田んぼの案山子の秘密

田んぼ

私は田舎に住んでいて、学校への通学路は常に田んぼの脇道を歩いていた。

ある日、帰宅中に田んぼの中にピンク色の割烹着を着た姿が見えた。

「田植えをしているのか」と思ったが、その人の動きが異様だった。

片足で腰を揺らしながら、白い紐のようなものを回していた。

その動きはフラフープをしているようだった。

不安を感じながらも、私はその姿を見続けた。

しかし、その人物の顔は見えなかった。

まるで写真がブレているように、顔だけがぼやけていた。

私は目をこすって確かめようとしたが、それでも顔ははっきりしなかった。

その人物が近づいてきた瞬間、私は恐怖で意識を失った。

目を覚ましたら、自宅の布団の中だった。

周りには家族と近所の坊さんが念仏を唱えていた。

祖母によれば、私が出会ったのは「案山子の神様」と呼ばれる存在で、私を仲間にしようとしたとのこと。

その後、私は田んぼに置かれた案山子の恐ろしい過去を知った。

昔、食糧難の時期に、村では役に立たない人を食糧消費を減らすために処刑していた。

しかしその方法は残酷で、獣を避けるために片足を切り、十字の木に縛りつけ、田んぼに立て掛けたという。

縛られた人々は飢えや日射病で亡くなり、中には野獣に襲われる者もいた。

この非道な行為のせいで、村には多くの異変が起こった。

そして、案山子にされた人々は「神様」として崇められるようになった。

しかし、この話が本当かどうかは定かではない。

私の家族も正確な真実を知らないようだった。

関連記事

海(フリー写真)

海ボウズ

俺の爺ちゃんの話。 爺ちゃんは物心が付く頃には船に乗っていたという、生粋の漁師だった。 長年海で暮らしてきた爺ちゃんは、海の素晴らしさ、それと同じくらいの怖さを、よく寝物語…

前世記憶がある俺の話

まず、前世の記憶と言ってもしっかりとはしていない。 生まれた時から記憶が全てあるとか、そういうものではないという事は前提で聞いて欲しい。 ※ 始まりは小学校だった。その頃から…

トンネル(フリー写真)

車の手形

ある日、大学生のカップルが山へドライブに行きました。 夕方になり、辺りが薄暗くなった頃に帰ろうとしたのですが、道を間違えたのか、行きでは通らなかった古びたトンネルに行き着いてしま…

林(フリー写真)

お姉ちゃんと鬼ごっこ

神隠しみたいなものに遭ったことがある。小学一年生の夏休みのことだ。 実家はいわゆる過疎地にあり、地域には同い年の子が数人しか居なかった。 その日は遊べる友達が居なかったので…

窓ガラス(フリー写真)

お通夜を覗く女性

15年程前、不思議な体験をしました。 当時は福井の田舎に住んでおり、高校生の僕は、友人の母親のお通夜へ行きました。 崖崩れか何かの急な事故で亡くなったとのことでした。 …

トンネル(フリー写真)

友達だよな

ある日、数人の大学生が飲み会をしていた。 彼らは全員高校の時からの友達同士で、話題には事欠かなかった。 そして段々と盛り上がって来て、ちょっと肝試しに行こうという話になった…

白いソアラ

群馬県の国道沿いにある中古車販売店に、白いソアラが数万円という破格の安値で展示されていた。 有名な高級車の一つであるソアラがこの価格で手に入るとなれば、当然誰かが買っていきその車…

柿の木(フリー写真)

木守り

皆様は木守りという風習を御存知でしょうか。 実った木の実を全て取り入れてしまわず、いくつか残す風習は昔からあって、取り入れずに残した実のことを木守り(きまもり)と呼びます。 …

京都(フリー写真)

かわらけのお狐さん

小学生の頃に学校の畑を掘ったら、土の中から陶器の狐が出てきた。 真っ白のかわらけで出来た狐のお面みたいなもので、他にも沢山出て来た。 七福神や打出の小槌などの縁起物もあっ…

蛍(フリー写真)

赤ちゃんの声

何年前だったかは今はもう覚えていません。 でも当時は凄く暑くて、扇風機を点けっ放しで寝ていたので、夏であることは確かだったと思います。 熱帯夜というやつですね。暑いと本当に…