おんぶしてあげるよ

公開日: 心霊ちょっと良い話

おじいさん(フリー写真)

去年、祖父が亡くなりました。

僕は祖父にはよく可愛がってもらっていましたが、何の恩返しもできないまま逝ってしまいました。

不思議な体験というのは、その祖父の葬儀の時に起こりました。

背中にちょうど人一人がおぶさっているような、そんな感触があるのです。

その背中の重みは葬儀の最中続き、お坊さんのお経の最後の『引導』が終わった後に無くなりました。

その時は『何だったんだろう?』くらいにしか思いませんでした。

それから葬儀が終わり、皆で祖父のことを話している時に、あることを思い出しました。

それは、僕がまだ小さかった頃のことです。

祖父の家に遊びに行った時、僕はよく祖父におんぶしてもらっていました。

そんなある日、ポツリと祖父が言うのです。

「重くなったなあ。これじゃあもう、おじいさんおんぶできなくなっちゃうなあ。今度はおんぶしてもらわないとなあ」

僕はそれを聞いて、

「じゃあ、大きくなったらおんぶしてあげるよ」

と答えました。

結局、その約束は祖父が生きているうちは果たされることがありませんでした。

今ではその葬儀での出来事は、その約束のことだったんだなと思っています。

ちょっとした恩返しができたと思いました。

ありがとう、お祖父さん。

関連記事

見覚えのある手

10年前の話だが、俺が尊敬している先輩の話をしようと思う。当時、クライミングを始めて夢中になっていた俺に、先輩が最初に教えてくれた言葉だ。「ペアで登頂中にひとりが転落し…

戻って来たお手伝いさん

おばあちゃんに聞いた、ささやかな話。母と二時間ドラマを見ていて、「お手伝いさんの名前って大抵○○やねえ」と言ったら、母が「そういやママが子供のころにいたお手伝いさんの一…

カナちゃんのメッセージ

ここでの俺は神楽と名乗ることにする。断っておくが、本名ではない。今はサラリーマンをしているが、少し前までは神楽斎という名で霊能者をしていたからだ。雑誌にも2度ほ…

優しい抽象的模様(フリー素材)

兵隊さんとの思い出

子どもの頃、いつも知らない人が私を見ていた。その人はヘルメットを被っていて、襟足には布がひらひらしており、緑色の作業服のような格好。足には包帯が巻かれていた。小学生にな…

赤ちゃんの手(フリー写真)

亡くなったはずの両親

私が12歳の時、両親が他界した。私には三つ年下の弟が居たのだが、それぞれ別々の親戚に引き取られた。一ヶ月も経たないうちに親戚の私に対する態度は冷たくなり、私は高校進学を…

キャンプ場

少女のお礼

この話は僕がまだ中学生だった頃、友人の家に泊まりに行った時に聞いた話。友人と僕が怪談をしていると、友人の親父さんが入って来て、「お前たち幽霊の存在を信じてるのかい? 俺…

犬(フリー素材)

犬の気持ち

俺が生まれる前に親父が体験した話。親父がまだ若かった頃、家では犬を飼っていた。散歩は親父の仕事で、毎日決まった時間に決まったルートを通っていたそうだ。犬は決まっ…

愛猫の最後の挨拶

うちの両親が体験した話。もう20年も前の夏のことです。私達兄弟が夏休みを利用して祖父母の家に泊まりに行っていた夜、当時とても可愛がっていた猫がいつまで経っても帰ってこな…

庭に咲く花(フリー写真)

光る玉

私の母は私を産む前に二度流産しており、三度目(私)の時も、何度か駄目になりかけていたそうです。妊娠4ヶ月頃の時も、やはり体調を崩して流産しかけたらしいのですが、その時、庭で二人…

小島(フリー写真)

海女さんの心霊体験

私は23歳で、海女歴2年のあまちゃんです。泳ぐのが好き、結構儲かる、という理由でこの仕事をしていますが、不思議な体験をした事があります。 ※ 海女になりたての頃、自分に付い…