purple-sky-colors-27118172-1024-768

もう5、6年前かな?確か秋も過ぎて12月だかそんくらいの時期。

前日に早く寝たから、その日はやたらと早く目が覚めたのよ。

だいたい日の出の直後くらいだったと思う。起きたといっても頭に霞みがかってる寝ぼけた状態。

寝起きに一服しようとしたのにタバコが切れてる。喫煙者の性で面倒くさいけど買いに行くかと布団を出たんだな。

居間を見たら親父が既に起きていて新聞見ながら飯食ってた。

「タバコ買ってくるわ」と声かけて靴を履いたときに親父の返事が返ってきた。

「今日はガガでぃうガ だから気をガガ−ガガガ−−ガガガガろよー」

何か変なノイズっていうか、聞き取れないけど言葉っぽいのが間に挟まったというか変な返事だったんだよね。いつもは「んー」とか「おー」くらいしか言わないのに何か変。

けどその時は大して気にも留めずに「あいよー」って返事して外に出たのよ。

相変わらず頭は寝ぼけているような感じなんだよね。やっぱ寒いなーとか思って自販機のほうへ歩いてた。掃除してるオッサンとかに「おはよーさんでーす」とか挨拶したんだが。

「おっ!ガガッガガ−ガガッガガ−ねー!ガおはよー!」とかやっぱ言葉が変。

でも気にも留めずに歩いて、程なく自販機へ到着。赤マルゲット。さっそく1本取り出して火をつけた瞬間、今まで霞がかってたのが晴れた感じがした。同時に周りが変だって事にも気が付いた。

1つは自販機の数が増えてる。

いつ増やした?と思って新しい自販機を見たけど訳分からん字で印刷してあるのばかり。しかもコイン投入口も札入れるところも無い。

2つ目はさっきまで綺麗な朝焼けだなーとか思ってた空が、ドス黒い感じの紫色の朝焼けになってる。

は?え?何コレ??と頭はパニック状態。

しかも周りの全ての家に電灯がついてる。

一瞬、夕方なのかと思って携帯見たけどやっぱり時間は朝。でも何故か電波無し。

とりあえず家に帰ろうと思い来た道を戻るけど、行けども行けども周りが自分の家付近の風景じゃない。さっきまで居た掃除のオッサンも居ないし生臭い臭いも漂ってくるしで混乱絶頂。

家見付からないわ周りの風景違うわで呆然として俯いてたら目の前に誰か立ってた。

掃除のオッサンかと思って顔を上げてみたら、顔のある場所に顔がない。見えたのはノッペリとした腹だか胸で首のばして見上げてみたら顔があった。

何て形容したら良いのか…幼稚園児が粘土で作った顔を3~4個ごちゃ混ぜにしたような感じだったよ。状況が掴めないで口パクパクさせてた俺に、ソレが「ここガガッガガ−ガガッガガ−ガガッガガ− ない」って言ったかと思ったら横薙ぎに衝撃が来た。

凄い衝撃&痛み。

(あー俺死んだな)とか変に冷静な事考えながら意識が途切れた。失神したけど、変な方向に曲がった俺の脚を持ってソレが俺を引きずってたのを記憶している。

意識が戻った時には目の前に掃除のオッサンがいて「あれ?さっき通り過ぎたよね?あれ?」とか言ってた。体は何も異常ないし脚も別に曲がっちゃいない。周りを見れば見慣れた自宅が目の前にあった。

青ざめた顔で家に入ったら、いつもはとっくに仕事行ってるはずの親父が鏡の前でネクタイ直してた。俺の顔見て一言、

「…だから気をつけろって言ったろう?今日は『紫』なんだから」

ちょ、何か知ってるの?何があったか分かってるのかと聞いてたら、長い話になるなら帰ってきたらなって出かけやがった。

以下は帰ってきた親父に聞いた事。

  • うちの家系には朝焼けが紫色の時には出歩くなという家訓がある
  • 親父も若い頃、免許取りたてで夜明け前にドライブしてたら変なとこに迷い込んだ事がある
  • 今日は紫色っぽかったから仕事の時間ずらして様子見ていた
  • 俺が出かける様だったから一応「気をつけろ」と言った

以上、俺が体験した洒落にならん話。

ってか親父よ…そんなんだったら事前に止めてくれと orz

関連記事

昭和のような町並みの異世界

田舎の高校に通っていた高1の夏休みの時の話をします。 部活が20時に終わり、その後23時くらいまで部室で怖い話をしていた。 さすがに遅くなったから帰るかという事になり、家が…

ゴムまり持った女の子

私がまだ花の女子大生だった頃のお話です。 私の学科用の校舎は新設されたばかりでまだぴかぴか。最上階には視聴覚設備用の特別教室があり、その上にパイプスペース用の小部屋だけがある階が…

ニワトリ

6月のある日の夕方に家に居ると、外出中の母親から電話がかかってきた。 かかりつけの病院に行って母の代わりに薬をもらって来てくれという内容だった。 俺は家を出て徒歩で病院に向かった。…

山

山に住む神様

学生時代、週末に一人でキャンプを楽しむことがありました。 金曜日から日曜日にかけて、山や野原で寝泊まりするだけの単純なキャンプです。友達のいない私は、寂しさを自然の中に紛れ込ま…

友子が二人

一人で繁華街を歩いていると、ガラス張りのカフェ店内の窓際席に一人でいる友子を見つけた。 友子の携帯に電話して驚かせようとしたが、友子は電話に気付かない。 じっと座り、目を左…

ビル(フリー写真)

何も無い空間

俺が建設業の見習いをしていた2、3年前の体験です。 その年の夏は滅茶苦茶暑くて、その日は特に忙しかった。現場は既設ビル内。 何とか定時までに終わらせなければならず、上の人に…

河原

時空の穴

この出来事は14年前に起こりました。私は多摩川の河原を散策していたところ、奇妙な穴を発見しました。その穴は草むらにあり、斜め下に向かって延びていました。何の気なしにその穴を進んでいく…

紅葉(フリー写真)

かわいい人形

昔のことなので曖昧なところも多いけど投稿します。 こんなことを自分で言うのは何なのだが、私は小さい頃、結構可愛かった。 今はどうかというのは、喪女だということでお察しくださ…

障子の穴

自分がまだ小学校高学年の頃の話。 当時の自分の部屋は畳と障子の和室で、布団を敷いて寝る生活だった。 ある晩、高熱を出して寝込んでいた自分は、真夜中にふと目が覚めた。寝込んで…

ジュース(フリー写真)

ワンタ

幼稚園に入る少し前くらいだっただろうか。 子供の頃に、毎日のように一緒に遊んでくれた不思議な動物がいた。 大きさは、自分よりも大きかったから、犬のゴールデンレトリバーぐらい…