プラットフォームの死神

公開日: 不思議な体験 | 怖い話

プラットフォーム(フリー素材)

小学生の時の事なので思い違いかもしれないけど、謎だった体験。

家族と出掛けた帰り、確か夜の21時頃に、駅のホームで電車を待っていた。

ホームには他にも少数の人が居て、少し離れた所に子供のように背が低く、でも顔は明らかに爺さんの人がしゃがみ込んでいた。

その人が気になってチラチラ見ていたら、急に手を前に伸ばしてクイックイッと紐を手繰り寄せるような動作をした。

それを何度か繰り返しているので不思議に思い、その見えない紐の先の方を見てみた。

すると向こう側のホームに女の人が立っていて、爺さんがクイックイッという動作をする度に体が揺れているようで、じりじりと前に進んでいる。

その時、向こう側のホームに電車が入って来た。

爺さんは大きく紐を引き、女の人はまるで釣られるようにスタスタとホームに向かって歩き出した。

自分はびっくりして悲鳴を上げた。周りの人が驚き、一斉にこちらを見た。

次の瞬間、向こう側のホームで沢山の悲鳴が上がり、電車が急停車した。

父親が野次馬で見に行った報告によると、

「女の人が電車に接触して怪我をした。酷い血が流れていたけど意識はあるようなので、多分命に別状は無いんじゃないか」

との事だった。

「飛び込み自殺をしようとして、寸でのところで思い留まったのだろうね」

と…。

気付いた時には、爺さんの姿は無かった。

自分以外の家族は、爺さんの事は見ていないらしい。姉も、

「そんな爺さんが居たらアタシだって気になったはず。でも居なかったよ、そんな人」

と言っていたので、もしかしたら見間違いなのかもしれない。

でも、あれ以降電車に乗る度に、ホームで爺さんの姿を探してしまう。

反対側のホームの真正面に爺さんが居たらどうしよう…などと考えてしまう。

関連記事

夜の海(フリー写真)

海から聞こえる声

漁師をしていた爺さんから聞いた話。 爺さんが若い頃、夜遅く浜辺近くを歩いていると、海の方から何人かの子供の声が聞こえてきた。 『こんな夜遅くに、一体何だ?』と思い、声のす…

ネットワーク

むこうがわ

Aという男がいた。世間からの評判は良い彼だったが、他人に言えない秘密があった。 それはネットを渡り歩いては、グロ映像等の猟奇系のウェブサイトを覗き見るという趣味だった。 よ…

蛍光灯チャチャチャ

ある日の夜、蛍光灯を点けたまま寝ようとしたんだ。 ただ、電気代を考えて片方だけ残してね。 そしたらさ、いつもの癖で全部消しちゃったんだよ。 チャ(蛍光灯Aオフ) チ…

イタチの仕業

祖母の葬式の晩の事。 田舎の古い屋敷で壁3面ガラス張りの小さな和室に1人だった。長い廊下の突き当たりの座敷には祖母が安置されていた。 裏の山には江戸時代からの一族の墓が並び、近くの公園…

旧東海道・関宿の町並み(フリー写真)

布団から聞こえる声

この話は母から聞いた話で、その母も祖母から聞いた話だと言っておりました。 北海道のB町の近くの話。戦前か戦後、この辺りの話だそうです。 ※ この頃は物資が少なく、布団を買うに…

ホテル

生け贄

この間、親父が物置の整理をしていて、夕方居間にガラクタの山を積み上げて昔を懐かしんでいた。 ガラクタの中には古着やレコードや陶人形などがあった。 ふと一枚の写真が目についた…

異世界村(長編)

自分の体験した少し現実味のない話です。 自分自身、この事は今まで誰にもしたことがないし、これからも話すつもりはありません。 それにこの書き込み以降、僕が他人と話ができる状況…

浜辺(フリー写真)

小人の石

小学生の頃、俺の家族は青森の海沿いの田舎に住んでいた。 俺は幼い頃からよく浜で遊んでいたのだが、年末の1週間は夕方に浜で遊ぶのは禁止されていた。 だが小学3年生の大晦日、…

爪を食べる女

最近あった喫茶店での話。 普通に時間を潰していたところ、隣のテーブルでなにやら物音。 カリカリカリという音。最初は特に気にもならなかったので本を読んでいたのですが、30分ほ…

森(フリー写真)

色彩の失われた世界

俺がまだ子供の頃、家の近所には深い森があった。 森の入り口付近は畑と墓場が点在する場所で、畦道の脇にはクヌギやクリの木に混ざって、卒塔婆や苔むした無縁仏が乱雑に並んでいた。 …