秘密基地

Traditional_scenery_in_Kori_housing_complex

自分が小学生時代に体験した話を聞いて下さい。

当時小三だった自分の家(集合住宅)の近所にはごみの不法投棄所みたいなところがありました。

そこには面白い物やまだ使えそうな物があり、人目につかなかったのもあり同じ住宅に住んでる同級生の友達何人かと秘密基地にして遊んでいました。

秘密基地の近所には有名なくそババアがゴミ屋敷みたいな所に住んでいました。

そいつは子供に嫌われていて、もちろん自分達も大嫌いだったので、そいつが外に出るたびに大声を出したりして驚かすのを遊びとして、学校の帰りには必ず寄っていたのです。

夏休みに入ってから間もなくのある日、自分と友達数人はプールに行く前に少しそこでゆっくりしてから行こうという事になりました。

そしてみんなで作ったごみの通路を通って秘密基地に入り、手製の小部屋の中で持ち寄った菓子などを食べながら時間を潰しました。

少ししてから友達の一人が腕時計を見て、そろそろプールの開く時間だから行こうと言い、自分達はごみの山の中にお菓子の袋を隠し、秘密基地を出ました。

すると、最初に来た時にはなかった新しいごみが秘密基地の入り口に並べてあります。

それは、紙のパッケージをぼろぼろに剥した汚いみかんの缶詰でした。

全部口は開いていて、缶も錆びていたり油で黄色く汚れている完璧なごみなのですが、自分達は興味を惹かれて半分閉じているぎざぎざの汚い蓋を木の棒を使って開けました。

中に詰まっていたのは生肉でした。売っている肉とは違い、ぐちゃぐちゃの細切れ肉には小さいごみみたいなのが混ざっていて、とても美味しそうだとは思えません。

それを友達はバーベキューごっこと称しながら太陽光でかなり熱くなったトタンの上にひっくり返しました。

いきなり、中から出てきた生肉を木の棒で解していた友人が「ウェ!!」と短い叫び声を上げました。

なんだなんだと興味深々で駆け寄った自分と友達が見たものは、肉の中に混ぜ込んであった大量の毛でした。

いや、混ぜてあったというよりもまだ毛が付いたままの肉も入っていたような気がします。

明らかにそれは家畜じゃない動物の肉以外の何物でもないのですが、頭の悪い自分達は缶詰の中には腐ったコンビーフが入っているといって気持悪がり、全部くそババアのゴミ庭にぶちまけてしまいました。

思えばアレは猫肉の缶詰だったのかも知れません。

住宅で可愛がっていた仔猫の姿が見えなくなったのも確か夏休みに入る直前でした。

でも缶詰は一つ二つじゃなく有った筈です。仔猫にそんな質量があるとは思えません。

昔から変質者の多い地域ではあったのですが、今思うと相当洒落にならない思い出です。

関連記事

浜辺(フリー写真)

浜辺で踊るモノ

小学四年生の頃に体験した話。 当時親戚が水泳教室を開いていて、そこの夏季合宿のようなものに参加させてもらった。 海辺の民宿に泊まり、海で泳いだり魚を釣ったり山登ったりする。…

トンネル(フリー写真)

幽霊トンネル

実際私の身近に起こったお話をします。 私は当時クラブに通う女子高生で、学校の友達よりクラブで出来た年上のお姉さんやお兄さんと遊ぶ方が好きな子でした。 その時のお兄さん達に起…

古民家(フリー写真)

庭にあるお墓

そんなに怖くないかもしれませんが、私の体験談です。 埼玉県のとある地域に住んでいるのですが、何代も前から住んでいる人たちの間に、ある習慣があります。 それにまつわるお話です…

ホテル(フリー素材)

鶯谷のホテル

これは実際に体験した不思議な話です。 皆さん、鶯谷をご存知でしょうか? 山手線沿線でありながら最も人気の無いエリア。江戸時代にあった遊郭が今も尚息づくソープランド街「吉原」…

笑う女

旅先で知り合ったアニキに聞かせてもらった話。 このアニキが昔、長野と岐阜の県境辺りを旅していた頃、山間の小さな集落を通りかかった。 陽も暮れ掛けて夕焼け空に照らされた小さい…

祭祀(長編)

近所に家族ぐるみで懇意にしてもらってる神職の一家がある。 その一家は、ある神社の神職一家の分家にあたり、本家とは別の神社を代々受け継いでいる。 うちも住んでいる辺りではかな…

心霊スポット巡り

今から約10年くらい前の話だ。 当時俺は大学2年で、夏休みに田舎に帰省していたんだ。俺の田舎は観光地ではあったが、地元民向けの遊びスポットって少なかったんだよね。 夜に遊ぶ…

自首した理由

俺の親戚に元刑務官って人がいる。 その人が言うには、刑務官の仕事って受刑者を監視する事じゃなくて、受刑者に人の温かみを教えるのが本当の仕事らしい。 そんな叔父は時間があれば…

骨折り

私が中学二年生の時に祖父が死に、その葬儀に行く事になった。 当時、北海道に住んでいた私にとって 本州に住んでいる父方の祖父とは会う機会も少なかった。 また祖父の性格も寡黙で…

爪を食べる女

最近あった喫茶店での話。 普通に時間を潰していたところ、隣のテーブルでなにやら物音。 カリカリカリという音。最初は特に気にもならなかったので本を読んでいたのですが、30分ほ…