破れたシャツ

公開日: 心霊ちょっと良い話

白いシャツ(フリー写真)

先日、酔っ払いに絡まれている女性がいたので助けました。

その時、酔っ払いに引っ張られ、シャツの生地の縫合部分が裂けました。

その日に限って、病気で亡くなった妻が私の誕生日にプレゼントしてくれたシャツを着ていました。

妻からの最後のプレゼントだったのでショックでした。

でも困っていた女性を助けてあげられたし、仕方ないと思うことにしました。

それでも捨てることはできず、外では着れないとしても家着としてなら多少破れていても着れるかなと、洗濯して仕舞いました。

その晩、久しぶりに夢を見ました。

帰宅した俺を妻が玄関で迎え、そのシャツを見て「あらあら」と言いました。

家着に着替えてソファーに座っていると、妻が食卓で破れたシャツを縫い始めました。

昨日、一人暮らしをしている娘と映画に行くことになり、どれを着て行くかクローゼットを物色しました。

あの日に破れたシャツが目に留まり、破れたんだよなと思いつつ広げました。

そしたら何と、破れていないのです。

『えっ?』と思い破れている箇所を探しました。

そのうちに、表ではなく裏を見て気付きました。

表からは判らないように裏から縫合されていました。そこだけ裏側に裂けた布が出ていました。

そして、あの晩の夢を思い出しました。

ああ、あいつが縫ってくれたんだなと思いました。

その服を着て、娘と久しぶりに映画を観に行って来ました。

娘に話したら、

「父さん酔ってたんだよ。破れてなかったんじゃないの?」

そう言いながらも、娘の目元に涙が光っていました。

こういうことって本当にあるんですね。

できることなら、次は妻の手料理を期待しています。

冷蔵庫を開けたら作り置きの手料理が入っているとかさ。

まあ、それはないかな。流石に。

関連記事

キャンプ場

少女のお礼

この話は僕がまだ中学生だった頃、友人の家に泊まりに行った時に聞いた話。友人と僕が怪談をしていると、友人の親父さんが入って来て、「お前たち幽霊の存在を信じてるのかい? 俺…

版画(フリー素材)

婆ちゃんの戦時中の話

昔、婆ちゃんから聞いた戦時中の話を一つ。第二次世界大戦中、うちの婆ちゃん(サノ)が10歳の頃の話です。 ※ 婆ちゃんはお姉さんと避難のために親元を離れ、田舎の遠い親戚の家に…

猫(フリー写真)

親猫の導き

アパートで一人暮らしを始めた頃、アパート周辺を猫の親子がうろついていた。親猫と仔猫四匹。私はどういう訳か親子に懐かれた。アパートでは飼えないので下手に餌をやるのは避け…

牛(フリー写真)

ミチ

私の母の実家は一度、家が全焼してしまう大火事に遭いました。当時住んでいたのは、寝たきりのおばあちゃんと、母の姉妹6人だけ。皆が寝付いて暫く経った頃、お風呂を沸かすために…

手を繋ぐ(フリー写真)

おじいちゃんの短歌

高校の時、大好きなおじいちゃんが亡くなった。幼い頃からずっと可愛がってくれて、いつも一緒に居てくれたおじいちゃんだった。足を悪くし、中学の頃に入院してから数ヶ月、一度も…

白い影

当時、私は精神的に荒んでいて、よく大型バイクをかっ飛ばしたりしていました。その日もバイクで走っていたのですが、広めの幹線道路は渋滞していました。そこで、道の左端をすり抜…

田舎の風景(フリー写真)

氷を買いに来る若者

これはうちのじいちゃん(既に逝去)に聞いた話。じいちゃんは、鉄工所を経営する腕利きの職人だった。じいちゃんが若い頃(戦後間もなくだと思う)、仕事の得意先に製氷所があった…

空(フリー写真)

石屋のバイト

私は二十歳の頃、石屋でバイトをしていました。ある日、お墓へ工事に行くと、隣の墓地に自分の母親くらいのおばさんが居ました。なぜかその人は、私の働く姿を見守るような目で見て…

病室(フリー素材)

絵日記

この前、夜遅くの深夜にハッっと起きてしまいました。なんでいきなり起きちゃったんだろう…と思っていると、部屋の隅に何かの気配を感じました。眼を凝らして見てみると、それは…

タヌキの神様

俺の姉貴は運が良い人間だ。宝くじを買えば、ほぼ当たる。当たると言っても、3億円なんて夢のような当たり方ではないのが残念なところだ。大抵 3,000円が当たる。何回当たっ…