夜明け前の国道が、そこになかった
夜勤終わりに自転車で走っていたはずの国道が、雪の中で消えた。異世界に迷い込んだようなあの不思議な体験は、今も説明することができない。…
夜勤終わりに自転車で走っていたはずの国道が、雪の中で消えた。異世界に迷い込んだようなあの不思議な体験は、今も説明することができない。…
中国地方の山あいの無人駅。終列車を待つ間、駅舎裏の小さな保線通用口を覗いてしまった。這って入った先には、昭和十九年十一月の旧字駅舎が広がっていた。異世界に迷い込…
杉並区の古いアパートに引越した私は、押入れの奥に隠れた引き戸を見つけた。開けると昭和40年代の商店街が広がっていた。昭和42年の新聞の日付、駄菓子屋のおばさんの…
仕事帰りに立ち寄った山陰の温泉街。地図アプリが固まったまま迷い込んだ柳の路地の奥に、橘屋という古い旅館の提灯が揺れていた。翌朝目覚めると、私は車の中にいた。…
出張帰りに無人駅で押した駅スタンプには、なぜか四年半先、十二年先、二十年先の日付が刻まれていた。古びた台帳と紺色の作業着の老人が示した、数十年前から続く決まりと…
中古車に残されていたドライブレコーダーを再生してみた。録音されているのは、運転手のいない映像と、助手席だけから聞こえる女の声だった。…
深夜の配送中、見覚えのない分岐に入った長距離トラック運転手。辿り着いた谷間の集落では時計が止まり、星のない空が広がっていた。県道に戻ると六時間が消えていた。…
帰省中に見つけた見知らぬ駅。そこでは誰もが同じ時刻にいた。…
帰省中の地方私鉄で居眠りをした俺が降り立った、地図にも時刻表にも載っていない駅の話…
終電を逃した深夜の東京。乗ったことのない地下鉄の路線に乗り込んだ。駅名標は見えなかった。乗客は誰もいなかった。異変に気づいた時、電車はすでに走り始めていた。…
出張からの帰路、深夜のタクシーで見知らぬ昭和の商店街に迷い込んだ。気づくと1時間半の時間が消えていて、謎のおっさんに『戻ったら来るな』と言われた……不思議な異世…
出張先で迷い込んだ地図に存在しない横丁。古い商店が並ぶ路地で、音のない人々に混じってラーメンを食べた。翌朝、その場所は二十年前に更地になっていたと聞かされる。…
霧の濃い峠で長距離トラックを走らせていた俺は、頂上を過ぎた右カーブの先で、赤い提灯の灯るドライブインを見つけた。二十分のはずが一時間以上進んでいた時計と、更地に…
出張先のビジネスホテルで泊まった307号室。翌朝フロントで言われた「3階はございません」という言葉の意味とは——実話風の不思議な体験談。…
出張帰りに終電を逃した俺の前に、時刻表にない二両の列車が滑り込んだ。駅名のかわりに日付を告げる放送、ホームに立つ見覚えのある人々、止まったままの零時四十七分。降…
大学三年の夏、三人で灯した蝋燭と、鳥居の前の黒い水溜り。友人は順に事故に遭い、消して持ち帰った俺の蝋燭だけが、毎晩、消したはずの火を灯すようになった。神社の老婆…
二、三年前の真夏、改修中のビルの三階で、私は声のない街としか呼べない場所を窓から見ました。建物も道路もない空白に立つ男は、「どこから来た!?」と叫んだのです。そ…
帰りの終電で眠り込み、目を覚ますと午前2時1分、携帯は圏外でした。男の子が残した「ここに来ちゃダメ」という言葉、地図にない高九奈駅の看板、そして迎えに来たはずの…
宮上荘では、清掃のカートを廊下の曲がり角の内側に停める決まりでした。理由は誰も言いません。深夜の三階で角が一つ足りなくなり、異世界に迷い込んだのかと思った私に、…
田んぼの真ん中にある水神様の祠は、子どもが近づいてはいけない場所でした。夏の晩に幼馴染と入り込むと、空の色が変わり、生い茂っていたはずの草が一本もなくなっていた…
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