犬の呪い
オチのない思い出話。
昭和45年、小学5年の頃、ある呪いの方法が少年誌に書いてあった。
犬を首輪で繋いで、その口が届かぬところに餌を置き、そのままにしておく。
犬は空腹感のあまり餌を食らおうとするが、届かずもがき苦しむ。
まさに飢えて狂い死のうとした時に日本刀でその首を切り落とすと、切断された犬の首は飛んで餌に食らいつく。
その首を奉じ、呪いを願うと成就するという話だった。
同級生の川越は、善悪の区別があまりつかない男だったので、興味本位で野良犬を捕まえてそれを実行してしまった。
川越は自慢そうにその話を私にしたが、犬を飼っていて大好きだった私は激怒し、そのことを担任の先生や給食のおばさんや他の同級生に言いふらした。
それから間もなくして突然、川越が死んだ。盲腸をこじらせたという話だった。
しばらくして、ある日の下校途中、道端で犬が車に轢かれていた。
首が潰れて、首の断面が見えていた。
その首の断面から、川越の顔がこちらを見ていた。