるのは3時間くらいが限界だった。

でも、日毎にこの時間が伸びて行って、最初に回復した時から2ヶ月経つ頃には、一日中動ける時もあった。

このあたりから元の世界を意識し始めて、元の世界の記憶を思い出すようになる。

そして昨日。

エマさんと飲みに行って帰ってきた。

いつものようにベッドに入って起きると、なぜか俺は元の世界の自分の部屋で寝てました。

バイト先に連絡をしたら、普通に仕事して帰ったらしいです。

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