真っ黒い影

公開日: 本当にあった怖い話

kamiyahagi_akiyah21_9

まだ私が高校生だったころ、町に不思議な家があったの。

見た目は普通の家なんだけど、その家に引っ越してくる人たちは、どの人もすぐに出ていてしまっていて、6ヶ月以上続けて住んだ人はいなかったようだった。

ある晩、暇だった私は、友人とその家を探検しに出かけた。

その時は誰も住んでいなかったし、まあいいかなと思って。

友人が犬ドアから家の中に入って、鍵を開けてくれた。

私たちは家の中を見て回った後に、台所の床に腰を下ろして「なかなか素敵な台所だね」なんておしゃべりしていたとき、突然、友人が叫び声をあげたの。

「なに?」と思った瞬間、私の目の前は真っ暗になって、なにかベトベトした冷たいものに全身をスッポリと包まれたのが分かった。

何も見えない中、友人があらん限りの力で私をどこかへ引っ張って行っていることだけが感じられた。

その後、徐々に視界が戻ってきて、暖かさを感じ始めたときには、自分がその家から脱出して、外にいることが分かったの。

まだ12月だったけれど、あの家の中よりも、外の方がずっと暖かく感じられた。

友人にあの瞬間、何が起こったのか聞いてみたら、女の子のような形をした真っ黒い影が、私の上にかぶさったのが見えたことを教えてくれた。

あんなに暗くて、冷たい感触を感じたことは後にも先にもない。

関連記事

踏切(フリー写真)

開かない踏切

取引先の人から聞いた話。 それは最終電車も通り過ぎた踏切での事。 彼はお得意先のお偉いさんを接待した帰りだった。 付き合いでさほど強くない酒を飲んだ彼は、タクシーに乗…

覗き込む女の子

俺が小学校時代の担任から聞いた話。 大学の夏休みのある夜、友人から電話が掛かってきた。 その友人は俗に言う走り屋で、夏休み中はよく2人で夜中に一緒にドライブに行く仲だったの…

廃墟でサバゲー

夏の終わりの頃の話。 その日は会社の夏休み最終日ということもあり、仲の良い8人を集め地元の廃墟でサバゲーをすることにしたんだ。 午前中に集まって、とことんゲームをしようと決…

骨董品屋

晴れ着

俺がまだ大学生だった10年前、自称霊感の強い後輩Aと古いリサイクルショップへ行った時の話。 リサイクルショップと言っても、築30年は軽く経っていそうなボロボロの外観で、どちらかと…

ビーチ(フリー写真)

楽しそうな笑み

奄美のとある海岸でビデオ撮影をした時の話。 俺の家族は、全員が思い出に残るようにと、ビデオカメラをスタンドに固定して撮るんだよ。 その日もそうしたまま、兄弟で海に入り遊んで…

深夜の研究室

今から数年前に卒論を書いていた頃、私は工学部の学生だったのですが、実験すら終わっておらず連日実験に明け暮れていました。 卒論の締め切りが迫り、実験の合間に卒論を書き、また実験をし…

医療器具(フリー素材)

謎のカルテ

これは2年前の夏、病院で夜勤中に体験した出来事です。 その日、私は夜勤をする救急室にて患者対応をしていました。 何台か救急車が入り、その内の1人が当院かかりつけの患者でした…

今日でお別れかな

もう10年以上前の話だが、とある県の24時間サウナで意気投合した男の話。 結婚を考えていた女性がいた。 ある日の晩、一緒に繁華街で遅い晩飯を済ませ軽く呑んだ後、彼女をタクシ…

ポラロイド写真

不可解な写真

最近、バイト先の店長から聞いた話。その店長の兄が10年ぐらい前に経験した話です。 その兄は当時、とある中小企業に勤めていたんだけど、まだ2月の寒いある日、後輩の女の子が無断欠勤し…

顔半分の笑顔

僕がまだ子供だったとき、ある晩早くに眠りに就いたことがあった。 リビングルームにいる家族の声を聞きながら、僕はベッドの中から廊下の灯りをボンヤリ見つめていたんだ。 すると突…