守護霊の助け

魂(フリー素材)

若い頃、友人のBさんと久々に会い、飲みの席で「本格的な占いをお互いしたことが無い」という話で盛り上がったことがありました。

酔った勢いで帰り道、幾つか閉まっていた占い場の中から適当に「守護霊を視ます」という看板を見つけ、そこの占い師に占ってもらうことになったのです。

見た感じ70代程のおばあさんがBさんの額に手を当て、「あなたは、この帰り道で危険な目に遭う」と言い出しました。

本格的な占いが初めてだったので、『怖いことを言って何かを買わせる気なのかな』と私達は内心思っていたのですが、違うようでした。

「でも、あなたの守護霊が助けてくれる。あなたの守護霊は、オチに強い」

「視る」と書いてあったので守護霊の容姿を知りたかったのですが、その占い師は性質を視るのだと説明してくれました。

占ってもらった帰り道、駅のホームに降りようとした私の顔の真横を、Bさんの顔が落ちて行くのが見えました。

何とBさんは急に意識を失い、顔面から下りの階段に突っ込んで行ったのです。

『危ない!』と思ってBさんを掴もうとしましたが気付くのが遅く、既に顔面が階段にぶつかりそうでした。

顔面が階段にぶつかった後、そのまま一回転し、Bさんの膝が階段にぶつかり、そして肩、頭、腕といったように体のあちこちをぶつけながら転げ落ちて行ったのです。

しかし、音がしません。

言うなれば、Bさんがまるでタンポポの綿毛のように、ふわりふわりと音も無く転がって行くのです。

一瞬の出来事でしたが、Bさんに駆け寄ると血の一滴も出ておらず、軽く「今何が起こったの…?」と言ってきました。

その後、一応救急車を呼び病院に搬送されたのですが、Bさんはお酒の飲み過ぎで一瞬意識を失ってしまったようで、少し休んだら翌日に退院できました。

占い師の言っていたことが本当だったとBさんは喜んでいましたが、人間が綿毛のように回転しながら階段を落ちて行ったところを見た私は、ただ気味が悪かったの一言でした。

関連記事

馬のぬいぐるみ(フリー写真)

なかったこと

15年以上前のことになります。 当時は虐めに遭っており、ほぼクラス全員からサンドバッグ状態でした。 図工の時間に金槌で頭を殴られそうになったことや、家庭科の時間に針で目を…

星を見る少女

夜、アパートに住んでいる青年がふと外を見ると、向かいのアパートのベランダに人がいる。 背格好からすると少女だろうか。少女はどうやら、空を見上げているらしかった。 なんとなく…

炎(フリー素材)

鳴く人形

俺の実家は小さな寺をやっている。 子供の頃から、親父が憑き物祓いや人形供養をしているのを何度も見て来た。 その中でも一番怖かったのが赤ちゃんの人形。ミルクなどを飲ませるよう…

ゲラゲラ(長編)

去年の4月に大学を卒業して、マンションに引っ越した。 そのマンションの真ん中が中庭になっていて、俺は左端に住んでいる。 6階建てのマンションで、右側にマンションの玄関があり…

キャンプ(フリー写真)

もし、旅かな?

学生だった頃、週末に一人キャンプに興じていた時期があった。 金曜日から日曜日にかけてどこかの野山に寝泊りする、というだけの面白味も何もないキャンプ。 友達のいない俺は、寂…

白無垢の花嫁

白無垢の花嫁さん

俺がまだ小学低学年の頃に体験した話。 俺の家は当時、夏になると田舎に帰っていたんだよね。 そんな時に必ず泊まる小さな民宿があるんだ。 各部屋の入り口はドアではなく襖…

揺れる木

2年程前の話。その年の夏、俺は大小様々な不幸に見舞われていた。 仕事でありえないミスを連発したり、交通事故を起こしたり、隣県に遊びに行って車に悪戯をされた事もあった。 原因…

病室(フリー素材)

絵日記

この前、夜遅くの深夜にハッっと起きてしまいました。 なんでいきなり起きちゃったんだろう…と思っていると、部屋の隅に何かの気配を感じました。 眼を凝らして見てみると、それは…

弟の言葉

弟が一時期変なこというので怖かった。 子供の頃、うちの実家はクーラーが親の寝室にしかなく、普段は自分の部屋で寝ている私も弟も真夏は親の部屋に布団をしいて寝ていた(結構広い部屋で1…

炎

火葬場の二組の骨

近所にある戸田火葬場の関係者から、ある驚愕の話を聞きました。 10年に1回程度、火葬中に突然、死者が一時的に生き返ることがあるというのです。 この現象は、極端な高温による…