優しさを大切に

道①

俺が小学校1年生ぐらいの時の話。

その頃、俺はおとなしくて気の弱い方で、遊ぶのも大体おとなしい気の合う子達とばっかり遊んでいた。

でも何がきっかけだか忘れたけど、ある時に番長と言うか気の強い子供ばっかりいるグループとも遊ぶようになった。

それである日、工事用の穴か農業用の穴かよく分からないけど、地面に直径10メートル深さも3メートルぐらいあるような円錐形の穴がある所があって、子供だったらなんとか這いつくばって登れるような傾斜だったので、そこを上がったり下りたりして泥だらけになりながら遊んでいた。

そしたら、どこから見つけてきたのか、グループの一人が小さい捨て犬を見つけてきて穴の中に投げ込んだ。

子犬はもちろん上がってこようとするんだけど、悪ガキ共は笑いながら土の塊を投げたり、上がりきりそうになるとまた下まで落としたりして喜んでいた。

俺も最初は我慢して見てたけど、俺はそういうのが耐えられない性格なので、気付いたら無我夢中で穴の中に下りて子犬を庇った。

そしたら、解ると思うけど、俺に対して罵声と共に土の塊が大量に投げつけられた。

でも、俺も子犬を抱えたまま泣きながら耐え続けてたら、いつの間にか悪ガキ共はどこかへ行った。

泥だらけになりながら子犬と一緒に穴から這い上がったら、目の前に足がある。

そのまま視線を上に上げていくと、修道院のシスターみたいな格好をした女の人が佇んでいて、自分に一言「その優しさを大切にして下さい」と言われたまでは覚えてるんだけど、その後の記憶が全くない。

もちろんだけど、その辺は殆ど畑とまばらに農家があるばかりで修道院のかけらもないようなところ。

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