歳を取らない巫女様

夕日(フリー写真)

昔住んでいた村に、十代の巫女さんが居た。

若者の何人かはその人のお世話をしなければならず、俺もその一人だった。

その巫女さんは死者の魂が見えたり、来世が見えたりするらしかった。

俺は一年間だけその巫女さんのお世話に携わってから、親の都合で引っ越した。

大人になってからリストラされ、そのショックで傷心旅行みたいなことをした。

二十年振りに村へ戻り、昔の友達に会いに行った。

そして一週間ほど旅館に滞在し、村の中を色々見て回っていた。

すると村の恒例の行事か何かで、その巫女さんを偶然見かけた。

何か引っ掛かるなと思っていたら、巫女さんは当時の姿のままだった。

友達に「巫女様、二代目になったんだ?」と言ったら、「あれは歳を取らないから」と言っていた。

あと「恐れ多いからそういうことを言うな」と言われた。

何だそれはと思ったが、詳しくは詮索しなかった。

当時はこの先どうやって飯を食って行くかとか、家族の問題などが色々あって大変だった。

だからそのことは忘れて現在に至るのだが、今思い返せばオカルトだな…と気付く。

関連記事

海の夕焼け(フリー写真)

注連縄

俺は神戸に住んでいるのだけど、子供の頃はよく親父の実家である島根の漁師町へ遊びに行っていた。9歳の夏休みも、親父の実家で過ごした。そこではいつも友達になったAと遊びまく…

山祭り

久しぶりに休みが取れた。たった2日だけど、携帯で探される事も多分ないだろう。ボーナスも出た事だし、母に何か美味いものでも食わせてやろう。そう思って、京都・貴船の旅館へ電…

ビスコ

高校3年生の時、5人組のグループでつるんでいた。でも、全員がいつも『もう一人いる』気がしていた。移動教室の時とかもう一人がまだ来ないから廊下で待っていると、「あ…

優しい抽象的模様(フリー素材)

兵隊さんとの思い出

子どもの頃、いつも知らない人が私を見ていた。その人はヘルメットを被っていて、襟足には布がひらひらしており、緑色の作業服のような格好。足には包帯が巻かれていた。小学生にな…

枝に積もる雪(フリー写真)

おじいさんの足音

母から聞いた話です。結婚前に勤めていた会計事務所で、母は窓に面した机で仕事をしていました。目の前を毎朝、ご近所のおじいさんが通り、お互い挨拶を交わしていました。…

マスク(フリーイラスト)

空白の友人

偶に記憶の空白が訪れる。正確に言うと、「気付いたらいつの間にか数時間が経過していた。そして、ついさっきまで自分が何をしていたのかが判らない」というものなんだけど。まあ、…

黒田君

僕が彼に出会ったのは、高校1年生の時の事です。一応政令指定都市ですが、都心ではありません。家から歩いて3分以内に何軒かコンビニはありますが、全部ローソンです。小洒落た雑…

四つ葉のクローバー(フリー素材)

おじさんの予言

あれは11年前、某ビール会社の販促員のパートをしている時に、ある酒屋に伺った時のことです。二回目にその酒屋へ訪問の際、お店の娘さんに「あなたに膜のようなものが掛かって見…

少年のシルエット(フリー素材)

かっこいい除霊

高校の時、クラスに虐められている訳じゃないけどいじられ系のAという奴が居た。何と言うか、よく問題を当てられても答えられず、笑われるような感じ。でも本人はへらへら笑ってい…

鬼が舞う神社

叔父の話を一つ語らせてもらいます。幼少の頃の叔父は、手のつけられない程の悪餓鬼だったそうです。疎開先の田舎でも、畑の作物は盗み食いする、馬に乗ろうとして逃がすなど、子供…