時空の穴

河原

この出来事は14年前に起こりました。私は多摩川の河原を散策していたところ、奇妙な穴を発見しました。その穴は草むらにあり、斜め下に向かって延びていました。何の気なしにその穴を進んでいくと、約5メートル後に板壁に突き当たりました。隙間から這い出ると、目の前に広がっていたのは栃木の山中で、腐りかけた神社の縁の下でした。

振り返ってみると、出口の板壁には色褪せたお札が何十枚も貼られていました。理解不能な状況に、私はパニックに陥り泣き叫びながら山を下りました。幸い、すぐ近くに舗装された道路があり、その道をたどって町の交番に辿り着きました。

交番での警察官の対応は驚くほど迅速でした。彼らは私の支離滅裂な話を遮りながら住所と氏名を確認し、すぐに迎えの手配をしてくれました。何が起こったのかを尋ねたところ、警察官も両親も「判らない」「謎だ」としか答えてくれませんでした。

その日は親戚の葬式で、特に年の近い親戚も居なかったため、一人で時間を潰すために河原を散策していました。その不思議な穴は、川と土手の中間辺りの斜面にあり、草に覆われていましたが、内部から光が漏れているのが見えたため、好奇心から探検してしまいました。

この体験は今もなお、何も解明されていません。時空を超えたかのような不思議な体験は、私の心に深く刻まれています。

関連記事

姪っ子に憑依したものは

高校生の夏休み、22時くらいにすぐ近所の友達の家に出かけようとした。 毎日のように夜遅くにそこへ出かけ、朝方帰って来てダラダラしていた。 ある日、結婚している8歳上の姉が2…

遊具

記憶の中の転校生

幼稚園の頃、同級生が交通事故で亡くなった記憶がある。しかし、月日が流れたある日、そのはずの同級生が転校生として私の小学4年生のクラスに姿を現した。 当時、幼稚園の同級だった数人…

時空の狭間の少女

これは俺が保育園に通っていた時の話。 俺が住んでた町には第一から第三まで保育園があり、俺は第一保育園に通っていた。 ある夏の日、合同お遊戯会の劇の練習で第一保育園の園児が第…

高速      

真実と幻

数年前の夏、高速道路交通警察隊に勤める友人が体験した不可解な事件についての話です。 ある日、友人は別部署の課長から突然の呼び出しを受けました。理由は、一週間前に起きた東北自動車…

材木(フリー写真)

木こりの不思議な話

朝、林道を車で走って現場へ向かう途中の出来事。 前を歩いていた登山者が道の脇によけてくれたから、窓越しに会釈をした。 運転していた相方は「お前、何してるんだ」と言い、 …

病気がちの少女(宮大工5)

年号が変わる前年の晩秋。 とある街中の神社の建て替えの仕事が入った。 そこは、幼稚園を経営している神社で、立替中には園児に充分注意する必要がある。 また、公園も併設し…

チャイムが鳴る

ある蒸し暑い夏の夕暮れ時、俺は自宅の2階で昼寝をしていた。 「ピンポ~ン、ピンポ~ン」 誰か来たようだ。俺以外家には誰もいないし、面倒くさいので無視して寝ていた。 「…

雪山のロッジ(フリー写真)

フデバコさん

幼稚園の行事で、雪山の宿泊施設へ泊まりに行きました。 小さなホテルに泊まるグループと、ロッジに泊まるグループに分かれていて、私はロッジに泊まるグループになりました。 「寒い…

神秘的な山道

おまつり

俺の生まれ育った村は、田舎の中でも超田舎。もう随分前に市町村統合でただの一地区に成り下がってしまった。 これは、まだその故郷が○○村だった時の話。俺が小学6年生の夏のことだった。…

コンサートホール

某コンサートホール

以前、某コンサートホールでバイトをしていました。その時の体験を話そうと思います。 初めに気が付いたのは、来客総数を試算するチケット・チェックの場所でした。 私たちはもぎった…