室の仕事
輪島で漆器職人として修行を始めた私は、師匠から「乾燥室には勝手に入るな」と言われた。師匠の入院中に工房を守るうちに、乾燥室の扉前に毎朝落ちる白い粉と、止めていた…
輪島で漆器職人として修行を始めた私は、師匠から「乾燥室には勝手に入るな」と言われた。師匠の入院中に工房を守るうちに、乾燥室の扉前に毎朝落ちる白い粉と、止めていた…
引っ越した翌月から、毎晩午後11時に隣の部屋からピアノの音が聞こえてくる。でも管理会社に確認すると、その部屋は2年前から空室だと言う。そして朝、部屋の内側に一本…
出張帰りに無人駅で押した駅スタンプには、なぜか四年半先、十二年先、二十年先の日付が刻まれていた。古びた台帳と紺色の作業着の老人が示した、数十年前から続く決まりと…
中古車に残されていたドライブレコーダーを再生してみた。録音されているのは、運転手のいない映像と、助手席だけから聞こえる女の声だった。…
県北の閉じた商店街で、唯一灯りが点いていた古い時計店。すべての振り子が同じ時刻で止まっていた。仕事を終えて知らされた事実は、その店は十年前にもう存在しないという…
息子は二歳から『前に住んでいた家』の詳細を語り続けた。夫の祖父の七回忌で訪れた岩手の古い農家で、息子は見たこともないはずの塞がれた井戸を知っていた。…
中小IT企業の受付として働く私の元に、昼休み明けだけ鳴る謎の内線があった。昭和五十三年入社の田中さんを呼ぶ、穏やかな男の声。三年経ったある日、その声が私の名字を…
山間の古い旅館で仲居をしていた私は、ある老婦人から「百年前にあなたと同じ顔の仲居がいた」と告げられた。不思議な体験談。…
母の入院見舞いで帰省した北陸の町。シャッター街になった商店街の奥に、子供の頃に通った手芸店の灯りがまだ残っていた。そこにいたのは、五年前に亡くなったはずのおばあ…
深夜の山道で出会う謎の女性。毎週同じ時間に現れ、30分後に消える。複数の運転手が体験した説明のつかない現象。…
秋田の山奥にある築百年の古民家を解体していた大工が、太い大黒柱の中に封じ込められた異様なものを見つける。地元の老人が語った禁忌の意味とは。…
亡くなった祖母の家で見つけた、曾孫のために縫いかけの甚平。遺品整理のたびに進む縫い目と、漂う金木犀の香り。祖母が遺したものとは。…
雑誌の取材で山奥の限界集落を訪れたフリーランスの写真家が、一人暮らしの老人の家に泊まる。夕食に四人分の膳が並び、夜中には誰かと話す声が聞こえる。写真に写ったもの…
引っ越し先の古い団地で見つけた、十五年前の日付で止まった日めくりカレンダー。何度捨てても壁に戻ってくるそれは、この部屋の時間そのものを支配しているようだった。…
遺品整理で買い取った古い鏡台を店に置いた翌日から、閉店後の店内で誰かが髪を梳く音が聞こえるようになった。娘が見たという「きれいなひと」の正体とは。…
フリーランスの写真家が深夜の商店街で撮影中、閉まっているはずの店に灯りが見える。写真を確認するたびに、その灯りの中に何かが写り込んでいることに気づく。…
家族旅行で訪れた古い温泉旅館。どこか懐かしいその場所で、私は湯けむりの向こうに誰かの気配を感じた。亡き祖母が残してくれた、温かな不思議の記録。…
大学生がバイト先の古い図書館で体験した不思議な出来事。閉館後の閉架書庫で灯る読書灯と、誰もいないはずの場所に残される栞の謎。…
実家じまいの蔵で見つけた大正時代の曾祖母の日記。そこに記された夢の描写が、自分の日常と一致していることに気づく。輪廻転生にまつわる不思議な実話体験談。…
帰省中の地方私鉄で居眠りをした俺が降り立った、地図にも時刻表にも載っていない駅の話…