プログラマーの残業

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

office_night

元同僚のプログラマーから聞いた話なんですが、彼女(A子とします)が以前勤めていた会社での体験です。

A子が転職する間際のことだったそうなんですが、退職間際になっても残案件が山積みだったので、やむなく残業、残業、また残業状態になっていたんだそうです。

その日も残業で、A子は事務所のフロアにたった一人残って仕事していました。

あまり治安の良くない地域にある事務所だったので、他の社員が退社した後、A子は事務所の扉はすべて内側からロックしました。

ビルの入り口のセキュリティも一応あるのですが、A子は正直言って一人での深夜残業が初めてで、防犯の面から言って、心細かったんだそうです。

薄暗い部分があると気味が悪いので、フロア全部に照明を点け、ブラインドも付いていないガラス窓にはがらんとした室内が映っていたそうです。

A子はそのとき風邪をひいていて、熱もかなりあったので、解熱剤を大量に飲み、深夜まで作業していましたが、どうにも眠気がさしてきたので、時間がかかる処理がはじまったのを幸い、仮眠を取ろうとしたそうです。

冬のさなかだったので暖房が効いていても肌寒く、ジャケットを被って机につっぷしたA子がうとうととしかけた時です。

A子の真後ろを誰かが通ったんだそうです。

その会社は、ソフト会社の例に漏れず、事務所の床下には配線のためのスペースが取ってあります。

特にA子の席の真後ろは床材の質が悪いのか、人が通ると他の部分より大きくたわむので、昼休みに熟睡していても、人が後ろを通ると目が覚めるくらい感じるんだそうです。

実際、私が彼女の寝込みを脅かそうと忍び寄っても、すぐに気付かれていました。

それで、A子はぼーっとしながら「ああ、誰か通ったなぁ」と思ったんです。その瞬間だけは。

でも、次の瞬間、A子は自分が一人で残業していたのに気付いたんです。

思わず跳ね起きようとしたとき、A子は自分が金縛りに遭っていることに気付いたんです。

しかも、その気配はA子の真後ろからのしかかるように感じられたんだそうです。

「もし生身の人間だったら、息がかかるのが感じられるくらいに近寄ってるような感じ」と言っていました。

潔癖症気味のA子には、そこまで近寄られる気配がまた気持ち悪かったそうです。

そして、何だか溝川のヘドロみたいな臭いがしたそうです。

A子は突っ伏したまま、どうにも身動きできず、冷汗がだらだら流れてきて泣きそうになりながら「これは夢、気のせい」ってひたすら気を紛らわそうとしたんだとか。

薬も効いていたし、熱もあったし、疲れもあったから、A子自身も半信半疑というか「怖い」「気のせい」「幽霊かも」「気のせいだ」ってひたすら自問自答してたんですね。

しばらくして動けることに気付いて、顔中冷汗でびっしょりになったA子が恐る恐る振り返ってみると…やっぱり事務所内には誰もいなかったんだそうです。

で、なんとか気を取り直して作業を続けようとしたんですが、どうにも我慢できなくって、なんとか施錠だけはして、近くにある終夜営業の居酒屋に転がり込んだんです。

とにかく、人が居るところでないと安心できないという感じだったんだそうです。

何故かと言うと、作業を続けようとして振り返ったディスプレイには、処理終了のメッセージも表示されていたんですが、一面に手の跡がべたべたと付いていたんです。

それも何だかよく分からない茶色とか緑のぬるぬるしたものが付いていて、それがさっきのヘドロと同じ臭いだったんだとか。

ちなみに、私も半年後にその会社を結婚退職しました。

今だから言えますが、A子が退職した頃って、ちょうど事務所が引っ越したばかりのときだったんです。

会社の経費削減の一環で引っ越したんですが、事務所の家賃がすごく安い割に、前の事務所よりも広いフロアが借りられるということで引っ越したんだとか。

駅から少し遠くなったということはあるんですが、それも大して気にならない程度だったし、最寄り駅は前の事務所の駅よりも栄えてる駅だったので、社員は割と引越しを歓迎してました。

でも、よく考えたら変ですよね…。そんな悪くない環境なのに、前の事務所の家賃の半額くらいだって言うんですもんね…。

一体どんないわく因縁があったのか知らないですが、A子の体験は気のせいとばかりも言えないと思います。

私もそのディスプレイの掃除を手伝いましたから…。

関連記事

エレベーター

病院での心霊体験

自分が子供の頃の話。 両親の付き合いで誰か(多分二人の共通の知り合いか何かだと思う)のお見舞いに行ったんだ。 何故か病室には入れてもらえず、その階の待合室で弟と絵本を読みな…

箪笥(フリー写真)

形見の箪笥

高校時代の英語教師に聞いた話。 解り易い授業と淡々としたユーモアが売りで、あまり生徒と馴れ合う事は無いけれど、なかなか人気のある先生でした。 ※ 昔、奥さんが死んだ時(話の枕…

山の小道

廃道の先に

20年程前に俺が体験した、今だに信じられない話を書こうと思います。 と言うのも、俺の周りには超常現象的なものに詳しい人物が全くいないので、今から書く実際に体験した出来事を一体どう…

5ミリ

ある大学生が自宅の自室で勉強していたそうなんです。だけど、なにやら背後に視線を感じる。 どうしても気になりふと振り返ると、背後の側面にある本棚と本棚の隙間から、小学六年くらいの男…

北陸本線

二日前だから11月の6日の出来事。終電間近の北陸本線の某無人駅での変な話。 音楽を聴きながら待っていると、列車接近の放送もなく急にホームに列車が現れた。 「うぉっ、時刻表よ…

石段

黒い鳥居

これからするお話は、今から20年以上前、僕が中学生の時の話です。 当時の僕は悪い先輩達と付き合いがあり、暴走やタバコ、シンナー等、不良っぽい事をして意気がる田舎ヤンキーでした。 …

トンネルの女の子

ちょっと書かせてもらう。怖かったんだ。ほんとに怖かったんだ。 20数年生きてて心霊現象なんてついぞお目にかかったことがなくてさ。 怖い話は好きだけど、そんなの実際にはありえ…

夜の寝室(フリー素材)

霊感の強い先輩

私が中学2年生の時、同じ部活に『自称霊感が強い』先輩が居ました。 私は当時、あまりそういうオカルト的なものは信じていませんでした。 ですので、その先輩の体験した話なども半…

見つけて…、お願い…

これはもう25年以上も前ですが、実際に体験した話です。 元々ある場所に起因する話なのですが、当時私が高校2年から3年へ上がる春休み中に、その事は起こりました。 そのある場所…

愛猫の最後の挨拶

うちの両親が体験した話。 もう20年も前の夏のことです。 私達兄弟が夏休みを利用して祖父母の家に泊まりに行っていた夜、当時とても可愛がっていた猫がいつまで経っても帰ってこな…