公開日: ほんのり怖い話

wallpaper382_640_1136

高校の頃の同級生、Aちゃんにまつわるほんのり話。

自分で言うのもなんだが、母校は地元でも有名な進学校。

女性担任が成績の良い生徒には優しく、悪い生徒には冷たい典型的な学歴コンプのえこひいき先生だった。

私も成績は良くないほうだったのでそいつに結構嫌味を言われたが、中でもAちゃんというクラス一の落ちこぼれの子に対する態度が酷かった。

Aちゃんはクラスでは成績が悪かったが性格は明るく真面目でいつもニコニコしてて優しく誰からも好かれる性格。それが余計奴の癇に障ったようで、Aちゃんはたびたび無視や嫌味などの嫌がらせをされていた。

武道系の部活に入っていたAちゃんに対し、

「教室がなんか防具臭くない?Aさんちょっと顔と手洗ってきなさい。ほら早くしなよ、臭いんだよ」

と追い出したり。

担任は担当科目が家庭科だった。ある日、実習でキャベツを刻んでいたときのこと。

明らかに粗いきしめんみたいなキャベツを刻む優等生を褒めまくる担任。

担任「(優等生)さんはキャベツを刻むのも上手ね~。それにくらべて…こんなゴミみたいなキャベツ、食べられないわね。汚いし」

そう言ってAちゃんの刻んでいた凄く細かくて綺麗なキャベツを掴んだかと思うと流し台にぶちこんだ。その後にキャベツの芯をAちゃんの顔に向かって放り投げて、

「ほら、やり直し。食材無駄にしないでよ、学校のお金なんだから」

と言い放った。

さすがに数人が抗議したが担任は何事もなかったかのようにスルー。授業のあとに私と友人数人でAちゃんを気遣ったが、Aちゃんは

「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

とニコニコするだけだった。

その後もAちゃんに対する担任の嫌がらせは続いたが、ついに卒業を迎え、卒業後にクラス会を開くことになった。

クラス会に来た子達はほとんどが都内の有名大学に進んだが、Aちゃんは家の都合で都内には行けず、地元の国立大学に進んだ。担任は席の端に座っている子から順番に一人ひとり近況を聞き、有名大学に進んだことを褒めまくった。

ただ、Aちゃんの順番になっても担任はあからさまにスルー。見かねた子が一人、

「先生、Aさん忘れてる!」

と冗談めかしながら言ったが、担任はなんと

「あら?そんな人いたかしら?まさかいないわよねー、地元のイモ大学に進むような落ちこぼれなんて。場違いだし」

と一言…。

場が凍りついたがなんとか取り繕ってクラス会は終了。下を向いて唇を噛みしめていたAちゃんの顔が忘れられなかった。

私はいたたまれなくなりクラス会の後にAちゃんに

「Aちゃん大丈夫?あいつ(担任)のことは気にしないようにね」

と話しかけた。

「(私)ちゃん?大丈夫、ありがとうね。もう大丈夫。もうそろそろだから。」

とAちゃんはニコリと笑った。

「そろそろって?」

と聞く私に対し、Aちゃんは

「(私)ちゃんも(担任の)嫌がらせによく耐えて来たね。でももう大丈夫だから。」

と言ってニコニコ笑うだけ。

その時点では意味がよくわからなかったが、とりあえずAちゃんとはその場で挨拶をして別れた。

それから一週間もしないうちだった。担任が亡くなった。

死因は脳溢血。発見されたときには既に手遅れの状態だったとのこと。

葬式の焼香に来たAちゃんはうっすらと微笑んでるような顔をしていた。担任の娘さんもショックから鬱病を発症し、後を追うように自殺した、とのことだった。

それから数年が経ち、公務員として働いているAちゃんに再会した。Aちゃんはこんなことを言った。

「こんなこと言ったらドン引きされるかもしれないけど、(私)ちゃんには教えてあげる。私ね、自分に向けられた悪意とか、厄とかをね、まとめてその相手に返す…っていうのかな?そういうことができるっぽいんだ」

Aちゃん曰く、ちょっと嫌がらせされた場合に返すと相手に死なない程度の災いが必ず返っていくらしい。Aちゃんは3年間(Aちゃんは3年間担任が同じだった…)担任からの厄を溜め込み、それを卒業後に一気に返っていけ!と念じたらしい。

「まさか、死ぬとは思わなかったけどね。娘さんにまで返っていくとも思わなかった。」

そう言ってAちゃんは笑った。

それ以来、人の嫌がることは絶対にしないようにしろ、と子供達にも教えています。

関連記事

トタンのアパート(フリー写真)

訳あり物件のおっちゃん

半年ほど前に体験した話。今のアパートは所謂『出る』という噂のある訳あり物件。だが私は自他共に認める0感体質、恐怖より破格の家賃に惹かれ、一年前に入居した。 ※ この…

廃ホテル(フリー写真)

廃ホテルでの肝試し

学生時代の夏、男4人と女1人の計5人で、とあるホテルの廃屋へ肝試しに行った。そのホテルの場所は別荘地のような、周りを森に囲まれた場所に建っていたので、夜23時過ぎに着いた頃には…

本当に生きてる子どもなの?

数年前の話だけど、年に1度くらいの割合で間違い電話がかかってきていた。だいたい平日の午後にかかってきた。出ると「ママ?」という一言だけ。小さな子ども特有の、性別もあやふ…

戦時中の校舎

戦時中の校舎

10年前の夏休み、母と一つ上の姉と共に母方の実家に遊びに行った。そこは集落から少し離れた山の麓にあり、隣の家まで行くのに5分は歩くような場所だった。当時、私たち姉弟の間…

見えない恋人

大学生時代、同じゼミにAと言う男がいました。Aはあまり口数の多い方ではなく、ゼミに出席しても周りとは必要なこと以外はあまり話さず、学内にも特に親しい友人はいない様子でした。 …

夜道

散々な彼女

高校時代の彼女H美の話。H美の家は、少し長めの道路の中間ぐらいに位置していた。夜になると人影も車もまばらになる薄暗い道路だ。ある時期から、大して人通りもないその道路で事…

綺麗に揃えられる靴

小学校の頃、近所にお化け屋敷と言われている家があった。まあ、実際は屋敷という程でもない少し大きめな日本家屋なんだが、小学生の言うことだしな。その日は両親共に帰宅が遅くな…

星を見る少女

夜、アパートに住んでいる青年がふと外を見ると、向かいのアパートのベランダに人がいる。背格好からすると少女だろうか。少女はどうやら、空を見上げているらしかった。なんとなく…

森(フリー写真)

不思議な子供とおじいさん

20歳の頃だったか、まだ実家でプータローをやっていた時の話。うちは物凄い田舎で、家のすぐ傍が森や山みたいな所だったのよ。それで何もやる事がないし、家に居たら親がグチグチ…

山道(フリー写真)

やまけらし様

俺の家は物凄い田舎で、学校へ行くにも往復12キロの道程を自転車で通わなければならない。バスも出ているけど、そんなに裕福な家でもないので、定期を買うお金が勿体無かった。学…