夜勤のラジオから先輩の声が
東京の北、線路に挟まれた古い印刷工場。閉鎖が決まったその夜から、二十年壊れたままの夜勤のラジオが、深夜にだけ鳴るようになった。最後まで残された七十三歳の元活字工…
東京の北、線路に挟まれた古い印刷工場。閉鎖が決まったその夜から、二十年壊れたままの夜勤のラジオが、深夜にだけ鳴るようになった。最後まで残された七十三歳の元活字工…
梅雨入り前の北陸へ一人旅に出た若い看護師が、霧に包まれた古道で出会った、もう何十年も前に火事で焼け落ちたはずの茶店と着物姿の老婆。一夜のタイムスリップとも思える…
夏祭りの帰り道、田んぼの畦道で見知らぬ若い女性に「脇道に入ってはいけません」と声をかけられた小学五年生の私。翌朝、その脇道で別の少年が事故に。あの女性は誰だった…
地方の老舗書店で働いて三十年。閉店間際にかかってきた予約電話の主は、亡くなったはずの少女と同じ名字だった。本屋の取り置きをめぐる、ほんのり怖い不思議な話の体験談…
北海道の山で遭難し、意識を失いかけた夜、誰かの手が体をさすっていた。後日、救助隊から聞いた話と、雪板に残されたものの意味が、今も忘れられない。不思議な体験談。…
出張帰りに最終新幹線を逃し、群馬のローカル駅で夜を明かそうとした夜、行き先表示に『終点』とだけ書かれたバスがやって来た。乗り込んだ私が降りた先は、亡くなったはず…
地域誌のカメラマンが取材で訪れた廃館前夜の映画館で、最後列に座る着物の老婦人を目撃する。客が全員帰ったはずの劇場で、床に落ちていた古い半券に書かれた映画のタイト…
十歳の夏、瀬戸内の小さな島で毎朝会った水色のワンピースの女の子。別れ際の言葉の意味を、二十年近く経って祖母の葬儀の夜にようやく知る、海辺の心霊ちょっと良い話。…
一人旅で訪れた秩父の山奥の温泉宿。深夜の露天風呂に浸かっていると、穏やかな老人が先客としていた。翌朝、女将に話すと不思議な答えが返ってきた。…
父が亡くなって三年。漁師を継いだ私は、ある秋の夕方、防波堤で父に似た声を聞いた。「明日は出るな」——天気予報は晴れだったのに。…
亡くなった祖母の家で見つけた、曾孫のために縫いかけの甚平。遺品整理のたびに進む縫い目と、漂う金木犀の香り。祖母が遺したものとは。…
介護施設の夜勤中、亡くなった入居者のサキさんが夜な夜な他の入居者のもとを訪れているという。そしてある夜、ナースステーションに赤い折り鶴が置かれていた。…
祖母の葬儀で帰省した夜、片付けたはずの風鈴の音が聞こえた。縁側で感じた温かな手の感触。金木犀の香りに包まれた、祖母との最後の再会の物語。…
父が亡くなって初めての帰省。縁側に座ると、なぜか線香の煙のような匂いがした。母に話すと「今朝からここに誰かいる気がするんだよ」と言った。…
祖母が亡くなって三か月後、実家の片付けで久しぶりに帰省した夜。縁側で眠りかけたとき、聞こえてくるはずのない子守唄がして——静かな心霊体験の話。…
七年ぶりの帰省。七歳の娘が庭の百日紅の根元で「白いシャツのおじいちゃん」と話したという。亡き祖父が残した言葉は、ずっと探していた形見への道しるべだった。…
帰省した実家の縁側に、亡き祖母が遺した風鈴があった。無風の深夜、その風鈴が静かに鳴り始めたとき、懐かしいにおいがした。…