もっさん

公開日: ほんのり怖い話

1a6ede67f98cbbab9d481885652a5874

うちの病院のカテーテル室(重症の心臓病患者の処置をする場所)には、もっさんと呼ばれるものが出る。

もっさんは青い水玉模様のパジャマを着ており、姿はぼさぼさ頭の中年だったり、若い好青年だったり、痩せた女だったりと様々。

共通点は、

・部屋の隅でうつむいて立っていること
・同じパジャマを着ていること
・なにも喋らないし動かないこと
・気が付くと現れ、気が付くと居なくなっている
・その場にいる全員に見える
・もっさんが出たとき、処置中の患者は後日必ず亡くなる

亡くなった患者の処置の全例に現れているわけではなく、もっさんの現れた処置の患者は必ず亡くなるってことね。

処置が成功してもなぜか予後が悪い方へと向かってしまう。

もう随分前から、もっさんは目撃されているらしい。

お祓いの類は何度か試みたらしいがまるで効果がないらしい。

年に3、4回しか現れないが、うちの科の先生やスタッフはみんな知っている。

処置中、もっさんが出てもみな反応せずに黙っている。

ビビるのは新人ナースくらい。

若い先生なんかはもっさんを見るとひどく落ち込んでしまうらしいが、部長先生だけはもっさんが出ても諦めない。

誰よりももっさんの姿を見ているはずなのに、このジンクスを信じていない。

もっさんに魅入られた患者をなんとか救えないかと、部長先生は闘い続けている。

関連記事

名も知らぬ息子

「僕のお母さんですか?」登校中信号待ちでボーっとしていると、突然隣の男が言った。当時私は20歳の大学生で、妊娠・出産経験はない。それに相手は、明らかに30歳を超えていた…

ITエリート

某県では次世代を背負って立つITエリートを育てようと、IT教育にたいそう力を入れている。それゆえ、この県の公立学校では、IT教育関連の設備投資に限っては、湯水のように予算を使うことがで…

着物の少女

毎年夏、俺は両親に連れられて祖母の家に遊びに行っていた。俺の祖母の家のある町は、今でこそ都心に通う人のベッドタウンとしてそれなりに発展しているが、二十年ほど前は、隣の家との間隔…

雪景色(フリー素材)

もどり雪

一月の終わり、山守りのハルさんは、山の見廻りを終えて山を下っていた。左側の谷から、強烈な北風に舞い上がった粉雪が吹き付けてくる。ちょっとした吹雪のような、『もどり雪』だ…

お通夜の日

おじいちゃんのお通夜の日の話です当時高2の俺は、別に手伝う事も無かったので、準備が終わるまで自分の部屋で音楽を聴きながらまったりとしてたんです。それでちょっと眠くなって…

公園

代弁者

今年の秋頃かな。二条城の周りを走っていた時の話です。トイレがあるんですけどね、そこに三つほど腰掛けやすい石があるんです。そこで走った後の興奮を抑えるために、ぼんやりと座…

不思議なお姉さん

小学2年生のころの話。小さいときに母ちゃんが死んで、親父に育てられてた。父子家庭が原因か内向的な性格で、小学校でもひどいいじめにあってた。1年生のころからずっといじめ続…

幽霊と…

5年ぐらい前、地方都市でホステスをしていた時の話。一緒に働いている女の子で、自称霊感の強いMちゃんという子がいた。最初は信じていなかったのだが、Mちゃんが「明日は外出し…

男の戦い(宮大工12)

十年程前、親方の親友でやはり宮大工の棟梁であるKさんが病気で倒れてしまった時の事。親方とおかみさんは急遽お見舞いに行き、俺は親方の代理で現場を取り仕切った。三日程して親…

公衆電話(フリー写真)

鳴り続ける公衆電話

小学生の時、先生が話してくれた不思議な体験。先生は大学時代、陸上の長距離選手だった。東北から上京し下宿生活を送っていたのだが、大学のグラウンドと下宿が離れていたため、町…