白無垢の花嫁さん

白無垢の花嫁

俺がまだ小学低学年の頃に体験した話。

俺の家は当時、夏になると田舎に帰っていたんだよね。

そんな時に必ず泊まる小さな民宿があるんだ。

各部屋の入り口はドアではなく襖で、宿の玄関もすりガラスの引き戸。

経営しているのもお爺さんとお婆さんという、完全に昔ながらの民宿という感じの所でさ。

昔からずっと来ているから、ここに来ると親は必ず宿の人に挨拶と世間話をする。

俺はその時、暇だからと民宿の中を探検し始めたのね。

俺は二階の部屋から順々に見て回り、残す所は1階の突き当たりにある部屋だけになった。

『ここで最後か…』と少し残念に思いながら襖を開けると、何と中には白無垢の花嫁さんが居た。

俺は中に誰か居るなんて全く思っていなかったので、軽くパニックになり泣きそうになりながら、

「あぅあぅあぁ、ごご、ごべんなざいぃ…」

という感じのこと言っていたと思う(笑)。

すると向こうの方を見ていた花嫁さんがこちらに向き直り、にっこり微笑んでさ。

家族が居る方向を指差して、

「あんまり離れてると心配されちゃうよ?」「早くお母さんの所へ戻ってあげなさい」

というようなことを言われたと思う。

この時の花嫁さんの笑顔が凄く綺麗でさ、それが強く印象に残っている。

『気まずい、恥ずかしい、怒られる』とすくみ上がっていた俺は、また小さな声で謝ると、その方向へ走って戻った。

それで民宿の人と話している家族の所に着き、母さんに

「綺麗な花嫁さんが居た!」

と言うと、民宿の人は訝しげに

「まだ○○さん以外にはいらっしゃっていないんですけどねぇ」

と言うので、俺はまた軽くパニック(笑)。

つまり、そんな花嫁さんは存在しなかった。

後で聞いた話によると、その部屋は何十年も使われていない、いわゆる開かずの間だったらしい。

結局その後、何かあった訳でもないし、それにまつわる話などを聞けた訳でもない。

ただ『あの花嫁さんはもう成仏したのかな』とか『結婚できなかったからまだあそこにいたのかな』などと、今でも少しだけ思いを馳せる。

知らない女の子

東日本大震災での被害はほとんどなかったものの、津波で水をかぶった地域。 地震発生後、町内で一番高いところにある神社に避難していく途中、見慣れない女の子が猫を数匹抱えて走る姿を数多…

臨死体験

けっこう昔の出来事なんだけど、俺が小学生のとき臨死体験にあった。海水浴場で溺れて死にかけたことがきっかけだった。 家族で行った海水浴場で、俺がそこで泳いでいるときに突然足がつって…

登山(フリー素材)

赤い着物の少女

システムエンジニアをやっていた知人。 デスマーチ状態が続き、残業4、5時間はザラ。睡眠時間は平均2〜4時間。 30歳を過ぎて国立受験生のような生活に、ついに神経性胃炎と過労…

秘密基地

サイキック少年

今から16年前、僕が小学4年生の頃の話です。 昔、秘密基地とか作りませんでしたか? 僕も友達(けんちゃん、としちゃん)と秘密基地を作り、学校帰りにいつもそこで遊んでいました…

タイムトラベラー

10年前、俺が小学6年生の時の話。 ある日学校から帰る途中、人通りの多い交差点で信号待ちをしていたら、自分以外の周りの人や道路を走ってる車とかが一斉に止まった。まさしく時が止まっ…

マンション(フリー写真)

幸運の家

今から14年前に家を建て替えようという話になり、一時的に引っ越すことになりました。 その時に借りた家で体験したお話です。 場所は愛知県の岡崎市で、2年程前に近くを寄った時に…

神社の思い出

小学生の時、家の近くの神社でよく遊んでた。 ある日、いつも通り友達みんなで走り回ったりして遊んでいると、知らない子が混ざってた。 混ざってたというか、子供の頃は誰彼かまわず…

オオカミ様のお堂(宮大工1)

俺が宮大工見習いをしてた時の話。 大分仕事を覚えてきた時、普段は誰も居ない山奥の古神社の修繕をする仕事が入った。 だが親方や兄弟子は同時期に入ってきた地元の大神社の修繕で手…

霧島駅

実際にその駅には降りていないし、一瞬の出来事だったから気の迷いかもしれないけど書いてみようと思う。 体験したのは一昨日の夜で、田舎の方に向かう列車の中だった。 田舎と言って…

死臭

人間って、死が近づくと死臭がするよね。 介護の仕事をしていた時、亡くなるお年寄りは3、4日前から死臭を漂わせてた。 それも、その人の部屋の外まで臭うような、かなりハッキリした臭い…